サイバーパンクTVアニメ動画ランキング 16

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92.1 1 サイバーパンクアニメランキング1位
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX[スタンドアローン・コンプレックス](TVアニメ動画)

2002年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (5061)
21557人が棚に入れました
西暦2030年…あらゆるネットが眼根を巡らせ、光や電子となった意思をある一方向に向かわせたとしても「孤人」が複合体としての「個」になるほどには情報化されていない時代…。
情報ネットワーク化が加速度的に進展し、犯罪が複雑化の一途を遂げる社会的混乱の中、事前に犯罪の芽を探し出し、これを除去する攻性の組織が設立された。内務省直属の独立部隊公安9課、通称「攻殻機動隊」である。
公安9課の役割は、深刻な電脳犯罪への対処、国内における要人の援護、政治家の汚職摘発、凶悪殺人の捜査から極秘裏の暗殺まで、多岐に渡っている。彼らは電脳戦を最も得意としつつ、高性能義体を生かした物理的な戦闘においても特筆すべき能力を発揮する、精鋭部隊である。

声優・キャラクター
田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、山口太郎、小野塚貴志、玉川砂記子
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

指先のその先にあるもの

1989年ヤングマガジン海賊版にて発表された漫画「※1攻殻機動隊」の世界観をベースに据えたSFアニメ。

近未来刑事物としての体を取りつつ、政治、経済、医療、テクノロジーへの問題提起など、多岐に渡るテーマを公安9課の活躍と共に描きます。

SFは現在から地続きの未来の世界を描く事を基調としているので(特に近未来ものは)すでに積み上げられてきた科学の基盤を踏まえなければならず、それゆえ制約が多いもの。科学考証に何らかの誤魔化しや綻びがあれば、それはすでにファンタジーの領分に片足を踏み入れたも同然で、SFとしての精度は低いものとなってしまいます。

本作の特筆すべき点の一つは、その様なあやふやさを可能な限り排除した※2設定の隙の無さであり、地に足の着いた説明可能なテクノロジーで形作られる、科学的矛盾を感じさせない世界観にあります。攻殻の世界における未来の技術、物語上で様々な事件を引き起こす発端となる電脳と電脳ネットについても当然合理的な説明がなされており、これらは現代のわたしたちの利用するPC(あるいはスマホなど)とインターネットの直系の子孫という事が出来ます。

テクノロジーとは広範に捉えれば"道具"という言葉で表す事が出来ますが、例えばあなたの指先の延長上にあるものが原始的で単純な構造のナイフなら見た目通りの、ずっと複雑になってピストルならもっと強力な(持ってる人まずいないと思うけど)さらに複雑になってクルマのハンドルとアクセルならかな~り危険な、でももしそれがネットに繋がったPCのマウスとかキーボードなら、先に挙げた3つ以上に大きな力と直結している事を私たちは肝に銘じねばなりません。殺傷能力は(多分)低いけれども、どこまでも届き、とてつもなく早い、弾丸は言葉、音、映像、ソフトウェアとか、それをこうして簡単に世界中に打ち出す事(アウトプット)が出来てしまう装置(端末)がコレ‥。

PCの魔術的でパワフルな働きは、控え目に評価しても古代人が夢見た神々の発明品の威力に匹敵すると言えます。そんなものを奴隷から王様まで(例えですよ)誰も彼もが持っているのがこの世界。攻殻の世界では脳を直接ネットに繋げちゃうんだから※3もっとスゴイ。神様たちも真っ青な実に怖ろしい世界じゃありませんか。

PCとインターネットによって、私たちの欲しいもの(物・情報)を収集する(インプット)量も格段に上がりましたが、そんな個人が負うには大き過ぎる力、多過ぎる情報をわたし達はどう租借しているのでしょう? ヒトの脳ミソがあらゆる情報を錯覚する事により、効率良く知識を蓄えられる様に進化してきたところに秘密がありそうです。私たちは自己を肯定してくれる情報を見つけやすく覚えやすく、逆に否定する情報を見逃しやすく忘れやすい性質を持っている様なのです。

アニメに話を戻すと、本作で描かれる「笑い男事件」の、それに付随して起きたSACという現象も、発端となった事件の情報が曖昧なものでも、それを受けた者達にとって解り易く受け入れやすい要素(義憤に満ちたスーパーハッカーの若者の姿)があれば、それを汲み取って、ヒーローという偶像に転化せしめてしまった一例で、言い換えれば乏しい情報の中から直感的に理解し易い要素だけを選び取った結果と言えます。作中で笑い男(仮)の残したシンプルでポップなマークが流行った理由もこれと同じですね‥。

不特定多数の人間の内にある思いが言葉や行動となって同時多発的に表面化してゆく様は、ある種宗教染みた連帯感の様にも見えますが、これと似た現象は私たちの身近でも割と当たり前の様に起きている気はします。

ニコ動やYoutubeとかで何らかの動画がアップされた時の視聴者の反応とか、SNSとかブログとかで起こりがちな炎上とか、学校なんかで頻発するいじめとかが、私の感じるそれで、沸点に達し得ず表層に現れない多くの声が同時多発的にあふれ出す現象、そんな中に私はSACとの類似を見ます。作中表現を見る限りSACにも引き金となる要素が必ずあり、模倣というよりは便乗あるいは衝動という形でリアクションが発生している所にも特徴があります。

群集心理の研究における※4創発規範説というものがこの様な現象の一部を良く説明していますが、加えて利権や名声へのしがらみが「笑い男事件」の真相を濁らせ、より複雑怪奇なものにしているという印象でした。人は見たいものだけ見ようとすると、複雑なものを単純に、あるいは単純なものを複雑に、コロッと作り変えてしまう事が出来る様です。そんな錯覚が生み出すトリックもまた、攻殻SACの面白さの一つと言えるのでは無いでしょうか?

※1~4
{netabare}
※1:公安9課の通称という事になっていますが、この語が本編で使われるのは1回?だけ(汗)イギリス陸軍の特殊部隊SASを参考に作られた組織という設定。でもこちらは警察とスパイ(内偵とか暗殺とかする)を足したみたいなもの。装備は軍隊並みですけど戦争屋ではない。

"攻殻"って妙な言葉ですが、原作によればタチコマの前身に当たる「やまとん1号」が攻撃型装甲外骨殻という名目のメカだったので、その略称を取って"攻殻"だそうです。それと"機動隊"を合わせて「攻殻機動隊」としたとか、他にも攻性の組織+殻=義体とかの説も‥。士郎正宗先生自身は元々「GHOST IN THE SHELL」の方を正式タイトルに据えていた様です。

※2:攻殻機動隊はそのルーツと言われるW・ギブスン氏のニューロマンサー(クローム襲撃)を始めとするサイバースペースものからの影響が絶大ですが、ギブスン氏の小説と比べると士郎先生の漫画(特に1巻)の方が説明はずっと丁寧な印象。義体の描写及び解説は取り分け精密で、SF好きにとっては垂涎を禁じえない内容となっています(笑)でも作者をして"ファンタジー"の他に"ニセ科学"や"猿マネ"なんかのレッテルが貼られている(汗
↓続き
SFやファンタジーと現代劇の決定的な違いは、置き換え可能な要素があるか無いかで、もしウルトラスーパーギガトン爆弾というのがあったとしても、水爆とそっくり置き換えられてしまえばそれはSFらしくないし、魔法の杖だって自動食器洗い機とか懐中電灯の代わりに使うんだったら、ファンタジーらしくないと言えます。科学は魔術と等しくなりうるので、ここら辺の線引きはとても難しく、また時代とともに変遷していくものですが、本質的には全く同じものの外見(そとみ)だけを代えてもあまり面白くはない気はします。でも攻殻も元を辿ればけっこう古い作品なので、今や非SF的刑事ドラマになりつつあるのかも?

※3:知識だけでなく感覚の共有とかも出来るので。電脳化にメリットがある事は確かですけど、便利なものには必ず代償がついて回るもので、情報や感覚の海に溺れて戻って来れなくなっちゃう人が現代よりも更に多くなりそうですし、そもそも脳にマイクロマシンを入れたり、首の後ろにインターフェース付けたり、生理的な嫌悪を踏み倒してまで電脳化を望む人がそれほどいるのかな? というのが今の目で見たわたしの感想でした。(タチコマに馬鹿にされそう‥)

電脳も義体も身体に何らかの障害を抱える人にとっては新たな選択肢を与える(ハンデを持つ事は必ずしもマイナスでは無いので、敢えて拒否する人もいると思う)技術ですが、五体満足な人にとっては生身の健康を維持する以上に心を縛る枷となる気がしないでもないです。定期のメンテナンスやら経年劣化による部品交換やら色々と面倒そうだし‥(汗)

※4:「群集という集合現象の場において形成される固有の社会規範の成立とともに、その規範に適合する行動を容認、促進し、不適合な行動を抑制、禁止する社会的圧力が働くために、群集行動が全体として均質化する(社会心理学者R・H・ターナーの著書からの抜粋)」とwikiでは説明されてました。スメルサーの集合行動論というのも合わせて読むと面白いかも知れません。こちらもネットに概要が落ちてます。
{/netabare}

原作漫画の色ではないテクノロジー+文学という組み合わせについて、わたしは割と好きなんですが、本作における引用が適切だったかと言えばまた別の話で、物語に一貫性を持たせる為とは言えサリンジャー由来の要素が多過ぎる気はしました。
{netabare}
学術的なものを含めた膨大量の書物を網羅しているであろうグレートな読書家のアオイ君が「ライ麦畑でつかまえて」に傾倒し過ぎている所がちょっと不自然だったり、所帯持ちで既に刑事としての実績もあるエリートのトグサさんまで※マーク・チャップマンを髣髴させる行動に走ったりと、びっくりなシーンも‥、特に後者、初見ではトグサさんゴーストハックでもかけられたのかな?とか誤解しちゃいましたよわたし(汗)

※:ライ麦畑の愛読者でジョン・レノンをピストルで殺害した人。読者の中でこんな人は極々稀だし、今更になって(15年以上も前だけど)こういうプロパガンダ的な脚本を挟むのはかな~り節操無いなと思いました。
{/netabare}
後に製作された、同じくSFアニメの「サイコパス」でも本からの引用が沢山ありましたが、あちらは量の割にせいぜいスパイス程度で、本で人を語らせるのでなく、ちゃんと人が本を語っている所にそつなさがあった様に思います。どちらにせよこれって中二病‥ではなくて、寓話を用いてSFというジャンルの影に隠れた人間的な要素をかいつまんで、あるいは租借して説明する一つの手法ではないかと思われます。遠い未来のお話であっても本のページを一枚噛ませると(笑)そこに現代の私たちと何ら変わる所の無い人間がいる事を実感出来るのです。ファッションや料理と同じく一種の舞台装置とも言えますね。

キャラデザについて、9課メンバーの面構えが濃過ぎる!というのは置いといて、現実にいる政治家の人とか、映画俳優の誰かさんをモデルにしたであろう個性的な風貌のキャラが目立ちます。アニメの作画(声優さんの演技含む)は、文章の文体に相当しますが、リアリティのある劇を見せるのであれば、端正な顔立ちのキャラだらけでは違和感が出てしまうと思うので、理にかなった描写になっていると思います。士郎先生の漫画にも出てくる内務大臣の顔ヂカラは特にスゴイ! 例外なのは没個性的な役回りのアンドロイドとか、アニメオリジナルキャラのアオイ君とか※5クルツコワさんとかフェムさんとか‥。後者から数えて二人は何となく萌えキャラっぽくて、ちょっとだけ別のアニメから引っ張ってきたよーな印象がありました(笑

よく話題になる少佐のコスチュームについては原作にも似た様なのがあるんですけど、TPOを守ってないとやっぱり浮いて見えてしまいます。初見では課長の執務室でのあの格好にはぎょっとさせられましたし、SACの現代寄りの世界観と調和しなかった所為もあって他の場面でも違和感ありありでした。慣れると無視出来る様にはなりますが、何とかならなかったのかなとは思います(二期以降では改善されている。)

音楽について、ORIGAさんの歌声の美しさが際立つOPの「inner universe」と、突入シーンでよく使われる「run rabbit junk」が特に印象に残りましたが、硬い世界を柔らかくするドラマチックなBGMたちも素敵でした。どんなジャンルの音楽も作れちゃう菅野よう子さんの才能はスペシャルですね。最高評価とさせて頂きました。

構成について、物語を縫う様にして現れては消える「笑い男」関連のお話が中心ですが、それとは直接関係の無い一話完結のお話も半分位あります。張り詰めた刑事ドラマの中にも人情味溢れるお話がちょくちょく顔を覗かせますので、やや長めの2クール全26話、立ち止まらずに進む事が出来るのでは無いでしょうか? わびさびが効いていてとても見やすいと思います。

サブタイ表示中の背景色で続き物と一話完結のいずれかが区別出来る様になっていますので、一周した人は※6どちらか一方だけを続けて視聴するというのも乙ではないかと‥。
(青=笑い男:4.5.6.9.11.20~26話 緑=1話完結:1.2.3.7.8.10.12~19話)

原作や派生作品の「RD潜脳調査室」や「紅殻のパンドラ」などでは重要テーマの一つとなっている※7人間と機械の距離が埋まる事によって変容する意識についてのお話はやや控えめで、前面に置かれた刑事ドラマの影に隠れた形でとてもコンパクトにまとめられています。作中でこの問題について人よりもむしろロボのタチコマに多くを語らせているのは、無邪気なタチコマを通した方が説明的でストレートな台詞を喋らせ易いからなんでしょうね。人に同じ役をやらせても楽しそうですけど、うざったらしくなる事間違い無し(笑)霊や階層構造(2期では※8上部構造という言葉で語られる)と言った抽象概念を織り交ぜて未来の世界が語られる原作1巻や2巻とはかなりの部分で異なっており、本作の放送と同時期に出版された純刑事物寄りの「攻殻機動隊1.5」に近い作風と感じました。

本編終了後のオマケコーナー「タチコマな日々」も短いながらもちょっと楽しい。SACの貴重な笑い所となっており、脳が疲れてゴーストの囁きが聴こえなくなった時の丁度良い箸休めとなっています(笑)


再視聴を終えて
{netabare}
原作から色々な要素を削ぎ落とした(必要な事だとは思うけれど)結果、概ね万人受けする娯楽作品として成功した本作ですが、反面、監督の神山健治氏が強調した社会正義というテーマが強過ぎて、登場人物達の価値観がやや画一的に見えてしまった印象は残りました。それと悪玉に相当する政治家や医療関係者、警察関係者と言ったエライ人たちの関心事が金と名声に集中しているのを見ると、こちらについては割とリアルな描写なのかも知れませんけど、古典的な悪人像を見る様で、情けなくて、せこくて、心底呆れちゃいました‥(汗)

一方影の主役、世の中のインチキを相手に回して孤独に戦うアオイ君ですが、こちらには明確なモデルがいて、一見してライ麦畑のホールデンそのものなんですが、力と行動力を備えている点に大きな違いがあり、青臭いと揶揄されそうな剥き出しの正義感を掲げながら、疲れ、葛藤しつつ、それを行使していく姿が危なっかしくも痛快です。欠点のある英雄未満なキャラなので、見ていてついつい応援したくなりました。エピローグで彼の被っていた赤帽に耳当てが無いのに気付いた少佐の台詞は意味深‥。新作に再登場するフラグになっていたりして。

神山監督によれば、正義のあり様について、アオイ君、トグサさん、荒巻課長と世代毎に区別しているそうですが、確かに、暴走気味で浮き沈みのあるアオイ君、私生活を守り自分の立ち位置で堅実に仕事をこなすトグサさん、鉄の信念に殉ずる常に攻性!な荒巻課長と、三者三様な感じではあります。ただアオイ君にしても9課の人達にしても、目的の為には手段を選ばず、才能や人脈を最大限に行使して、時として法の目さえも掻い潜って目的を遂げようとしている点で共通しています。法律は権力者にとって都合の良い様に作られている側面もありますので、それと戦う彼らがそうするのは当然といえば当然で、前提として彼らは法律=正義と置かず、せいぜいゲームで言う所のルール程度としか捉えておらず、バグを利用して近道出来るなら積極的に利用し、審判の目を欺けるのなら危険なラフプレーも辞さないというスタイルで悪に肉薄するのです。

正義の定義については右も左も知らぬ私が複雑な事をあれこれ書けませんが、少なくともその根源は宗教や道徳や法律という言葉で形式化されたものではなく、より古く、世代を経て研磨されてきたヒトの遺伝的性質に根ざしたものの様に思えます。ありていに言えば利他的精神なのですが、血縁関係にない他者や異種族である動植物をも擁護するヒトの行動は、あたかもそれら全てを自身の属する群れと見なしている様にも見えます。群れ全体の利益を優先する行動を仮に正義とすると、その対極にある利己的行動を悪と言える気もしないでもないですが、実際にはその両者のバランスの崩壊こそが悪となるケースが殆どでは無いでしょうか。混じり気の無い利他的精神も利己的精神もプログラムされたソフトウェアみたいなものにしか宿らないと思うので。

14話「全自動資本主義 ¥€$」でも上に関するお話がちょこっとだけありましたが、経済活動が社会ぐるみで推奨され、お金儲けによる自己肯定感が増すと、人は富そのものが目的になってもそれを許容し、どこからそれを得ているのかという事にさえ無関心になれる様です。為替の売買とか株取引なんかは特にその傾向が顕著で、投資は別として、投機でお金を回している人なんて殆どゲーム感覚だし、例外なく利己的ですものね‥。原作の荒巻"部長"の言葉にも「人の心はもろい…世の中の回転に呑まれて快楽中心になると利益効率追及機械やただの消費単位になってしまう」なんてのがありましたが、見たいもの(オカネや快楽)しか見えていないという点では、これもまた先に触れた錯覚の類と言えます(汗)

でもまぁ、作中の独善街道まっしぐらなアオイ君やフェムさんみたいに、腐った世の中に天誅!なんて事していたら(できないし)、まず身が持ちませんし、荒巻課長みたいな無私無欲の正義の人にも逆立ちしてもなれませんけど、フィクションと言えど、彼等の様な自己犠牲を厭わぬ人たちの行動を目の当たりにすると、大人の端くれとして、せめて自分の目の前にあるインチキ的なものに対しては、物申す事が出来る位の勇気と活力は常に備えておきたいものだなぁと思う凡夫なブリキ男なのでした。

総評として、綻びのない未来社会の映像化は警告や予言としてそれ自体に大きな価値が有り、作画もそれを表現するのに十二分な水準に達しており、脚本は実際に起きた事件や映画などからの引用が多くあるものの※9その作り込みは極めて濃密、今もって色褪せない魅力を持つ作品である事を確認させて頂きました。

押井監督の作品では省かれてしまっているフチコマ(タチコマ)の登場もとても嬉しい要素ですね。玉川紗己子さんが様々な声色を使い分けて情感豊かに演じられています。12話の「タチコマの家出 映画監督の夢」の前半と、15話の「機械たちの時間」はなんとタチコマ主役回。ロボ好き必見のお話になっています。全編を通してのわたしの泣き所って殆どタチコマ関連のシーンだったりして。
{/netabare}
更新に更新を重ね原形を損ねてしまった初見当時の記憶と今回の再視聴で得た記憶を並列化しつつ(笑)楽しく書かせて頂きました。


※5~9
{netabare}
※5:クルツコワさんは金髪隻眼の美人さんで工作員。漫画版「紅殻のパンドラ」ではまさかの萌えキャラ化を果たしており(笑)祖国の為に誠心誠意で(悪事を)がんばるポンコツ少女?として描かれています。フェムさんは泣きぼくろが可愛いおだんごヘアーの中華娘でヒットマン(汗

※6:笑い男事件だけを切り抜き、新作映像、新規アフレコを追加して158分にまとめた再編集版「The Laughing Man」なんてのもあります。むつかしい台詞を端折ってより見易くしている印象でした。チャットルームのお話が抜けているのは残念でした(汗

※7:人間がサイボーグ化、あるいはロボットが人間に近づく事によって起きる意識の変化について。前者に関してはW・ギブスン氏に先んじて石ノ森章太郎先生がサイボーグ009の「天使編」で初めて触れたのかも‥、でも現代の私たちってもうとっくにサイボーグ化してる気がします。PCやスマホ無しでは生活する事さえままならなかったり、外部記憶装置のデータが失われた時なんかはそれ相応の精神的なダメージを被ったり‥。PCは己が肉体を、その枠組みを超えて存在するという感覚をまざまざと見せ付けてくれる機械ですが、人は太古から認識出来るもの全てを外部記憶装置として利用しているきらいがあります。

後者のロボットの自我についてのお話は映画「メトロポリス」やアシモフ先生の小説、漫画「鉄腕アトム」「8マン」とかで有名ですけど、その起源はかな~り古い。鍛冶の神ヘパイストスが発明したとされる黄金の召使とか、クレタ島のタロスとか。人造人間のお話はもっと古い。近年ではAIの知能が人間に迫る勢いで成長を続けていますが、自我を持ったロボットは一体何を望むんでしょう? "I will destroy humans."とかはさらっと言われたくないですね(汗)

※8:三省堂の大辞林によると「政治的・法律的諸制度と、それに照応する社会の政治的・法律的・宗教的・道徳的・哲学的・芸術的意識形態をさす語」となっていましたが、攻殻で言う所のそれは幾重にも連なる階層構造の一部を指すのみで、上部構造と下部構造の2つに単純には分けられていない模様。古典的な"神が人の中に入る"という表現では、神が上部構造にいて、人が下部構造にいるという解釈になると思います。作中のハッカーがゴーストハックした人を操る様は、神話や伝説の中の神や悪魔が人に憑依してその心に干渉する様に良く似ています。

※9:脚本が悪いのか演出が悪いのか、1話の突入シーンの光学迷彩で隠れるタイミングとか、2話の「我々は攻殻機動隊だ」とか、9課なのに度々税金の無駄遣いをやらかしている所なんかはちょっとNGだと思いました。(でもそれが感情表現として有効になっている場面もちらほら。トグサさんの射撃訓練じゃないよ)
{/netabare}

付録・用語解説など
{netabare}
電脳:脳内にマイクロマシンを送り込みニューロンに取り付かせ、それで脳波を読み取りデータ化、首の後ろに取り付けたインターフェースとかで送受信する技術。これによって"人やデータ"と感覚や情報を共有出来る。

電通:電脳通信の略。電脳化したもの同士が有線や無線で通信を行なうこと。口の動かない会話シーンを作れるのでアニメーターさんもちょっと助かる(笑)

脳殻:脳と脊髄を収める接続端子付きの器。素材は軽くて丈夫な発砲素材とか頑丈なチタンとか。持ち運びしたり交換したり出来る(汗

義体:電気信号で動く機械の体。義手、義足、義眼などの総称。最近では増幅された脳波で動作する義手や義足、逆に電気信号を脳に送って機能する人工網膜や人工内耳なども実用化されており、義体化技術はかなりの部分で実現していると言えます。他方で施術を必要とせず、ヘッドギアやグローブの電極を通して情報の受け渡しを可能にする技術も開発されつつある様で、それで離れた場所にあるロボットを操作したり、ロボットのセンサーを通して触覚などの感覚を受信したりという事も可能だそうな。作中に登場する遠隔操作義体そのものですね。近い将来にも家にいながらにして(擬似)海外旅行とかが出来る様になったりして‥。味気ない?

光学迷彩:見えない様に見せる技術。実在するものの中には背景画像をカメラで撮影し、反対側(表側)のスクリーンに出力するか、プロジェクターで投影する方式、あるいは負の屈折率を持つメタマテリアル(人工物質)を通して光を迂回させて対象物の背景を見せる方式がある様です。現時点では前者は(可視光)光学迷彩、後者はレーダーに影を落とさない熱工学迷彩に近いかも知れません。耳がひじょーに良い猫耳アンドロイドとかには聴覚で見破られてしまう(笑)水や埃にもやや弱い。
↓続き
少佐の様な前身義体の人はともかくとして、トグサさんとか(ほぼ)生身の人間の体のどこにカメラとかプロジェクターが装備されてるの?という疑問を持たれる方もいるかも知れませんが、これについては押井監督の映画が公開された頃に販売されていた「ビジュアル解説ハンドブック INDEX2029(薄い本ですが内容は濃い)」という小冊子に"迷彩塗装"との記述がありましたのでマイクロマシンをスプレー塗布していると想像出来ます。眼球はコンタクトレンズとかで補えるかも知れませんが、髪の毛とかは大変そう。士郎先生に色々と訊いてみたい(笑)

アームスーツ:強化外骨格。日本ではパワードスーツという呼称が一般的。人型だけでなくクモ型のタチコマもこれに含まれる。

思考戦車:AIを搭載した戦車の事。本来はアームスーツであるタチコマがこう呼ばれる事もある。経験を積み成長する。

並列化:演算処理の方法ではなく、作中では個々の持つ情報を共有すると言う意味合いで使われる単語。タチコマの場合、一部ではなく、それぞれのAIが蓄積した情報全てを共有するので思考力が劇的にレベルアップする。

枝:作中「枝を張る」とか「枝が付く」とかいう表現がありますが、概ね盗聴する為の何かを残す、盗聴される痕跡を残すとかを意味している様です。

IRシステム:IRは赤外線を意味するInfraRedの略。公安が管理しているカメラによる監視システム。幹線道路、駅、空港などを中心に日本中至る所に設置されているらしい。さすがにトイレの中には無い。ディストピアSF御用達システム(汗

インターセプター:目で見た光景を第三者に送る技術。視神経に素子を取り付ける必要がある。

防壁:ファイヤーウォールの類。脳を焼き切る攻性防壁・侵入者を足止めする防壁迷路・逆襲回避の身替わり防壁とかがある。首に取り付けるU字型のデバイスが身替わり防壁。

S.A.C.:造語。スタンド・アローン・コンプレックスの略。説明はレビュー本文にて。

ゴースト:個人を特定する要素。魂という言葉に近いと思います。

他にも色々ありますが主なものを掲載。視聴時のストレス軽減目的の要約版とさせて頂きました。新作に備えてのおさらいも兼ねて。もっと詳しく知りたい人は「攻殻 用語」でぐぐってみると面白いかも‥。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 46
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

'70学生運動世代(ベトナム戦争世代)の思考が透けて見える有名シリーズ

※以下は、攻殻シリーズ(旧作)の一括レビューです。

2013年頃、あにこれに来て一寸驚いたのが、当時この作品が全作品ランキングで1位だったことで(※今は3位に下がっています)、今でも無批判にこの作品を「内容がある」とか「深い」とか言って褒めちぎる人が多いので、このシリーズのひとつの見方を簡単に提示しておきます。


◆アニメ有名シリーズと制作者(監督)の世代論

(1) ガンダムの富野氏は1941年11月生まれ、
(2) ジブリの宮崎駿氏も1941年1月生まれ

⇒つまり、ともに1960年の安保闘争当時、現役学生だった世代。

(3) これに対して、攻殻劇場版監督の押井守氏は1951年8月生まれ
→1970年の安保反対運動当時、現役学生だった世代で、ついでにいうと、1970年11月には三島由紀夫自決事件も起きている(※攻殻TVシリーズ第2期のモチーフにもなってますね←この世代の思考・行動パターンが「口では平和を唱えながら、やたら暴力的」みたいにチグハグになってしまった一つの原因か?)。
(4) なお、攻殻TVシリーズ監督の神山健治氏はもっと下の世代(1966年3月生まれ)ですが、押井氏に師事して頭角を現し、TVシリーズ第2期では同氏をストーリー・コンセプト担当に仰ぐなど同氏の影響が非常に強いと思われます。

⇒ということで、ガンダム・ジブリ作品が60年安保世代の発想だとしたら、攻殻シリーズは70年安保世代(全共闘世代、ベトナム戦争世代)の発想が色濃い作品と考えます。
(※とくに、TVシリーズ第2期を最後まで観ると強くそう感じます(※下記の各話感想を参照))

(5) ちなみに、エヴァンゲリオン・シリーズの庵野秀明氏は1960年5月生まれ
(6) また、マクロス・シリーズの河森正治氏は1960年2月生まれ
(7) さらに、「まどマギ」&物語シリーズの新房昭之氏は1961年9月生まれ

⇒押井氏から丁度10年後に学生時代をおくったこの世代(※シラケ世代?)の作品からは、見事に変な思想臭が消えていて、その分見易く親しみ易くなっています。

※この、どの世代の制作者(監督)の作品を好むかは、人それぞれですが、予備知識として上記を押さえておくと、作品の見え方がまた一味変わってくるかも知れません。


◆作品別評価(TVシリーズ、劇場版)

(1) TV第1期 ★ 4.1  「STAND ALONE COMPLEX」  (2002年10月-2003年11月)
(2) TV第2期 ☆ 3.7  「S.A.C. 2nd GIG」  (2004年1月-2005年1月)
(3) OVA    ☆ 3.5  「Solid State Society」 (2006年9月)
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  総合    ☆  3.8   ※(1)~(3) 神山健治監督
              ※なお (2) のみ押井守ストーリーコンセプト


(4) 劇場版1 ☆ 3.7  「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」 (1995年11月)
(5) 劇場版2 ☆ 3.7  「イノセンス」 (2004年3月)
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  総合    ☆  3.7   ※(4)~(5) 押井守監督


◆制作情報(TVシリーズ第1-2期、OVA)
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原作マンガ       士郎正宗
監督・シリーズ構成  神山健治
ストーリーコンセプト  押井守(2期のみ)
脚本           神山健治、藤咲淳一、櫻井圭記、佐藤大、菅正太郎、寺戸信寿(1期のみ)、松家雄一郎(2期のみ)
キャラクターデザイン 下村一(1期)、後藤隆幸・西尾鉄也(2期&OVA)
音楽           菅野よう子
アニメーション制作  Production I.G{/netabare}


◆視聴メモ(TVシリーズ)

(1) 第1期「STAND ALONE COMPLEX」
{netabare}
・第2話視聴終了時点
ん?これって安っぽいヒューマニズム系作品なの?
・第3話視聴終了時点
心身問題(mind-body problem)にチョイ掠り
・第10話視聴終了時点
「米帝」は巨悪だ!という前提が如何にも"ベトナム戦争世代"だなと・・・
・第15話視聴終了時点
再び「心身問題」・・・「自己言及のパラドックス」「チューリングマシン」「ゴースト」等それっぽいキーワードを小出ししてるけど内容自体は踏み込みが浅くて余り評価できない。
・第21話視聴終了時点
ここから山場の展開だが、「米帝」がBig Brother(G.オーウェル『1984年』の全能の支配機構)という設定が何とも・・・
・第25話視聴終了時点
「自由意志」が芽生えたタチコマが自己犠牲を払ってバトーさんを救い全滅しました・・・って、事態打開の方法が如何にも安直じゃありませんか?{/netabare}

(2) 第2期「S.A.C. 2nd GIG」
{netabare}
・第5話視聴終了時点
そこはかとなく漂う5.15事件へのシンパシーが微妙・・・
・第12話視聴終了時点
鹿児島・鹿屋の特攻隊出撃基地近くの戦没者慰霊塔を無造作に使っちゃってる点が×
・第23話視聴終了時点
親中派で米帝の軍産複合体の謀略に強い危機感を持ち国連査察に期待する首相って・・・いつの時代の感覚?
・第25話視聴終了時点
クゼの目的が「肉体を失った人々のゴーストを束ねた霊的上部構造の構築」って・・・これってオカルト話だったの?
・第26話視聴終了時点
シナイオライターは米中露等距離外交・国連協調路線が好きなんだね。{/netabare}


◆各話タイトル&評価(TVシリーズ)

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

======= 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX (2002年10月-2003年11月) =======
{netabare}
第1話 公安9課 SECTION-9 ★ 西暦2030年、公安9課のロボット芸者鎮圧、脳殻入れ替え技術(スパイ亡命阻止)
第2話 暴走の証明 TESTATION ☆ 剣菱重工製戦車暴走
第3話 ささやかな反乱 ANDROID AND I  ★ カナダ大使子息とアンドロイドの恋人、心身問題(mind-body problem)
第4話 視覚素子は笑う INTERCEPTER ★ 笑い男事件(トグサ同期(特捜ヤマモト)の不審死、事件再発(警視総監殺害予告))
第5話 マネキドリは謡う DECOY ★ 続き(6年前の事件、ナナオ・A容疑者監視の顛末)
第6話 模倣者は踊る MEME ★ 続き(大堂警視総監連続襲撃事件、荒巻9課課長の挑戦状)
第7話 偶像崇拝 IDOLATER ☆ コピー・ゴースト技術(南米麻薬王・革命の英雄の来日)
第8話 恵まれし者たち MISSING HEARTS ☆ 医学生の悪質な臓器ビジネス
第9話 ネットの闇に棲む男 CHAT! CHAT! CHAT! ★ 笑い男事件の続き(ネット座談会への素子潜入)
第10話 密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE × 連続猟奇殺人事件(バトーとマルコの因縁、米帝CIAの画策)
第11話 亜成虫の森で PORTRAITZ ★ トグサの授産(電脳閉殻症患者隔離)施設内偵
第12話 タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM ☆ 特定タチコマ個体の冒険(少女との交流)、ゴーストの宿る箱
第13話 ≠テロリスト NOT EQUAL ☆ 東シナ海廃棄プラント潜入、「興国の旅団」リーダー確保
第14話 全自動資本主義 \?$ ☆ 大富豪・投資家横瀬氏保護任務 ※オチのない回
第15話 機械たちの時間 MACHINES DESIRANTES ★★ 心身問題(※第3話参照)、タチコマの運用凍結
第16話 心の隙間 Ag2O ★ タチコマのラボ送り、バトーvs.元ボクシングチャンプ(ザイツェフ海上自衛軍格闘技指導員)
第17話 未完成ラヴロマンスの真相 ANGELS' SHARE ★ ロンドン銀行籠城事件(荒巻課長活躍回)
第18話 暗殺の二重奏 LOST HERITAGE ☆ 中国・金外務次官暗殺阻止任務(荒巻課長の戦友・故辻崎陸自調査部長のゴーストの復讐未遂)
第19話 偽装網に抱かれて CAPTIVATED ★ ロシア系北方マフィア「目隠しイワン」の未成年女性集団拉致事件、神崎元総理の感謝
第20話 消された薬 RE-VIEW ★ 電脳硬化症特効薬(村井ワクチン)接種者リスト紛失、トグサの「ひまわりの会」内偵、厚生省強制介入班の襲撃
第21話 置き去りの軌跡 ERASER ★★ 村井ワクチン不認可の真相、9課VS.介入班、今来栖殺害、笑い男の正体
第22話 疑獄 SCANDAL ★★ 新見厚生労働省医薬局長逮捕、荒巻課長&素子の危機、笑い男の依頼、義体換装
第23話 善悪の彼岸 EQUINOX ★ 瀬良野社長再誘拐、6年前の事件の真相、黒幕・薬島与党幹事長
第24話 孤城落日 ANNIHILATION ★ 荒巻&総理の直談判、軍特殊部隊(海坊主)の公安9課強襲、9課離散
第25話 硝煙弾雨 BARRAGE ★ タチコマの自由意思(バトー救援)、公安9課壊滅? ※ピンチの解消方法が安直×
第26話 公安9課、再び STAND ALONE COMPLEX ☆ 3ヶ月後(薬島幹事長疑惑追及、9課メンバー再集合)、笑い男と荒巻の対面{/netabare} 
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)3、★(良回)14、☆(並回)8、×(疑問回)1 ※個人評価 ★ 4.1

OP 「inner universe」
ED 「lithium flower」


========= 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG (2004年1月-2005年1月) ============
{netabare}
第1話 再起動 REEMBODY ★ 個別の11人中国大使館籠城事件、反動保守の新政権(茅葺首相)、公安9課再建
第2話 飽食の僕 NIGHT CRUISE ☆ ギノ操縦士の妄想癖 ※「哀れなほど真実を知らないプロレタリア」って・・・
第3話 土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE ☆ 田所元経団連会長内偵、政財界大物秘密パーティ潜入
第4話 天敵 NATURAL ENEMY ☆ 内閣情報庁・合田補佐官の9課接触、暴走自衛隊ヘリ群鎮圧任務
第5話 動機ある者たち INDUCTANCE ★ 茅葺首相暗殺予告(仇∞士)、首相警護任務、革命の聖典『個別の11人』、クゼの首相襲撃・撃退
第6話 潜在熱源 EXCAVATION ☆ トグサのエネルギー省脅迫被疑者身元調査(旧首都・東京へ、大深度地下の秘密原発発見)
第7話 狂想は亡国の調べ Pu239 ☆ 「個別の11人」プルトニウム強奪阻止任務(合田の9課介入)
第8話 素食の晩餐 FAKE FOOD ☆ 合田の経歴調査、「個別の11人」感染者のメディア露出、内庁の不可解な情報操作
第9話 絶望という名の希望 AMBIVALENCE ★ 同時多発的無差別自爆テロ、招慰難民の犯行?、素子の内庁潜入、合田の野望(国家改造の英雄プロデュース)
第10話 イカレルオトコ TRIAL ☆ トグサの人命救助失敗と拘留、不毛な裁判
第11話 草迷宮 affection ★ 素子の過去(クゼとの出会い、全身義体化と折り紙の記憶)
第12話 名も無き者へ SELECON ★ 首相暗殺未遂犯の行動再開、ウィルス発症条件、「個別の11人」鹿児島終結・九州電波塔集団自決事件
第13話 顔 MAKE UP ☆ 自決事件報道の影響、パズの因縁の相手、未遂犯の氏名判明(クゼ・ヒデオ)
第14話 左眼に気をつけろ POKER FACE ★ 隻眼スナイパー・サイトーの過去(メキシコでの素子etc.との死闘)
第15話 機械たちの午後 PAT ☆ タチコマ開発者(有須田博士)亡命阻止
第16話 そこにいること ANOTHER CHANCE ☆ 難民の長崎流入問題と日米安保改訂問題、電脳世界のハブ形成、クゼの過去(新義州PKF)
第17話 修好母子 RED DATA ★ 素子の台湾渡航任務(難民達のカリスマ・クゼ)
第18話 天使の詩 TRANS PARENT ☆ 9課のベルリン渡航(「天使の羽」掃討任務、バトーの気迷い)
第19話 相対の連鎖 CHAIN REACTION ★ 出島の難民自治区宣言、合田暗躍、素子とクゼの電脳空間での接触、9課の出島襲撃・クゼ拿捕失敗(新人殉職)
第20話 北端の混迷 FABRICATE FOG ★ 素子の沈鬱、択捉島・ロシアマフィア&クゼのプルトニウム取引への陸自介入、クゼvs.バトー
第21話 敗走 EMBARRASSMENT ★★ 続き、クゼ協力者の自爆・オスプレイ破壊(イシカワ負傷)、合田暗躍(クゼ長崎出島帰還)
第22話 無人街 REVERSAL PROCESS ★★ 九州の戒厳令発令、電波塔の爆弾解体処理・プルトニウム回収、バトーの合田問い詰め(個別の11人自決事件の真相、不確定要素の介在、殉教者の条件)
第23話 橋が落ちる日 MARTIAL LAW ☆ 高倉官房長官・合田内庁補佐官の策動進行(茅葺首相の懸念、陸自の出島封鎖、出島事変発生(自衛軍vs.暴走難民))、素子のメッセージ(対クゼ) 
第24話 出島、空爆 NUCLEAR POWER ★ 茅葺首相拘束、陸自特殊部隊の出島突入・バトー隊との交戦、米帝原潜浮上(合田の最終目的判明・・・難民暴走を装った核爆弾投下・出島&難民一挙消滅)
第25話 楽園の向こうへTHIS SIDE OF JUSTICE × 素子とクゼの接触、トグサの茅葺首相救出 
第26話 憂国への帰還 ENDLESS∞GIG  × 素子のクゼへの協力、米帝原潜の核弾頭発射、タチコマの命令無視・自己犠牲、バトーの素子救出、高倉逮捕・合田射殺、クゼ死亡{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)10、☆(並回)12、×(疑問回)2 ※個人評価 ☆ 3.7

OP 「Rise」
ED 「living inside the shell」


=== 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(S.A.C. SSS) (2006年9月) ===

全1話 ☆ 3.5 {netabare}ウィザード級ハッカー傀儡廻しvs.素子の抜けた9課&素子(単独行動) ※孤立老人の介護問題を絡めたサスペンス仕立ての話だが特に観るべき点なし{/netabare} ※約1時間49分

OP 「player」
ED 「date of rebirth」


///////////////////////////////////////////////////////////////

◆制作情報(劇場版1&2)
{netabare}
原作マンガ      士郎正宗(講談社『ヤングマガジン海賊版』1989年5月)
監督         押井守
脚本         伊藤和典
キャラクターデザイン 沖浦啓之
音楽         川井憲次
アニメーション制作  Production I.G{/netabare}


========= GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 (1995年11月) ===========

全1話 ☆ 3.7 {netabare}素子との融合を望む"人形使い"との闘い ※何でここまで東南アジアの華人街っぽい背景が多用されるのか謎(これ、香港映画?と思うほど){/netabare} ※約1時間22分


===================== イノセンス (2004年3月) ===================

全1話 ☆ 3.7 {netabare}バトー&トグサ・コンビのガイノイド連続暴走事件調査 ※まるで未来の日本は香港にでもなったような設定が酷い{/netabare}  ※約1時間39分

投稿 : 2025/01/04
♥ : 27
ネタバレ

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あにこれでの攻殻の順位変動

■攻殻の順位変動について

自分があにこれに来たのは2011年の夏、招待制だった頃で、その頃
の攻殻の総合順位は7~9位くらいだった気がする。

たしか1位がとらドラ!、2位エヴァ、3位がCLANNADのAFだったかな。

CLANNAD、あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。も現在よりは
上位だったはず。

その後、一部のエヴァアンチによる悪意のある工作(明らかに1人の
人間が大量のIDを用い低評価を付けまくり)により、エヴァの順位が
やや低下。シュタゲとコードギアスが徐々に上昇。

あとは自身何度か休止を挟んでいるので、正確な事は分からないです
けど、大きな動きは無かったような。

2013年の6月、化物語が急にトップに、攻殻も一気に順位を上げる。

詳しくは

化物・攻殻の大躍進
http://www.anikore.jp/board/608/

自分は2013年の6月下旬~11月中旬まであにこれを休止しているので、
どう変化したのか分からないですが、気付くと攻殻が1位になっていた。


■攻殻機動隊が1位の弊害

レビューサイトとしての信頼度は上がる気がするものの、あまり良い
事では無いよーな・・。


・視聴のハードルが高い

あにこれに初めて来た人が最初にチェックするのは、総合1位の作品と
そのレビューだろうし、それがよく知らない作品だったとする。

普通は見る。自分が来た時も、まずは「とらドラ!」を見た訳ですよ。

釘宮病だったので掘り出し物を見つけた気はしたものの、ストーリー
はそんなに面白く無かった、なんでこんなもんが1位なんだよ、と。

とはいえ、とらドラ!だったら多分どんな人でも完走出来るだろうし、
死ぬほどつまらない、なんて事も無いはず。

少なくとも「話が難しくてよく分からん」という事はまずない。攻殻
だと結構な確率でそれがある訳です。

「初っ端で挫折する人が出て来る」、これが問題の1つ。

タグに社会派ドラマとかあるけど、巷で話題の半沢直樹とかとは受け
入れの広さが違う。

「やられたらやり返す。倍返しだ!」で、キャッキャするよーな事は
できねー訳です。


・レビューも書きにくい

頑張って完走したとする、そうなると次はレビューです。

レビューを書くのが初だったら、まずは人の真似をして書いて慣れる。

あ~みんな 感動した 最高だった 神アニメだった って書いてる。

よし、じゃあ自分もそんな感じで書こう、と。

そんなノリで書いたレビューは段々消したくなるのですが、仮に後に
消したり書き直す事になるとしても「慣れるために必要な事」な訳で、
攻殻の場合はそのハードルが非常に高い。

「え~、こんな視点で見て、こんな事を書かなきゃいけないの~」

なレビューが沢山並んでいる訳です。当然、脱落する人が出て来る。


■一部の人用の作品

○攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 *8,722 **,*** 19,680 02.12.21

○攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 11,533 14,576 20,158 04.03.26 


ほぼ同時期に出ているガンダムSEED

○機動戦士ガンダムSEED 【全13巻】
巻数 初動   2週計  累計   発売日
01巻 30,147 38,685 71,081 03.03.28

売上が全てという事では無いですが、圧倒的に負けている訳でして、
性質としては あにこれでの順位は876位、総合得点は64.7点 の

○頭文字D Fourth Stage 【全12巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 22,008 29,647 44,169 04.06.16

に近い。「特定の事に興味がなければ普通は見ない、けど、その一部
をほぼ確実に掴める」攻殻もそういった類のものです。


◯涼宮ハルヒの憂鬱 【全8巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
00巻 28,729 33,892 35,176 06.06.23

○コードギアス 反逆のルルーシュ
DVD版 【全9巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 36,634 45,593 62,527 07.01.26

○魔法少女まどか☆マギカ 【全6巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 52,944(*9,097) 57,767(10,295) 68,547(11,542)

○化物語 【全6巻】
巻数    初動       2週計       累計
      DVD(BD)    DVD(BD)     DVD(BD)
01巻 15,513(29,372) 19,103(37,251) 24,755(58,048) 

○けいおん! 【全7巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 32,503(*7,949) 35,220(*9,418) 42,625(10,847) 

○進撃の巨人 【全9巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 37,339(19,454) 40,488(21,852) 51,473(29,252)


もっと色々見たければ、

検索 TVアニメ 先発累計平均5000超作品一覧 除外方式 2000年以降


つまり「1位の作品を見る」という気持ちでは、見ない方が良いです。

現在たまたま1位ですが無理して手を出すよーなものではない、内容
に興味がある一部の人だけが勝手に見て、勝手に盛り上がる代物。

自分も含めて、攻殻好きは「理屈っぽくて面倒臭いイメージがある」
ので、レビューを書いたらマイナスになる事もあると思います。


■下がんねーかな順位・・

見て面白くなかったら、積極的に面白くねー、つまらねーと書くのが
良いです。

所詮メスゴリラとむさい男共とハゲジジイが社会の隅っこで色々な事
をしてるだけの話で、2ndに出て来る茅葺総理の雰囲気が少しエロい事
以外は女っ気の欠片もない。

美女、美少女不足は現代アニメとしては「重大な欠点」な訳で、欠陥
商品にはいくら文句を言っても問題ねーです。


大昔に書いた少し恥ずかしいレビュー
(をやや修正、主に「読むに堪えない暑苦しい部分」をカット)
{netabare}

レビュータイトル:よし、そろそろ熱い想いを込めて書こう。

このサイトに来て半月程。
長文書くのは久々だったし、そもそもレビューを書くのは初体験で
この作品への思い入れが強過ぎたせいでこれのレビューを書くのを
後回しにして来たけど、大分慣れて来たんでそろそろ書く事にする。


■一部の人用の作品、マニア用、無駄な凝り具合

普通のアニメとは凝り具合が完全に別方向。

自分は、これ以外の作品ではどれだけ評価が高いものでも気に食
わないと言いたい放題書いてきたし、レビューの内容はそれで良い
と思います。


■科学崇拝

とある魔術の~の話じゃなくて、科学崇拝者ホイホイ作品という話。

【エヴァの自分のレビューの一部】

(エヴァレビューにはひどい事を書き過ぎた為、少し反省、控えめ
 に書き直しを行い、今はこの部分は残ってないです)

ーーーーーーーーー
「攻殻」-「立証可能な理論、現実性」+「ウジウジ君」=エヴァ

「現実を元にした虚構」=攻殻 「虚構を元にした虚構」=エヴァ

背景にあるのがエヴァの場合は宗教と現実味の無い哲学で、攻殻
の場合は、背景が科学と推論としての哲学、あと文学少々。

攻殻は実際ある理論を元に今後ありそーな世界で、ありそーな事を
やってる訳で、両方メッセージ性で話題になった事あるけど、違いは
理解して頂きたい。
ーーーーーーーーー

攻殻を絶賛していたアニオタの友人達は皆が数学、物理、科学等の
崇拝者でして、情緒面よりも科学、エロ、萌え、そして金。と。

検索 空想科学読本

この本中身を知らずにバスで読んで笑いが止まらなくなって困った
事があったんですが、多分この手の作品が好きな人がハマる傾向が
あるのが攻殻。

つまり理系用作品、文系でこの作品の中身にまで興味を持った人は、
相当偏差値が高く良い高校や大学へ行っている(た)人な気がする。

ちなみに「攻機」じゃなく「攻殻」と略しているのは、何の作品なのかが
分かりやすくなるようにする為。口頭でも「攻機」と言ってしまうと通じ
ない場合があるので「攻殻」と言う癖が付いてます。


■銃器、兵器、他陸自等、軍事オタホイホイ

作品には架空のもの実在のものが出て来て、攻殻はかなり凝って
ます。興味ないと評価できないでしょうけど、これも売りの一つ。

ブラックラグーンとかでも少し出て来る話で、
(「軍人達は皆プラグマティストだ、憶測じゃ動かない」だったかな)

軍事はプラグマティズム(実用主義、道具主義、実際主義、行為主義)
の塊なので、科学崇拝者達とは非常に相性が良い。


■攻殻は近未来の日本が舞台の話

2030年頃の日本を舞台にした話なんですけど、2019年の事とかも
あるので、現在2011年ですけど、ちょっとリアル科学は攻殻に追い
つきそうにないですね。追いつくと思ったのになー・・残念だ。


■本当にありそーな設定、無茶とは言い切れない設定

「立証可能な理論、現実性」「現実を元にした虚構」

・・、立証可能な理論って言葉の使い方おかしいけど、他に言葉も
浮かばないから、イメージとして理解して頂きたい。

(実証、証明・・とも少し違うよーな、やはり立証が一番近い気がする。
理論を立証するって言い方はあるから、立証可能な理論でOKなはず)

そういった現実からの発展、推測、推論、未来予測が元になってる
作品なので「そんな未来があり得そう」な訳です。


■その発想力と設定の細かさ

ここのレビューの限界文字数知らないけど、本気で書くと多分余裕
でオーバーするので、設定は解説サイト見て来ると良いです。

架空の話なんだから、そんなとこまで細かく設定する事ねーよ!な
内容で、それ故にマニアが食い付く。


■出てくるキャラ

メスゴリラ、むさ苦しいおっさん達、無駄に有能なジジイ、そして
攻殻が好きはきっと皆大好き笑い男。2rdでは雰囲気がエロい総理。


■作画

萌え絵じゃなくて、変な作画じゃなくて、本当に良かった。


■台詞

センスが日本のアニメのよくあるそれではない、ハリウッド映画系、
ともやや違う、脳筋系すらそのセンスのせいで激しく良いキャラに。

蒼天航路、富野作品、ブラクラ、銀英、冨樫や福本作品、ビバップ

パッと思いつくので、それぞれが独特に台詞が印象に残る作品。

攻殻にも脚本に6人のうち1人がビバップに関係してるけど、ビバップ
ともやや違う。台詞一つで台無しになるところを素晴らしい仕上がり。


■声優

有名どころだけ:田中敦子 大塚明夫、山寺宏一 中田 譲治 三木
眞一郎  折笠愛 榊原良子


■音楽

日本の至宝、菅野ようこ様

検索 Inner Universe (full song)

2011年秋に480万再生、2013年年末に900万再生。


■アニメーション製作・Production I.G

作中もだけど特にオープニングが気合入り過ぎで、当時開いた口が
塞がらなかった。

検索 攻殻機動隊 S.A.C Origa - inner universe OP : Ghost in the? Shell

検索 攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG Origa - rise - YouTube


■これが原作漫画だと?

原作を超えたとかよく聞くし、原作は見る気も起きない。


■士郎正宗

原作者の別の作品「RD潜脳調査室」を見た時の、俺の落胆っぷり
といったら・・いや、そんなものは存在しなかった。


■周囲で影響を受けた人は数知れず

急にハッキング系の本を読み出したり、サリンジャー作品を読み出し
たり、作品に出てくる用語をネタとして使いまくる人々。自分がよく使用
したのは「~と囁くのよ、私のゴーストが」

人気があったのは光学迷彩

検索 光学迷彩 ニコ大百科


■STAND ALONE COMPLEX

独立した個人が結果的に集団的総意に基づく行動を見せる社会現象
孤立した個人でありながらも全体として集団的な行動をとる


この作品は色々な部分を作ってる人々が、他の部分のあまりの出来の
良さに影響されて、普段の実力以上の仕事を、創作への熱意を燃やす
事になった、そう解釈しています。

「どんな環境でどんな仕事にも真剣に取り組む人」は非常に立派です。

しかし、やはり他がダレていたり、打ち込む価値が無いと感じてしまう
と、どうしてもやる気が無くなる、人間とはそういうものです。


我々の間には、チームプレーなどという都合の良い言い訳は存在せん。
有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。


製作側がアニメをどういう風に作っていくかは知らないので、ただの
妄想。

スタッフ全員本気で良い仕事し過ぎて、自分だけ手が抜けなくなった、
というより自分も感化されて本気になった、攻殻機動隊製作委員会に
はそれがあったと思う。

質の良い原作ありきで、更にスタッフ個人の良い仕事し過ぎ、頑張り
過ぎによる相乗効果、その成果こそが

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」だと、自分は信じている。


■書き直したい

暑苦しい駄文を大分カットしてすっきりしたけど、全部書き直したい。

でもそんな事をするなら、最初から全部見ないと・・。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 120

90.4 2 サイバーパンクアニメランキング2位
攻殻機動隊S.A.C 2nd GIG(TVアニメ動画)

2004年冬アニメ
★★★★★ 4.3 (2335)
12412人が棚に入れました
「笑い男事件」が解決して半年…労働力不足を補うため国外から招かれた約300万人の招慰難民。日に日に存在感を増す招慰難民と、国家の孤立を謳うインディビジュアリストたちの対立は深まり、テロが頻発するようになった。その状況の中で「個別の11人」を名乗るテロリストがテロと自決を決行する。
だが「個別の11人」のその行為の背後には、あるからくりがあり、その仕掛けに踊らされていただけだった。それに気づいた公安9課は、その事件の黒幕へと迫っていく。
一方、自決した「個別の11人」の生き残りであるクゼは、招慰難民のカリスマ的指導者となり政府と対立を深めていく。そして素子(もとこ)はそのクゼとの間に奇妙な因縁を感じ始める…。

声優・キャラクター
田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、小野塚貴志、山口太郎、玉川砂記子
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

低きに流れた水の中の魚は灼ける大地の事を何も知らない

攻殻機動隊S.A.C.の2期に当たる作品。前作の「笑い男事件」終結から凡そ2年後の世界が舞台。今回テーマの中核となるのはナショナリズムにテロリズム、難民問題、代理戦争など。前作と比べさらに政治色の強い作風になっています。

地道な捜査の積み重ねで積極的に「笑い男事件」の真相を追うミステリー色の強い1期に対し、2期では依頼を受けてから行動、事件が起きてから対応という受身の展開が目立ち、常に※1攻性である事を謳い文句にしている9課の本領が発揮される場面が少なくなってしまっています。情報戦における優位性を確保出来ずに敵に先手を打たれるなんて場面もしばしば。物語の運びからもやや鈍重な印象を受けます。

1期では表舞台に上がらなかった「※2内閣情報庁(内庁)」なる組織が9課のライバル的な位置付けとして登場した事がその大きな原因で、内庁は監視、工作活動により、9課の動きを牽制しつつ、自らの組織の謀略計画を進行させていきます。

さらにこの2GIGではクゼという強敵も9課の前に立ちはだかります。テロリストという括りの中にありながら、非常に人情深く頭の切れるキャラなので、彼もまた9課のみならず内庁をも翻弄する存在として物語の中で大きなウエイトを占めていく事になります。

踏まえ、本作2GIGは、公安9課と内庁、さらにクゼを交えた-三つ巴の化かし合い-頭脳戦の色合いの強い作品になっていると言えるのではないでしょうか?

※1~2
{netabare}
※1:作中では当たり前の様に使われている単語ですけど、あれこれ辞書を引いても該当するものは見つからず(汗)内攻性(表面に表れず内側に広がり攻める意)という言葉は存在するので、概ねその逆のニュアンス、単純に攻撃的、積極的という意味合いで捉えても問題ない言葉だと思います。

※2:現・内閣情報調査室、国家安全保障会議、国際情報統括官組織などを統合して作られた組織との事。国内外の諜報活動や情報操作等による謀略活動なども行なう上、国防に関しても発言力を持つという非常に力のある組織。米CIAみたいな感じです。人員数、組織力の面で9課を圧倒的に上回る。
{/netabare}

また本作では、個人の情報を丸ごと外部記憶装置に移し変えた時、そこにゴースト(魂)は宿るのか?あるいは人造物にゴーストは宿るのか?という疑問や、肉体(義体)がゴーストに与える影響等についてのお話もそこかしこに見られ、1期と比べ、より原作テーマへの接近が試みられている点にも大きな特徴があります。

人の体を一度分解して別の場所に再組成する転送装置というものが、古~い海外ドラマの「※3スタートレック」とか洋画「※4ザ・フライ」なんかでは登場しますが、ちょっとだけ冷静に考えてみると、いずれの例でも、装置に入った人は転送の際-肉体が分解された時点で-一度死んでいると解釈出来る点に非常な怖さがあります(汗)分解の過程を除けば、本作で描かれる人体情報の電脳ネットへのコピーも、これとほぼ同じ事をしていると言えます。

ではコピーされた人格って同じ人?別の人?という疑問についてはどうなのでしょう。近似として双子の例を取ってみると、遺伝情報は同じでも、ヒトの脳の取り得る量子状態は一瞬毎に10の13乗通り以上あるらしく、両者の個性の分岐は主にそれゆえに生じる現象だそうなので、オリジナルにとっては双子に等しいコピー人格も、このケースと同じく独立した別個の人格になると考えられる様です。

さらに電脳ネット内の人体情報を別々の場所にコピーした場合、当然の結果として、3つ子、4つ子に相当する異なった人格をそこに見出す事が出来るはず‥。

まとめると、わたし達の身体に宿す人格(本作で言う所のゴースト)とは膨大量の選択肢から脳が選び続けた積み重ね、迷路の様に無数に枝分かれした可能性の末端にしか観測されない、また凡そ、この宇宙に唯一つしか存在し得ない、かけがえの無い奇跡の様な帰結と評価する事が出来るのです。

なので、今この文章をお読みの皆さん! 皆さんの中に仮にコピー人間の方がいらっしゃったとしても、何ら恥じる事はありませんよ。あなたはあなた以外の何者でもないのですから。「私が死んでも代わりはいるもの…」とか暗~い台詞は当然無用です(笑)ご自身のゴーストには一定の誇りと責任を持って胸を張って生きましょう!

‥さてさて、もう一つの原作由来のテーマ、肉体と精神の不可分性についてに話を移すと、これは電脳ネット内に記録されたコピー人格が自身の肉体を錯覚する事さえ出来れば(義体を手に入れるか電脳ネット内にアバターを作るなどすれば)充分にクリアー出来る問題だと思います。肉体から脳へ、脳から肉体へというフィードバックが上手く働かないと精神の健康を害してしまうそうなので、これは必須の条件と言えます。意識はあるのに外界の事を何も認識出来ない、な~んて状態がずっと続いたら※5SAN値が下がりまくる事は容易に想像出来ますからね(笑)原作漫画にあたる「攻殻機動隊2」や派生作品の「紅殻のパンドラ」においても、そんな問題について触れられていますので、ご興味のおありになる方はぜひ手に取って読んでみて下され。

※3~5
{netabare}
※3:邦題「宇宙大作戦」。惑星連邦(訳によっては銀河連邦とも‥かな~り違う)なるものが設立された遠い未来の宇宙を舞台にしたテレビシリーズ。宇宙船エンタープライズ号の船長カークと、その仲間たちの活躍を描く惑星・宇宙探査アドベンチャー。戦記ものの性質も若干ある。派生作品多数。今年(2017年秋)には「スタートレック:ディスカバリー」という新シリーズも公開されるそうです。でも日本での知名度は何故か低め(汗)

※4:転送装置を使ったある実験中、その中に一匹のハエが紛れ込んでしまい大変な事に‥身の毛もよだつSFホラー映画。

※5:クトゥルフ神話TRPGにおけるパラメーターの一つ。プレイヤーの正気度を示す数値。SANは英語のSanity(正気さ)の略。0になると発狂し、ゲームオーバー扱いとなる。
{/netabare}

文学について、引用元は1期はD・J・サリンジャー、2期は三島由紀夫とされていますが、後者については引用許可を取るのが困難とみられ、また右翼による殴り込みの可能性も踏まえ、結局の所、架空の思想家パトリック・シルベストルにすげ替えられたという裏話があるそーです。なんてこった(汗)

確かに神山監督は現実の事件と自身の作品を深く結びつける傾向があり、関係者からの反感を買う種を闇雲にばら撒いている節があります(笑)ですが、これはあくまでもフィクション。モチーフとした事件と作中エピソードの顛末には何の関係もありません。アニメに自分の思想を代弁させる様な行為はあまり褒められたものではありませんが、神山監督はギリギリの線の所でその点をカモフラージュしつつ、あくまでも社会問題に目を向けさせる方向に視聴者を誘導している様にわたしには思えます。何と言いましょーか、綱渡りですね~(笑)

三島由紀夫の名を使えなかった事で、前作と比べリアリティが落ちたと言う意見を方々で目にしますが、この点については、わたしはかえってそれで良かったのではないかと思ってます。前作におけるサリンジャーの引用のくどさは、作為的なものが見え隠れする所為で、かえってリアリティを削っていた様に私的には思えましたし、サリンジャーも三島由紀夫も知らぬっていう人にとっては、はっきり言ってどっちでもいい事ですからね。事実、物語としてちゃんと成立している※6総集編ディスクでも、シルベストルに関する台詞は殆ど削られていましたし(笑)

士郎先生の漫画の良い所は、特定の政治思想などに肩入れする様な事はせず、率直に淡々と未来世界を夢想している所にありますが、それだけに、善と悪、敵味方の図式で描かれる事の多い、ある程度の単純さが要求される娯楽性重視のアニメ作品とは、もっと言えば、テーマを明確に提示したがるきらいのある神山監督の作風とは、若干ながら相性が悪いのかも知れませんね(汗)


キャラについて、2期において先ず目を引くのはやっぱりこの人! 怪人・合田一人(名は"かずんど"と読む。ユニークな顔とセットで覚えよう)。顔面の右半分と左半分の造形のギャップが著しい、有名どころで例えるなら※7あしゅら男爵みたいな風貌してます。1期には存在しなかった役どころにあり、序盤から登場する明確な敵役として強い印象を残します。自己顕示欲の強い自惚れ屋。あくどい事を嬉々として語るタイプのキャラなので、視聴者の憤りの矛先も9課の人たちと同じくこの人に向かうかも知れません。

そしてクゼ・ヒデオ。能面の様に動かない顔を持つ※8前身義体のテロリスト。頭脳明晰にして戦闘能力極めて高し、自らの思い描く革命を実行に移さんと信念のままに行動する人。弱者の味方で無駄な争いを好まぬ人格者でもあるという、正に完璧超人。中の人(小山力也さん)曰く「完璧すぎて真似出来ない」だそうな‥わたしもそー思います(笑)

また、9課の新メンバーとしてアズマ、矢野、プロト君が登場しますが、前者から数えて二人は出番少な目、影薄めの役回り。プロト君には結構見せ場が用意されてます。一応3人とも原作登場キャラで、アズマは押井監督の「イノセンス」にも登場。そっちでもこの人不遇な扱いですが(汗)原作漫画の攻殻機動隊1.5では出番多めだったりします。嗅覚素子が強化されていてワンコみたいに臭いで対象を追跡出来るという裏設定あり(笑)

※6~8
{netabare}
※6:新作映像、新規アフレコを追加して161分にまとめた再編集版「Individual Eleven」の事。シルベストルに関する台詞、個別エピソードの殆どをカット。スピード感重視の映画的編集になっており、テレビ版よりもサクサクと物語が進む印象で観やすかったです。

※7:元祖スーパーロボットアニメ「マジンガーZ」に登場する悪役。右半分は女性、左半分は男性という設定の人造人間。

※8:脳以外の全てを機械化している人の事を指す。作中では少佐とクゼの二人が前身義体。部分義体の人とは異なり、生体にかかる負荷を殆ど考慮しなくても良いので、その動作は高速かつパワフル。痛覚とかの遮断も出来るので体が損傷してもひるまない。
↓続き
片腕サイボーグって何だか強そうなイメージありますけど、重い物を持ち上げたり、思い切りパンチしたりすると接合部分の脱臼や疲労骨折のリスクが大きくなって、あまりよろしく無いらしい。原作1巻では"部分サイボーグは「人間の能力を補う」前身サイボーグは「人間以上を作る」"と説明されていました。そういう理由でこの二人(次いで義体化率が非常に高いバトーさんとか)は別格に強い。主人公補正とかではない(笑)
{netabare}後半のバトーさんVSクゼの一騎打ちシーンは本作のハイライトシーンの一つ。派手なシーンではありませんが緻密な描写が美しい!最優の義体使い同士の闘い、とくとご覧あれ!{/netabare}{/netabare}

構成について、続き物と一話完結のエピソードが明確に区別されていた1期と違い、大部分のエピソードが主軸となる「個別の11人事件」に関連する内容となっています。なので下に付記した分類は申し訳程度のものと考えて、素直に全話視聴した方が良い気がします。総集編を観て面白かったら、テレビ版を視聴というのもアリでしょう。

黒=一話完結 :1.2.3.6.8.10.13~15.17.18
白=クゼ関連 :5.11.12.16.19~21.23~26
灰=ゴーダ関連:4.7.9.22

全体的に緊迫感高め、アクションシーン多めの構成ですが、上でも述べた様に前作では深く切り込まなかったゴースト(魂)の所在についてのお話なんかも割と多めになっています。

他方で1期には辛うじてあった日常描写やお遊びシーンはさらに少なめです。でも本編終了後のお約束コーナー「タチコマな日々」は健在なのでご安心あれ。ちょこっとだけ笑かさしてもらえます(笑)

音楽について、前作に引き続き、菅野よう子さんの曲とOrigaさんの歌の相性が絶妙なオープニングテーマ「rise」が特に良いっ! 前作の「inner universe」は摩訶不思議な浮遊感が特徴的でしたが、今回の「rise」はドラマ、闘争を思わせる、流麗かつ勇ましい曲。2ndGIGの作風との親和性が感じられます。

作中音楽も全て素晴らしい。ですが最も印象に残ったのは、その名も「Go DA DA」という、オスマン軍楽の「ジェッディン・デデン」を改悪した様な曲。聴く度に"ヤなやつ出てきたな~"と感じてしまう程に強烈なテーマ。おかげで色々と刷り込まれてしまいました(笑)

完成まで長らくの時間を要してしまいましたが、学びつつ発見しつつ、ゴーストの囁きに導かれて、今回も楽しく書かせて頂きました。


再視聴を終えて(ネタバレ無しですが一応折り畳んでおきます)
{netabare}
小説や実写映画では既に御馴染みの、近年ではアニメ作品においても確立されつつあるスパイものというジャンルですが、今回の再視聴を通して、本作は後者の先駆けとして既に大きな仕事を果たしていたという印象が新たに加わりました。

フィクションの中で描かれるスパイと言えば、情報を盗み取るとか要人を暗殺するとか、かなり派手な仕事をするのが常で、華々しい表の面(変な表現だけど)だけを描く事がお約束となっていますが、反してこの職業の持つ地味で目立たない仕事、最も卑しい面が描かれる例は極めて稀です。

虚言の流布は現実の世界でもスパイの手によって頻繁に行なわれており、米ソ冷戦時代には特に苛烈に、またそれ以前もそれ以後も、手を変え品を変え巧妙さを増し、脈々と繰り返されてきたものであります。

活版印刷の発明以前から、プロパガンダ戦略は戦争においても、企業間競争などにおいても、大きな役割を占めていた様ですが、時代が進むにつれ、ラジオ、テレビ、ネットと情報の伝播の速さは爆発的な成長を遂げ、その重要性はますますの高まりを見せています。

近未来の世界を描く本作には、電脳ウィルスなるものが存在しますが、これもまたプロパガンダ戦略の一種と見て取る事が出来るのではないかとわたしは思います。

ネットワークを通して知らず知らずの内に人から人へと感染し、いつの間にかその行動を支配するという、ユーザーへの直接攻撃を目的としたコンピュータウィルスとも取れるこの技術は、一見怖ろしげなものの様に見えますが、ちょこっとだけ視点をずらせば、現代に生きる私たちもまた、既にテレビやネットなどを介して、感情や思考を意図ある何者かによって支配され続けている、そんな風には考えられないでしょうか?

一例をとってみると、テレビ人間とそうでない人の違いが挙げられます。テレビの中でも特にバラエティ番組の類を全くと言って良いほど見ないわたしは、テレビ大好きっ子みたいな人と話すと、その言葉遣い、ものの考え方に不安と言ってもいいほどの違和感を覚える事がちょくちょくあります。これは上の話で言えば、わたしがウィルスの感染源との接触を遮断した結果起きた必然であって、その良否はともかくとして、感染者と非感染者との間には無意識下のレベルで何らかの隔たりが生じてしまっている事を表します。感染源にはネット情報は勿論の事、紙媒体の本も当然含まれますので、わたしとて既に何らかのウィルスに感染してる可能性は充分にありますけど(笑)

洗脳は苦言によってではなく、甘言によって行なわれる所に、その正体の見つけ辛さがあります。良心に訴えかけるもの、同情を誘うものは、素朴な正義感を抱えているものにとっては格好のエサで、原油まみれの水鳥の映像や、一人の少女の証言が、戦争の正当性を高める為に利用されたという※9歴史的な事実さえもあります。

昨年話題になった「インターネット上で最も影響力がある25人」の一人に選ばれたある少女の発言にしても、わたしたちの殆どは、それが誰の意図または指示で行なわれたのかを知る術を持ちません。

総評として、大義名分の中に隠された嘘、人心操作のメカニズム、政治における光と闇の実態を、際どい所まで描き切った本作は、社会問題をテーマに据えた攻殻SACシリーズの中でも、最も危険な作品、屈指の名作と評価する事が出来るのではないでしょうか?


※9:湾岸戦争の事、アメリカ軍による自作自演と、難民を演じる様に指示されたクウェート駐米大使の娘によるプロパガンダがテレビなどで繰り返し報じられる。
{/netabare}

おまけ・用語解説など
{netabare}
映像カーテン:通電性のある特殊ガラスに微電流を流して電波や可視光を撹乱、遮断する技術。狙撃や盗聴に対して絶大な効果がある。

バイオロイド:クローン技術を用いて造られた人間。遺伝子操作によってネガティブな因子が取り除かれているおかげで物腰がとても柔らか。つまりいいヤツ。血が白いがロボではない。

スタンナックル:手袋型のスタンガン。義体化してる人にも有効。使用者にもビリッと来るらしい(笑

マテバ:イタリアの食品機器・銃器メーカーの名前。作中では主にトグサさんの使う回転式拳銃「マテバM-2008」が度々こう呼ばれる。発砲時のガス圧で次弾が自動装填されるオートマチック拳銃と比べ、単純構造ゆえに機械的トラブルが起こりにくい。装弾数が6発とやや少ないのが弱点。義体化を敢えてしないトグサさんのキャラと共に作中におけるアンチテーゼの一つになっている。と思う。

日本の奇跡:マイクロマシンによる放射能除去技術の事。人工物ではなく天然モノですが、1986年に原発事故を起こしたチェルノブイリで放射線を養分化できる細菌が近年になって発見されたそうです。除去や無害化とは程遠い性質ですが、こういったものの研究が作中の日本の奇跡みたいな技術に繋がっていくのかも知れません。

マシンなんて言うと鉄やシリコンなどの無機物から作られているというイメージを持たれている方も多いかも知れませんが、有機物のものは勿論の事、近年では生物から採取した生体パーツをそのまま利用する、ちょっと大きめなセボットと呼ばれるマシンなんかもあるそうです。けっこう怖い(汗)実は本作で描かれるマイクロマシンの多くも有機物だったりします。

また作中では「マイクロマシン汚染」なんて言葉もありますが、自己増殖する様にプログラムされたマイクロマシンやナノマシンは天然のウィルス以上に危険なものになる可能性があるそうで、戦争やテロなどへの使用も懸念されているらしい。こちらはかなり怖い(汗)

米帝:アメリカの政策を非難する際に度々使われる「アメリカ帝国主義」を指す言葉ではなく、本作における第四次非核大戦後、3つに割れた国の内一つを指す。正式な表記はアメリカ帝国(American Empire)他二つはアメリカ合衆国と米露連合。

ポセイドン・インダストリアル:「日本の奇跡」の開発によって飛躍的な成長を遂げた巨大多国籍企業。マイクロマシンの他に、義体、兵器の開発・製造なども行なっている。米帝と強固な繋がりがあり、前日譚(パラレルワールド扱いですが)の「紅殻のパンドラ」では悪の秘密結社のイメージ、危険な組織として描かれる。前身である「大日本技研」の名は士郎先生の承諾の元ガレージキットメーカーの名前にもなっているそうです(笑)

デカトンケイル:ポセイドン・インダストリアルが管理するスーパーコンピューターのこと。データを基に仮想人格を構築、シュミレーションする事が出来る。名の由来は10倍を意味する"デカ"と100の手と50の頭を持つギリシャ神話の怪物(巨人)"ヘカトンケイル"の様です。

スプリング8:「播磨科学公園都市内に位置する大型放射光施設。電子を加速・貯蔵するための加速器群と発生した放射光を利用するための実験施設および各種付属施設から成る。」とwiki先生は言ってました(笑)作中ではある人物がプルトニウムの分析の為にここへ向かう描写がある。

招慰難民:世界大戦(攻殻の世界では2030年までに2度の世界大戦が起きているという事になっている)で発生したアジア難民の内、日本に受け入れられた人たちがこう呼ばれる。300万人程いる。国から仕事を与えられているものの、国内労働力が過多の為、国民からは税金の無駄遣いと非難されている。

ハブ電脳:ハブは漢字で書くと轂。轂(こしき)とは車輪の中心、自転車で言えば放射状に伸びるスポークの中心部を指す。作中では膨大数の電脳から生じる意識を繋ぎ止める特定の人物の電脳の事をハブ電脳と表現していた様です。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 24
ネタバレ

キャポックちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

手段のためには目的を選ばない男の末路

【総合評価☆☆☆☆☆】
 士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』の映像化作品には、押井守の劇場版2作、神山健治のテレビ版3作、黄瀬和哉の新シリーズ(『攻殻機動隊ARISE』+新劇場版)、ハリウッド実写版(未見)があるが、押井版第1作『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』と神山版『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』および本作は、いずれもアニメ芸術の到達点を示す偉大な傑作と言って良い。
 神山版第1作の設定を受け継いだ本作(『攻殻SAC2』と略す)では、国家の中枢で暗躍するゴーダの策謀と、これを未然に防ごうとする公安9課の活動が基本プロットとなる。前半では、個別エピソードのように思える話がいくつも挿入され、やや緩慢に話が進むが、後半になると、せせらぎが寄り集まって歴史の奔流となる様が描かれ、終盤8話は、息もつかせぬ怒濤の展開となる。
 日本には、『GUNSLINGER GIRL』『RIDEBACK』『BLACK LAGOON Roberta's Blood Trail』『輪るピングドラム』『残響のテロル』など、テロリストを登場させた傑作アニメが少なくない。ハリウッド映画では、無差別テロリストは問答無用の悪党として容赦なく処断される。これに対して、日本アニメになると、「彼らはなぜテロに走るのか」「テロを防ぐためなら何をやっても許されるのか」といった問題に着目して深く掘り下げており、遥かに見応えがある。『攻殻SAC2』は、「国家権力によって捏造されるテロ」というアイデアをベースに、難民問題や軍産複合体などにも目を向けた社会派作品である。
 もっとも、扱う問題が大きすぎるため、一度で理解することは難しい。私も、初見の際には、英雄的なクゼに気をとられて途中からストーリーを十全に把握できなくなり、冒頭から何度も繰り返し見て、ようやく真価を感じ取れた。以下のレビューでは、再見しようという人のために、ネタバレ前提で作品の意味を解き明かしたい。

【社会的背景】
 舞台になるのは、第3次・第4次大戦の惨禍を経て、新技術による急速な復興を遂げつつある未来の日本。一時期、安価な労働力として大量のアジア系難民を受け入れたが、復興需要が一段落して労働力が過剰になり、難民を隔離・収容する全国数ヶ所の居住区はスラム化している。一方、国民の間には、難民が自分たちに失業をもたらす原因でありながら、彼らに税金が投入されることに対して不満が募り、反感が高まっていた。
 世界情勢に目を転じると、2度の大戦によってパワーバランスが大きく変わっている。もっとも、アメリカ(分裂した一方が「米帝」と呼ばれる軍事大国になる)と中国の冷戦が深刻化する状況は、2004年の制作時よりも現在の世界に似ている。
 こうした中で、{netabare}親米派の官房長官らが、難民問題という火薬庫にワザと火をつけ、米軍の協力の下、これを一気に鎮圧することで、民意をまとめ強権的な体制を作ろうと思い立つ(断片的なセリフから、そう推測される)。社会が混乱したとき、敵対勢力をでっち上げて力で押さえ込み、主導権奪取を画策するのは、権力者の常套手段である。
 ただし、『攻殻SAC2』で描かれるのは、政治家たちの生々しい実態ではない。「難民問題に火をつける」という1点に全力を傾注するゴーダの姿である。{/netabare}

【ゴーダは何をやろうとしたか】
 ゴーダは、内閣情報庁の要職にある立場を利用し、情報技術(IT)を駆使して社会的な状況を「プロデュース」する。
 彼の策略は、2つの方向で進められる。{netabare}1つは、コンピュータ・ウィルスを利用して難民排斥を扇動するテロリスト・グループ「個別の11人」を作り、彼らを英雄に祭り上げることで、国民の間にある反難民感情を増幅させること。記憶を改竄する技術(作品世界で開発済みとされる)を使って、「個別の11人」のメンバーに、自分たちは高邁な理想を胸にテロ活動をしていると錯覚させた。現代に置き換えるならば、SNSのフェイクニュースを利用した世論誘導といったところか。
 ここで重要なのは、記憶の改竄によって国民を直接扇動するのではなく、「個別の11人」という媒介者を利用した点である。直接的な扇動は、カラクリが露見したときに民意のベクトルを一挙に反転させる危険がある。しかし、まず媒介となる扇動者を作り上げ、彼らに対するシンパシーを広めておくと、より安定的かつ容易に民意をコントロールできる。ゴーダのやり口(と言うより、神山らによる脚本)は、実に考え抜かれている。
 もう1つの策略は、難民がプルトニウムを利用した核テロを画策中だと国民に思わせること。核に対する根源的な恐怖感が、反難民感情を掻き立てるからである。ロシアン・マフィアがプルトニウムを難民に売り渡すというシナリオを組み立て、手駒として利用できるクゼを動かした(らしい。はっきりとは描写されない)。日本政府側のゴーダがロシアからプルトニウムを調達するのは難しいので、廃墟となった新宿原発から抜き取ったものを利用した。
 2つの策略によって難民排斥の民意が固まり、アメリカの協力を得て一気にカタをつけるべく軍が動き出すところまでが、ゴーダの使命である。その先は、政治家が自分の思惑に沿って事を進める手筈だったのだろう。{/netabare}

【ゴータの人物像】
 『攻殻SAC2』で瞠目させられるのが、ゴーダという人間の姿である。{netabare}事故で顔面を大きく損傷したのに、あえて修復せず異形のままでいたのは、自分を特別な人間に見せかける自己演出なのだろう。事故前はごく平凡な顔立ちの官僚で、その顔貌の通り、与えられた仕事に素早く対処できる有能な官吏だったと想像される。難民問題に火をつけるための策略は、実に綿密に練り上げられており、本人は天才の技だと思っているようだが、官僚的な処理能力を発揮したに過ぎない。火をつけた後に何をするか具体的なビジョンは語られず、明確な目的を持たないままテロという手段を策謀しただけである。
 連合赤軍事件、オウム真理教事件、911全米同時多発テロなど、現実に起きた事件を調べると、テロ後に何がどうなるかについて、関与した者がきちんと考えていなかったことがわかる。本人は理想のために身を捧げるつもりなのに、その理想を実現する上でテロがどんな役割を果たすのか、理解できていたとは思えない。むしろ、最終的な目的よりも、テロそのものが持つ破壊の美学に陶酔していたように感じられる。
 こうした事情に目を向けたアニメ作家が、自身が全共闘世代で学園紛争の実態を目の当たりにした伊藤和典や押井守である。伊藤が脚本を書き押井が監督した『機動警察パトレイバー』シリーズには、テロという手段だけが共通するテロリストたちの互助会(!)や、軍事力で実権を掌握したのに何の要求も出されない「クーデターを偽装するテロ」が登場する(前者は旧OVA版『機動警察パトレイバー』第2話「ロングショット」、後者は劇場版『機動警察パトレイバー2 the Movie』)。
 押井の薫陶を受けた神山が、テレビ版『攻殻機動隊』シリーズを構想するに当たり、これらの作品を参考にしたことは間違いない。特にゴーダは、「手段のためには目的を選ばない」人間であることが強調される(アメリカが弱腰になったとき、中国と手を組むことも視野に入れていた)。
 こうしたゴーダの特性を象徴的に示すのが、パトリック・シルベストルの著書「初期革命評論集全10巻」に続くとされる、幻の第11巻「個別の11人」である。実は「個別の11人」という著作は実在せず、ネットで探し出して読もうとするとウィルスが発症するという仕掛けなのだが、ウィルスに操られている者は、これを読んで感銘を受けテロリストとして目覚めたという偽の記憶を植え付けられ、心の底から信じてしまう(この状況を描写した第12話「名も無き者へ」のシーンは、肌が粟立つほど恐ろしかった)。テロリストの理想が完全な虚構でしかないという設定は、ゴーダの無目的性を象徴的に表す。
 実は、脚本を執筆した神山は、当初、三島由紀夫の著作を引用しようと考えたようだ。しかし、理想が空っぽだという見解を示すのに、現実の作家を持ち出すのは明らかに不適当である。シルベストルという(現実世界から見ると)架空の思想家の(作品世界において)実在しない著作という二重の虚構性によって、目的がはっきりしないままテロが遂行されるという現実的な恐怖が際立ったわけであり、三島からシルベストルに変更したのは正解だった。
 ビジョンを欠いたまま手段に関して緻密な策略を練り上げ、それだけで自分は天才だと自惚れる小役人的なゴーダを、バトーは、次のような言葉で罵倒する(第22話「無人街」):「お前はやはり、二流だな。…(中略)…個人的な思いつきを他人に強要しているだけでは、人の心を打つことはできない。そこには、善意でも悪意でもいい、何かしら確固たる信念のようなものがない限り、天才とか英雄と呼ばれる存在にはなれない」{/netabare}

【反撃する公安9課】
{netabare} 『攻殻SAC2』の物語が始まったとき、すでにゴーダの策略は大半が完成していた。内閣情報庁の機能を利用してレールを敷き終えており、いくつかの不確定要素を除くと、後はシナリオ通りに事を運べば良い。
 反難民テロにおける犯人の不可解な行動などをきっかけに、公安9課の荒巻課長は、背後に何らかの謀略が蠢いていると気がつく。草薙素子ら9課のメンバーに調査を命じるものの、全体像がなかなか見えてこないまま、状況は悪化するばかりである。視聴者も、このジリジリするような経過に付き合わされ、少しずつ提示される断片的な情報に混乱させられる。人によっては、この部分が面白くないと感じるかもしれない。しかし、事態の深刻さ・巨大さを納得させるためにも、このジリジリ感が必要なのである。
 ゴーダの策略に対して完全に出遅れた公安9課だったが、情報を集めながら少しずつ体制を立て直し、ある出来事をきっかけに最終的な逆転劇へと突き進む。こうした序破急の展開は、終盤における圧倒的な迫力を生み出す。
 策略が崩壊するきっかけの一つは、難民が核テロを計画しているというデマにリアリティを付与するため、プルトニウムの実物を使ったことである。「ロシアの軍事施設か、原発の使用済み燃料か」といったプルトニウムの出所は、同位体組成を分析すれば突き止められる。草薙素子は、バトーを使ってゴーダの気をそらしている間にプルトニウムを横取りし、一気に形勢逆転を図る。
 さらに、シナリオから逸脱する2つの不確定要素が、ゴーダの策略を狂わせる。1つは、難民のリーダーとなるクゼで、ともすれば低きに流れがちな民衆を教導する宗教的英雄然とした姿を示す。もっとも、核武装して難民居住区を独立させるという発想は、おそらくウィルスに由来するものであり、武力行使を極力回避するという主張も難民に浸透していなかったので、登場シーンが多い割に、その役割はあまり大きくなかったようにも思われる。このことは、神山自身、承知の上なのだろう。クゼは、義体の仕様で口がほとんど動かせないが、これは、その英雄的風貌に視聴者が感化され過剰な思い入れをしないように、敢えて設定した欠陥かもしれない。
 クゼよりも重要なもう1つの不確定要素が、茅葺首相である。最初見たときには、彼女の立ち位置がよくわからず、終盤の急展開で少し混乱したが、再見して漸く、彼女こそが『攻殻SAC2』において決定的な役割を果たすキーパーソンだと気がついた。{/netabare}

【茅葺首相の役割とは】
{netabare} 日本初の女性首相となった茅葺は、選挙のために担ぎ出された人寄せパンダである。官房長官による裏工作のせいで充分な情報を入手できないため、優柔不断に見える行動しか取れず、内閣ではいいようにあしらわれている。しかし、こうした外見とは裏腹に、明確な信念に基づいて日本のために尽くそうとする、真面目でひたむきな政治家である。
 ラストのクライマックスで、彼女は、ある決断をする。それ以前に、彼女が親中派だと思わせる描写があり、米軍を利用した策謀をひっくり返すため、中国に頼るのではないかという疑念を視聴者に抱かせるのだが…。私は、決断の中身が何かわかったとき、胸が熱くなった。彼女は保守的な愛国者ではあっても、パワーポリティクスに与する権力志向の政治屋ではない。自分の理想を軍事大国に向かってはっきりと主張できる度量がある。
 『攻殻SAC2』では、茅葺首相が思うように事を運べず、官房長官の言いなりかと見える出来事がいくつも起きる。にもかかわらず、決して悪し様には描かれない。草薙素子が「課長の好みのタイプ」と茶化すシーンもあるが、荒巻は、その言葉を素直に肯定する。難しい決断が必要なときには座禅を組み、暗殺者に狙われても意志を揺るがせない彼女の姿は、若々しく美しい顔立ちと相まって、作者が理想を託したことを窺わせる。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 5
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

これぞ、公安9課

前作同様、一つの事件を中心に話が進行するが、今作は個別の11人事件が中心である。{netabare}難民独立を利用して難民を殺そうとしたゴーダと難民の心を掴み、全身義体で戦うクゼの戦いが要点の事件だったと思う。{/netabare}

{netabare}クゼの過去が明かされる話があったが、同時に素子の過去が明かされていたようだった。やっぱり子供の頃に2人は会っていて、最後の2人のやり取りがようやく会えた喜びが見えた気がした。{/netabare}

見終わった後は何とも言えない切なさが自分にはあった。謎に包まれている素子の過去?が見られるのも攻殻機動隊好きには嬉しいのではないだろうか?とは言っても、好きな人は絶対見ているだろうけど。それに、嬉しかったのは自分だけかも。

OPはOrigaのrise。やはり良曲。Origaが亡くなってから時間は経つけど、眼曲が残っていくのは嬉しい。

1. 第1話 再起動 REEMBODY
「個別の11人」と名乗る武装グループによって中国大使館が占拠された。密かに出動していた公安9課の面々は無期限待機命令の解除を待つ。総理は、犠牲者を出さず15分以内にテロリストを鎮圧することを条件に、突入を許可するが──。

2. 第2話 飽食の僕 NIGHT CRUISE
3大ネットワークJBNNの会長・片倉の専属パイロットを務めるギノ。欺瞞と不正に満ち溢れた世の中から、憧れの高級娼婦“ヒララ”を救い出したい。義憤に燃えるギノは、彼らに正義の鉄槌を下すべく行動を開始する!

3. 第3話 土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE
政財界の名士である田所会長のもとに、窃盗犯から予告状が届いた。9課は芽葺首相の命により、田所主催のパーティを警備することになる。だが、窃盗犯の正体は草薙だった! 9課の本当の狙いは何処にあるのか!!

4. 第4話 天敵 NATURAL ENEMY
合同演習中にAIヘリが暴走。誘われるように各地で無人のヘリが動き出し、集結し始めた。そして、対応を迫られる9課の前に忽然と現れた内閣情報庁の“ゴーダ”。彼の真意も図れぬまま、草薙らはタチコマで出撃するが──。

5. 第5話 動機ある者たち INDUCTANCE
「個別の11人」から茅葺首相に暗殺予告文が届いた。9課は警護につくが、参禅に乗じて暗殺は実行にうつされる。茅葺に迫る全身義体の男・クゼ。はたして草薙は阻止できるのか!

6. 第6話 潜在熱源 EXCAVATION
エネルギー省を脅迫していた男が、不可解な死を遂げた。トグサは彼の足跡をたどるべく、招慰難民居住区「東京」に向かう。だがそこでは、あるべきはずもないものが、地下最深部から呼び起こされようとしていた。

7. 第7話 狂想は亡国の調べ
新宿地下原発から燃料棒の海路移送計画が「個別の11人」に漏洩した。ゴーダの指揮のもと、9課は移送任務を請け負うが、経由する陸路は不穏な空気が漂う難民居住区だった。

8. 第8話 素食の晩餐 FAKE FOOD
「個別の11人」容疑者カワシマの身柄確保に奔走する9課。だが、虚構であったとしても現実へと変換されれば、それは真となる──。彼は本当に「個別の11人」なのか、それとも別の目的を持った偽者なのか!?

9. 第9話 絶望という名の希望 AMBIVALENCE
生きることに希望を見だせない人々がその身をやつす「自爆テロ」。そして、それを阻止するため奔走する9課。一方、単独で内閣情報庁に潜入した草薙は、そこでゴーダの仮想人格と対峙するが──。

10. 第10話 イカレルオトコ TRIAL
非番中にやむなく発砲してしまったトグサは、単なる証人から「不幸な事故」の引き金に仕立て上げられる。証言台に立つ彼の前で、理不尽な追求が9課にまでその矛先をのばそうとした時、事態は思わぬ展開を見せた!

11. 第11話 草迷宮 affection
虚実定まらぬ街で誘われた、記憶を預かるという『牢記物店』。草薙は、そこで主無き少年少女の義体とめぐり会う。物言わぬ彼らにかつて訪れた物語とは──。

12. 第12話 名も無き者へ SELECON
虚ろなる真に導き寄せられる「個別の11人」。そして、組み上がった因子を解き明かしはじめる9課。だが、さらなる具現を阻むべく行動を起こしたその時、すべてを暗転させる「刃」が抜かれた!!

13. 第13話 顔 MAKE UP
クゼの顔を追って、9課は造顔作家へとそのコマを進めた。だが、カメラの映し出したパズの凶行が、捜査の動きを鈍らせる。これも「クゼ」の仕業なのか、それとも──。

14. 第14話 左眼に気をつけろ POKER FACE
米帝特使を迎え厳戒態勢が敷かれる中、待機中の隊員等はポーカーに興じていた。そこで、一人勝ちを続けていたサイトーは、左眼にまつわるポーカーフェイスを語りはじめるのだが──。

15. 第15話 機械たちの午後 PAT.
「この人どこかで見たことがあるんですよね…」研究所の爆破事故後の捜査中に、奇妙な既視感を感じるタチコマ。所在不明の有須田博士と、自分達の主体について疑問を持つ彼らとをつなげるものとは──。

16. 第16話 そこにいること ANOTHER CHANCE
国連平和維持軍としての戦い、任務を終えてからの葛藤──。イシカワの持ち帰ったクゼの過去、それは9課にとっても草薙にとっても不可解なものであった。一方、国内情勢の悪化は日米安保締結に拍車をかけていた…。

17. 第17話 修好母子 RED DATA
クゼの足取りを追い台湾へ潜入した草薙は、そこで少年・チャイと出会う。行動を共にし始めた二人の関係は、時には友人、時には親子、そして時には恋人──わき起こる奇妙な感覚に母性を励起させ、彼女は行動を開始する!

18. 第18話 天使の詩 TRANS PARENT
当局が追っている正体不明のテロリストは『天使の羽根』と呼ばれていた。大規模な包囲網が街を覆う中、ある少女の存在がバトーの脳裏をよぎる。そして、彼女の秘密に突き当たったとき、天使は再び舞い降りた──。

19. 第19話 相対の連鎖 CHAIN REACTION
並列化した招慰難民達の行動は、自治区宣言へと拡大した。これに対し草薙は、クゼを確保すべくハブ電脳へとダイブする。だが、潜伏場所を急襲した9課を予想し得ない事態が待ち受けていた!

20. 第20話 北端の混迷 FABRICATE FOG
北端、択捉──そこは、旧型の電脳都市にして混沌の坩堝。断片的な情報を元にクゼの目的を想定し9課は旧ロシアの原潜基地跡へと向かう。しかし、そこでは既に難民等とアームスーツが戦いを始めていた!

21. 第21話 敗走 EMBARRASSMENT
クゼと9課との間にある、わずかな動機の差。それは彼に包囲網を突破させ、出島へと辿りつかせる。だが人々の前に広がった光景は、第三者による意志の介在を予見させるのだった。

22. 第22話 無人街 REVERSAL PROCESS
「個別の11人」最期の場所である九州電波塔に、プルトニウム爆弾が仕掛けられた。解体処理のため無人と化し静寂につつまれる街中を、バトーは一人ゴーダのもとへと赴く。クゼが自決をしなかったその場所で、二人はなにを語ろうというのか──。

23. 第23話 橋が落ちる日 MARTIAL LAW
戦わずとも勝負は決するはずだった招慰難民と自衛軍。しかし、水が低きに流れるように、人の心もまた易きに流れる。一発の銃声が状況を急変させ、事態は混迷の度を深めていく。

24. 第24話 出島、空爆 NUCLEAR POWER
制空権をおさえられ潰走する招慰難民達。ゴーダの策略がさらなる展開を見せる中、9課は出島へと突入する。一方で、クゼは人々をハブ電脳に繋ぎ止めるべく、次の手に出ようとしていた──。

25. 第25話 楽園の向こうへ THIS SIDE OF JUSTICE
クゼと邂逅を果たす草薙、そして茅葺の救出に成功する荒巻──事態は収束に向かうかと思われた。だが、タチコマが掴んだ情報は、9課の動きが未だにゴーダの予想の範疇を出ていないことを示していた。

26. 第26話 憂国への帰還 ENDLESS∞GIG
この終焉は、通過点の一つであり、又始まりでもあるのだろう。自らを賭して攻撃を阻止したタチコマ。革命の行く末を見極めることなく逝くクゼ。ゴーダとの因縁を精算する9課。そして──。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 4

77.0 3 サイバーパンクアニメランキング3位
シリアルエクスペリメンツ・レイン[serial experiments lain](TVアニメ動画)

1998年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (884)
3921人が棚に入れました
コミュニケーション用コンピュータネットワーク端末「NAVI」(ナビ)が普及した現代、中学生の岩倉玲音は、死んだはずの四方田千砂からのメールを受け取る。その日以来、玲音は見えないはずのものを見るようになる。四方田千砂のメールの言葉に興味を持ち、大型の「NAVI」を手に入れるが、それ以来更に奇怪な事件に巻き込まれていく。物理世界(リアルワールド)と電脳世界(ワイヤード)、二つの世界・二人の玲音(lain)が混濁し錯綜する果てにあるものは? 「人は誰しも“繋がれて”いる」「私は遍在する」

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

観るものを究極に選ぶ作風の前衛カルト作品 

視聴後これは何か書かないといけないという使命感に駆られた本作ですが...
一体何から書けばいいんでしょうね。。
この作品に関して自分ができるネタバレ無しのレビューを書くという事は、
非常に表面的で浅い駄文になってしまうとは思いますが、
今更この作品に関しての新たな考察、など自身の見解を書くことに意味は無いだろうと感じるので、
本作を観たことが無い人、興味はあるが観てない人、にどんな作品かが伝わるように、
率直な感想を書いてみようかと。


色々なところで「難解アニメ」の代表ともいうべき扱いをされている本作ですが...
あにこれの成分タグでも「難解」ランキング1位。
確かに言われている通り難解だと思います。

自分は視聴前にある程度そういう情報を得て視聴に臨んだので、
講義を受ける要領でメモを取りながらの視聴となりましたが、
(視聴間隔が空くと難解なものはより訳が分からなくなるので)
正直一度目の視聴では物語のごく表面的な部分のあらすじをたどるくらいで、
本作の本質やメッセージには辿り着いておらず、なんとなく解った気になっていたつもり、で居ました。。

その後やっぱり気になって、本作に関する考察のサイトを読んだりして、
なんとなく解っていた、と思った部分も言葉で説明されることによって、
より具体的に頭を整理することができました。
(今思えば止めときゃ良かったなと思います。というのも、どうしても観る時に意識しなくても、
他人の考えや意見に左右される面があるので。この作品は特に自分で考え想像し、
頭を悩ませる事自体が醍醐味だと感じるので)

そして、2回目の視聴。
この時も1回目の視聴で足りなかったと思う部分のメモ書きを追加しながらの視聴となりましたが、
1回目の視聴では最終話観ても「ふ~ん」って感じであまり感じるものがなかったんですが、
2回目の視聴では全く異なった印象で、感慨深く観終えることが出来ました。
まぁそれでも最後までぶつ切りで観るものを感動させるようなベタな演出は一切無しなんですが笑
この辺りが本当にカルト的であり、万人受けなんか全く狙っていないというのが逆に清々しく思えます。


本作がなぜ難解なのか?と言うと、まぁ1話観ればすぐ解るとは思うんですが、
殆ど具体的な説明という説明がなく(後半に矢継ぎ早に唐突に説明されるものが一般人にはおよそ馴染みのない、
シューマン共鳴やら、ザナドゥ計画、ロズウェル事件などのカルト的なものだったりする)
設定自体もかなりマニアック、表現が抽象的であらゆる出来事が唐突に感じ、
現実なのか幻覚、幻想なのかさえも判らないような描写や台詞だったり...
場面場面の切り替わりや各話の引きも毎回ぶつ切り、
終始まぁそんな感じで展開するんですよね。。

なぜそんな描き方をするのか、作品をある程度理解すればそれなりには納得できるんですが、
普段放送されてるような作品とは全く異質なものと言えるでしょうし、
そりゃ1回観て理解しろ、という方が土台無理な話。。
今ならこんな作品を作ったら大目玉食らいそうですが、当時は今ほど円盤売上至上主義の風潮がなく、
ある程度自由な製作環境だからこそ作れたのかもしれません。
いやはや、こんな作品が世に出てきたというのはある意味奇跡的とも思えますね。


で、まだこれから観るという人へのアドバイスとしては...
本作を理解するためには、とにかくまずはシンプルに何が起こってどうなったのか、だけ、
細かい部分はあまり気にせずに観ていくのがいいでしょう。

もっと言うと、結局主人公レインとは一体どういう存在なのか?レインは何をやったのか?
もう一人の重要人物である英利政美はどういう存在で、何をやろうとしたのか?
この辺りだけに集中して観ていけば良いのでは、と思います。
それを踏まえたうえで、一体本作が何を言いたかったのか?ここを考えれば良いのではないでしょうか。
人によっては解釈が異なる事もあるかと思いますが、
本作の醍醐味はテーマ&メッセージの意味を自分なりに解釈することにあるんだと思います。

でもまぁ正直言うと、自分はこの作品を観るのはかなりしんどかったですね笑
混乱する頭を整理し、想像力で補いながら毎話観ていかないといけないし、
終始どんよりとして陰鬱な雰囲気に包まれているんですから。

ハッキリ言ってしまうと、観ていて全く楽しくはないですね笑
それでも、惹きつけられる魅力があり...また観たくなる。。
自分はこの作品の「物語」に関する評価としては、
今まで観たアニメの中でも最高評価に値する作品の一つであると思っています。

よく言われていることですが、やはり当時まだインターネットが今ほど普及していない90年台後半に、
(自分がパソコンを初めて購入してネットにダイヤルアップ回線で接続していた頃)
SNSが普及し世界中のあらゆる人同士が繋がり合うようになった現在のインターネット世界を見据えた、
先見性のある内容は特筆すべき点であり、またさらにその先をSFで描いた内容は、
時代を先取りしすぎている、とはまさにその通りかと思います。

恐らく放送当時観た人はなんのこっちゃ?という印象しか持たなかった人が多かっただろうと推測しますが、
時代が本作で描かれている内容に追い付いてくるにしたがって、
どんどん評価が高まってくる、こういった作品は本当に珍しいと言えるでしょうね。

昨今ではインターネットを題材にしたような作品も物珍しくはなく、
大抵はネットゲームの世界に入ってどうのこうの、といった内容ばかりで正直オリジナリティに欠ける印象を持ちますが、
本作はワイヤード(今で言うインターネット、ネットワーク)と現実世界、
2つの世界に於ける「情報」や「記憶」「存在」「繋がり」、
などといったある意味概念的な側面に焦点を当てて描かれており、
カルトな作風含め、唯一無二のオリジナリティを持った物語として、
観る者の好き嫌いは別にして高く評価されるべき作品だと思います。


☆声優☆

レインの声優さんに関しては客観的にみれば演技が上手いとは思いません。
というのも、演じている清水香里さんは当時現役中学生でこの作品がデビュー作なんですよね。
制作側が敢えて「不安定」な存在であるレインを演じさせるためにオーディションでかなりの人数の中から抜擢した、
というのを制作秘話として何かで読んだことが有ります。
収録はかなり大変だったようですが...制作側の意図が解ると納得できるキャスティングだと思います。

その他、速水奨さんや中田譲治さんのようなベテラン実力派も起用してバランスを取ってますが、
子役の演技には少々難があるように思います。


☆キャラ☆

この部分の客観的な評価は難しいですね。
キャラそのものが物語、と言っても過言ではないような気もしますし。。
極端な話、観方によっては1点か5点どちらでも間違いはないようにも思います。
レインに関しては、こんな登場人物の描かれ方をした作品は自分の知る限りは思いつかないので、
敢えてそこを評価して5点としたいと思います。


☆作画☆

セル画アニメの晩年期にあたる作品ですが、
自分の観たものは恐らくOPに関しては色彩が鮮やかで、後に?デジタル化されたものなんじゃないかなと思います。
作中は如何にもセル画な絵柄ではありますが、ところどころ実写映像を挟んだり、
ちょこちょこと実験的な試みがなされているように思います。 

人物の描き方(特に引きの画)などは、やはり現在のものと比べると劣ります。
背景に関しては独特の暗さ、陰鬱さをよく伝えるもので、
張り巡らされた電線など、個人的には好きですが、結構同じ場面を使い回したりもしてますね。
(OP後のシルエットと自動車の場面、たぶん敢えてやってるんでしょうけどね)
恐らく当時としても予算的にはたぶんそこまで掛けれなかったのかもしれません。


☆音楽☆

OPのインパクトは数あるアニメの中でも上位に来るものだと思います。
歌詞も抽象的でありながら、レインを歌ったものであるというのは、OPアニメーションからも明らか。
ていうか、あのPlesent Day,Plesent Time Hahahaha...ってのが頭から離れませんね笑

これに対するEDは、個人的にはなんで?と思う選曲。。
制作側の好みが濃く反映されてそうなブルース系の曲。
渋いけど歌詞含めてどうもあまり作品には合ってなさそうな気も...

作中BGMはハウリングのような電気的なノイズ、ギターのノイズなど、映像と相まって暗さと陰鬱さをより助長してますね。
まぁこの辺も低予算なんだろうな~と思いますが、如何にもなカルト臭がしますね。


純粋なクオリティー面は高い作品ではありませんが、
逆に言うとあまり綺麗でゴージャスに作っても、このカルト的でイッちゃってる作風には合わないような気もします。

オススメかと言われると、「すべての人にオススメ」とは到底言えません。。
今敏監督や幾原邦彦監督作品のような難解系のものが好物の人にオススメしたいですが、
有名な作品ですし、まぁそういう人は既に観ている人が殆どでしょう。。

色々な作品を観て、王道的なアニメは展開が読めるし飽きたなぁ、くらいに思ってる人が観た方が良いでしょうね笑
しかしながら、観るならある意味本気で理解しようと思って観ないと、ハッキリ言って時間の無駄です。
一切笑いもないし、楽しくもありません。終始暗く陰鬱です。
ギャグも萌えもありません。
大多数の人にとっては面白く無いでしょう。

でも、面白く無いからといって、つまらない作品であるとは思いません。
今まで観てきた作品の中でもただ単に「感動した」、とか「泣ける」、とかいう類のものじゃなく、
心から「これは凄い」と思える数少ない作品の中の一つですね。
(成分タグの最多が「鬱」となっていますが、観方によっては感動的な物語、とも受け取れると思います)
日本より海外のコアなアニメファンには非常に高く評価されている作品ですが、
人によっては人生最良の一作になりうる、そんな魅力が詰まっていると思います。

ある意味究極に観る者を選ぶ作風なので、名作とは言えませんが90年代を代表する傑作だと言えるでしょう。
因みに本作は「文化庁メディア芸術祭 優秀賞」(1998年度)を受賞しています。

※追記※

ずっとどっかで似たような雰囲気のものを味わったことがあるなぁ、と思ってましたが、ようやく思い出しました。
つげ義春の「ネジ式」「ゲンセンカン主人」辺りの前衛的な漫画ですね。
(絶対製作陣は影響受けてると思う笑)
たぶんつげ義春の世界観にハマれる人なら、本作を観て損はないでしょう。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 14

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

問題意識は、攻殻S.A.Cにほぼ引き継がれているのでは

 2004年ぐらいになってから、人から「見ておいたほうがいいよ」と言われて視聴。

 うーん。
 「難しい」っつーか、文脈の提示の仕方が全体にフリーダムだな、っていう印象。
 だから、まあぶっちゃけ、筋を解説されないとさっぱりよくわかんなかったんだけれども、まあ、この手法の問題はさておき。確かに、けっこうグネグネとした問題意識も背景にはありそうなんだけれども。…

(注:下記、読み手に対して、非常に不親切なテキストになっております。)

 ただ当時、思ったのは「うーん、ヘーゲルとサイバーパンクが好きな人とかがつくったのかな。ヘーゲル的世界観によって、サイバースペースの到来を、予見しなおすとこんな感じになるのかしら」みたいな感じ。あとから、小中 千昭さんは、クトゥルフ好きでもあるということ聞いて、なんか納得。そうですか、と。
 他の方も書いているように98年でこういう想像力をもちえていたのは、確かにすごいのだと思います。

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 で、下記、作品の演出とかそういう問題はぜんぶすっとばして、単に思想的評価だけのはなしですけれども、
 わたしの見立て=「特殊なヘーゲル的世界観によるサイバースペースの未来予見」という感想をベースに強引に考えをすすめてしまうと、基本的には、この作品で描かれようとしていた問題設定は、『攻殻S.A.C』のほうで、ほぼ見事に発展的に描写されおえている、と言ってしまって問題ないんじゃないでしょうか。
 一言で言ってしまうと「ベースとなる概念がちょっと古いんじゃないの?それ」ということを思ったということです。サイバーパンクとか、SF的世界観は新しいところを衝いていたとは思うけど、仮にヘーゲルが下敷きだとすると、それはちょっとなぁ…みたいな。

 も少し、長く言うと「インターネットだとかの情報システムによって、社会の構成が変化する」とか「様々な人が、<なぜか>同一の行動をとりはじめる」ということを説明するためのモデルに、ヘーゲルの想像力をベースに使うか、複雑系とかの想像力をベースに使うか、というところで。
 lainは、(たぶん。たぶんだけれども)200年前のえらい哲学者であるヘーゲルあたりが下敷きで。
 攻殻S.A.Cは、(これも、たぶんだけど)比較的あたらしい複雑系とか、サイバーカスケードの議論とかを一定程度踏まえている感触。

 わたし、古典をきちんと読んでない人なので、古典をきちんと読んでるようなスーパー教養人だと、古いものをベースとすることの意味まで含めて味わったりできるのかもしれないけれど、わたしはそこまで舌が肥えてないので。
 えー、うーん、古くしか見えないわぁ…みたいな。

 まあ、あと、ヘーゲルっぽいけど、ヘーゲルそのものでもないだろうというのも、あって。そこらへんが、まあ、こういうもの評価するときに、こういう話もちだすとめんどくさいところもいろいろあるんだけれども…
 

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下記、もうちょっとだけ、詳しいコメント
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 たぶん、この作品の問題意識を「古い」と感じるかどうか、というのは、おそらくヘーゲル的歴史観を古いと感じるかどうか、みたいな論争と、おそらく一緒なんじゃないか、と思っています。
 わたしは、そこらへんの論争の非常に込み入った話は、正直ものすごく遠巻きにしかわかってないので、けっこう表層的な理解かもしれないけれど、わたしの理解の範囲で、キーワード散りばめる程度に、少し書いておきます。



 ヘーゲル大先生は、200年以上も前に「時代精神」とか「世界精神」って言っていたわけです。
(ここらへんは、興味ある人は、「ツァイトガイスト」とか「ヴェルトガイスト」とかでググッてみて、よくわからんと思ったら、ヘーゲルの入門書を図書館で手にとってください。わたしもあまりわかってませんので)

 で、ヘーゲルのそういう話って、ある種の歴史記述とか、巨大な「世界史」みたいな運動記述としては、確かに200年前の時点だと「イイわ、コレ」みたいなところがあったとは思うのですよ。今みても、さすが、ヘーゲル先生するどい!みたいなところは、あるとは思うんだけど。200年前は、資本主義経済とか、出版文化とか、その手のテクノロジーや制度の変化によって社会メカニズムが高速に変わっていくことを説明する概念がなかったので、その時はすごくよかったんだと思うんだけど…。
 でも、それって要するに現代の理論的にはいえば、進化ゲーム理論とか、生態論のメタファーあたりをコアにして議論されている、カスケード・メカニズムの話とか、文化の生態論的な発展プロセス記述とか、そういうもので代替可能な議論になっちゃっているんじゃないのかしら?素朴に。もう、ヘーゲル的な歴史記述とか、世界把握の仕方は限界含みな感じがありありと出てきてしまっているのでは?と、わたしは思っているわけです。…わたしは思っている…というよりか、まあ、別にそう思ってる人はわたしだけじゃなくて、ものすごくたくさんいるとは思うけど…。



 ただ、この手の議論の難しいのは、Вистерияさんが書いているリチャード・ドーキンスの「ミーム」みたいな話を持ちだされると、ミームの話って、ある種ヘーゲル的な発想を、現代の比較的新しい理論と接続しているような印象があるので、わたしが先述したような、「古い理論 vs 新しい理論」みたいな対立構造は難しくなっていて、すごく評価に困るんだけれども。
 まあ、ミームの話もわたしは話半分ぐらいしかよくわかってなくて、「ミーム」という説明形式を採用することによって見えてくるものもあるとは思うんだけど、なんか「ミーム」って概念としての使い方が、まだなんかちょっと難しいつーか、提唱してる人たちは細かいロジックを構築してるとは思うんだけど。なんか、細部の概念の彫琢の仕方がよくわかんないです。



 わたしも、この手の社会/文化生成プロセスの説明理論についてガチで興味あるわけでもないので、ヘーゲルと、アクセルロッドと、ドーキンスが全部好きです!(+サイバーパンクも好き)みたいな人がいたら…というか、それはもはや、何かの専門家みたいな人だと思うけど。そういう人にlain見せたら、なんか、面白いコメントしてくれたりするのかも?
 まあ、わたしも、これ書きながらヘーゲルとか、ひさびさに勉強しなおしてみようかな、みたいな気分にはなった。

 lain好きの人は、まあとにかくそこらへんの論争フォローしてみると、たぶん、面白いと思います。


追記:
・適当に、「serial experiments lain」「ヘーゲル」でググってみたところ
 あんま、ヘーゲルと絡めて書いてる人だれもいないのね…わたしの見方が偏ってたんだろうか…うーん

・「『攻殻機動隊 Ghost in the shell』の話のほうこそ、ヘーゲルのガイストの話じゃんか」と書いてらっしゃる方がいて、ああ、そういう見方もあるのね、と思った。
 まあ実際『攻殻機動隊 Ghost in the shell』のゴースト概念はけっこう適当なので、『lain』の批判対象として機能するのは『攻殻S.A.C』のほうだと思います。

・あと、lainの命名の由来は『引き裂かれた自己』のロナルド・デイヴィット・レインなのか…。じゃあ、何、基本的には精神分析系のメタファーでこれ作ってんのか?いや、でもサイバースペース全般の話かいてるんだから、やっぱり、精神分析=個体の話がベースなので、社会的なメカニズムの話にメタファーひろげると、それはやっぱりヘーゲルに見える…のはそんなに変じゃないと思うんだけどな…。

・あと、アンサイクロペディアの解説が一番おもしろかった。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

LAIN Complete Review: The meaning of existance

非常に難しい作品です。多分、満足いく理解など一生得られないのでしょう。
シーンが所々なんの因果関係も無くぶっ飛んだり、訳の分からんセリフを放ったりと、もうなんのこっちゃ。
またストーリー自体突然の神の出現で一気に世界観が歪みますし。

そんな難解な作品なんですが、メッセージ性は非常に強いです。
一番注目するべきはこの作品が面白いか、理解できるものかではなく自分なりに作品のメッセージを把握して実生活に生かすことだと思います。


☆物語
簡単な物語の説明をしましょう。
レイン(またはlain、玲音)は人間の自立進化を成し遂げる為に作られた実験用プログラムです。ワイヤード(現代でいうインターネット)上に完全なる自意識を具現化することができれば、我々は肉体という原始的障害を乗り越え全人類で共感という総合的意識で束ねることができるのではないか?というのが現代の自立進化です。

自立→肉体からの解放です。

レインは自我を持たないワイヤード上に存在する普遍的存在でした。それをどこかの科学者が肉体を構築し、そこに玲音という自我を入れた。

レインはワイヤード上の普遍的存在(作品上の定義では「神」となっていた)で、玲音はリアルワールド(現実世界)に存在する一個人です。

実験では玲音にワイヤードの接触させ、玲音がレインと同一化した時に起こる自我の形成という点を研究したかったのだと思われます。

しかし、本編で実際の起こったのは完全なる「神」の出現でした。

現実世界にある筈の自我の意識というものをワイヤード上に完璧に具現化できるようになると、情報操作どころか人間、歴史の改竄ができてしまうということでした。


これの理由はシューマン共鳴とミームにあります。シューマン共鳴(共振)とは地球の地表と電離層の間に存在する電磁波みたいなものです。
本編ではこの共振を電線が常に微量の音を発するということで表現していました。

ミームとは自己複製子の可能性としてかの有名なドーキンス氏が定義した一種の理論上だけで存在する総合意識のようなものです。遺伝子とは似て非なるものです。
ミームは人間の進化に関わってきたとされるもので、自然淘汰から生まれる遺伝子の適応性(ダーウィンの進化論)以外にも人間の総合的に左右する無意識下での伝達があるのではないか?という仮説から生まれました。

簡単な例を「ジーパンを履く」という風習を使って説明しましょう。有る時期に人がジーパンを履くようになった。これをミームを使って説明すると以下の様になります。

『1840年代後半のアメリカで「ジーパンを履く」というミームが突然変異により発生し、以後このミームは口コミ、商店でのディスプレイ、メディアなどを通して世界中の人々の脳あるいは心に数多くの自己「情報」の複製を送り込むことに成功した。』

この人間の無意識下で影響を及ぼすミームというものがシューマン共鳴によって引き起こされていると考えるとどうでしょうか。
そしてワイヤードというインターネットが己の自意識を具現化できるようになるというのはネット上にミームを展開できるということです。

そして、ミームはシューマン共鳴で繫がっている。つまり、自分の脳内でネットの接続できるということです。
レインが最終的に本編でしていたことは自我というものを全人類の中に偏在化させ、情報操作をするということです。
これが、レインは神だと言われる所以です。


この作品が理解しにくい理由として「世界観」というものが挙げられます。
レイン(主人公)が特別な存在であった為見る側にもその変な世界観がダイレクトに伝わってきます。

一つ簡単そうで簡単じゃない本編に関係する思考を提示してみましょう。
「あなたたちすべてが私の自己だ」
これはユングが彼の生徒に自己の概念の説明に使った言葉です。
己の自我というのは自分に服するものであり、それ以外の何ものでもないと考えるのが普通かも知れませんが、ユングは自己などという意識を超えた存在を仮定しました。

あなたは、自分の意識、意思を自分のものだとどう証明しますか?

自分が自分がここにいるなんて普段考えませんが、ちょっと考えてみると意外と面白いものです。一つの考え方として存在は「認識」によって生まれるという説があります。

例えばあなたの目の前に「机」があったとする。あなたはそれを「認識」して、机だと判断する訳なんですが、この机をもし透明にしたらあなたはそこに机が存在すると分かりませんよね?透明ってのは物理的には存在してるんですけど、人間に五感では感じられないという意味で言っています。

別の例を出しましょう。ある誰もいない森の中で松ぼっくりが落ちたとする。しかし、それを誰も見てもいなかったし、音も聞いていなかったとする。では、松ぼっくりが落ちたというのは事実なんでしょうか?「認識」されなければそれがたとえ本当に落ちたとしても「現実」という世界の中では表現されないんですね。

つまり、人間が「認識」したものが個人の世界である。そして、その「認識」されたものを人間の総合的な意志として集約させたものが「現実」です。

これは科学的には裏づけされている話でもあります。粒子力学の世界ではアトムより小さい単位を研究するにあたってある現象を観測しています。トンネル現象もその一つで、物理的に通るはずの壁をその極小の単位がすり抜けることです。他にもその単位が急に消えたり観測できなくなったりと、「認識」による観測だけでしか仮定できない現象が起こります。
有る意味「認識」によって物体の存在が肯定されるというのは間違いではないんですね。

で、このセオリーがどうこの作品と関連付けられるのかというと、色々あり過ぎてちょっと説明できないかもです・・・汗
神の存在は認識から肯定できるのか?だったり意識を具現化したときに「認識」の定義はどうなるのか?など、この作品自体オカ
ルトなので様々な方向に広げていくことができそうです。

そこら辺は視聴者の皆さんにお任せしますねw

難しくて理解出来ない作品ですが、私にとってアニメの可能性というものを教えて貰った作品でもあります。やはり、こういう実験作みたいなものを表現する媒体としてはアニメが一番優れていますね。

皆さんも一度、レインの世界に浸かっては如何でしょうか。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11

67.2 4 サイバーパンクアニメランキング4位
エルゴプラクシー(TVアニメ動画)

2006年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (421)
2566人が棚に入れました
焦土と化した大地と大気中に蔓延する未知なるウィルス、太陽光は粉塵により遮られ、地球は荒涼を極めていた。そのような環境下で生きていくために人々は隔離されたドーム型都市の中での生活を余儀なくされる。完全な管理体制下にある都市ロムド。人々は「オートレイヴ」と呼ばれるロボットとともに模範的、従順なる「良き市民」として生活していた。しかし近年、犯罪とは無縁と思われていたロムドでオートレイヴに自我の発症をもたらすコギトウィルスの感染が増加し、問題となっていた。ロムドの市民情報局に勤める若きキャリア、リル・メイヤーは、ウィルスに感染し制御不能に陥ったオートレイヴの暴走事件、そして多発する謎の市民斬殺事件の捜査にあたっていた。
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

博打臭が半端無い  と後悔を覚悟で観たんですが結構面白いですよコレ

観終わったので追記
終盤、19話という大詰めでまさかのピノ回?と正気を疑いましたが、出来も良い回だったのでスルーですw

んで感想ですが、普通に面白いと思いました(汗)
個人的にイマイチかなと思ったのは、
{netabare}
1.モナドプラクシーの再生であるリル2リアルはちと唐突過ぎね?とは思いました。ただコレに関しては勘のいい人は想定内だったんでしょね。
お医者様が序盤に死んだモナドの再生に着手してたの忘れてました。
私もモナドプラクシーは絶対ラストに関係してくるなと思いリルその人じゃねの?と推測してたので、予想外れて面食らっただけですね(汗)

2.なんかプラクシーワンとエルゴの二人の最終対決、コジンマリしてるというかw
別に見かけ変じゃないんですけどね。神の代理人たるプラクシー達の最後の戦いとしては薄味な気が。
{/netabare}
この2点がなんか話のスケールのデカさに比べるとムムムな感じは若干しましたけどね。
でも、別にそんなに不満でもなかったです。

もしかするとこの作品観た方の不満点って、 {netabare}
・ラストが、俺たちの戦いはこれからだENDだから
・なんかオサレな絵柄の上に小難しい言葉並べてるから哲学的な頭良さげな結末になると思ったら、実は大して深くなかったから
・意外と作中のキーポイントは何らかの形で説明してるにも拘らず、つまらない所の説明がされて無かったりで親切なのか不親切なのか一貫性が無い。
{/netabare}
とか、という事なんすかね?
たしかに傑作・名作というレベルとは私も思いませんけど、普通に面白いというレベルには達してるんじゃないかなと私は思いました。
この作品、2クール物なのに中弛みは無いんすよ。
んで意外な見せ方する回が何度かあって、序盤も退屈はしないけど中盤以降は先が気になる位の面白さは有ったです。
まぁ、私全般的に評価甘いけど(汗)

もしかして、
・リルにもっとデレて欲しかった
・ピノが大人のボディに換装されて源氏物語的な感じが欲しかった
とかですかね?
コレだったら私も激しく同意w

あと、自分の正体を探すために旅するヴィンスの姿見てると何故かボトムズのキリコ思い出しちゃいまして(汗)
私が変な例えしちゃって視聴意欲削がれたらゴメンナサイですスイマセンです。

まぁ結局、この作品が駄作か否かを自分の目で見極めようと言う事で観始めましたが、

駄作か否か、やっぱ私にゃワカリマセンです。
バイバイキ~ン。
///////////////////////////////////////////////////
18話まで観終えまして。
別に今放送してる番組じゃないのにマメに書いても意味ねんじゃねとは思いますが、まぁ備忘録みたいな(汗)
ココまで観た感じは結構面白いと思うんすけどね。
絵は綺麗だから私的にはマイナス要因とは思いませんが、もしかするとこの絵柄だからここまで評価が低い様な・・・・
コレより屁ツマンネ作品が上位にゴロゴロしてると思うんですけど。
ヴィンスが自分が何者であるかを思い出すまでがちとクドイかなとは思いましたが、特に無駄な回は無いと個人的には思います。
コギトウィルスに感染した某オートレイヴのジレンマとかもイイ感じだったと思うし道中のプラクシー達との遭遇もそれほど判り辛くは無いし。
 ただこの作品、難解では有るけどそれって言葉・設定が判り辛いからであって話的にはそんなに難解でも深くもないような。ここはテクノライズとは根本的に違う気がしますね。

果たしてコレとテクノライズ比較するのが妥当かと言うとアレですけどね(汗)
私、他にこの手の奴の2クール物知らないしw

////////////////////////////////////////////
果たしてエルゴプラクシーは駄作か否かを自分の目で確かめようと言う崇高な理念のもとに視聴しておりますが、絵が全般的に暗いのでなかなか視聴意欲が湧かずw
とは言え、テクノライズ序盤よりは観やすいですね。

7話まで観たんですが駄作には思えないんですけど・・・
確かに難しい言葉が出てきますが、意外と本筋に影響与えると言う内容でも無い様子。

とりあえずここまで観て思った事は、
この手のディストピア物が好きな方以外にゃ視聴お勧めはしませんw
//////////////////////////////////////////
正直、怖いもの見たさで観てますw
概ね評価低い作品ですけど、なんか気になるもので・・・
絵はかなり綺麗ですよね。明らかに今主流の絵柄じゃないですけど(汗)
かなり難解な話みたいですが、苦労して観た挙句にイマイチな締め方という意見も有るかと思えば満足してる方も居て。
実際、自分的にどうなのか気になるので頑張って観てみます。

とりあえず思ったのは、設定が細かくてテクノライズより手強そうという印象w

投稿 : 2025/01/04
♥ : 8

司狼神威 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

この世界観はやはり好みだなw

マングローブによるオリジナル作品。
全23話。

ディストピアを舞台としたSFアニメといったところだろう。
この作品には多くの哲学や心理学が取り込まれていて、とても魅力的な作品に仕上がっている。

少し雰囲気が暗いアニメなので、そゆのがお好みでない方には向いていない作品だ。
物語が暗いとかそーゆーことでもないんだが・・・
まぁ、明るい物語では決してないw

「自我の存在理由」がテーマw
もうこれだけで哲学的な話なのは分かると思うがwwwww
どっちかといったら色んなところに組み込まれてる心理学の方が個人的にはお勧めwww


なんにせよ、この世界観を楽しんでもらえたらいいなと思うww




【あらすじ】
焦土と化した大地と大気中に蔓延する未知なるウィルス、太陽光は粉塵により遮られ、地球は荒涼を極めていた。そのような環境下で生きていくために人々は隔離されたドーム型都市の中での生活を余儀なくされる。

完全な管理体制下にある都市ロムド。人々は「オートレイヴ」と呼ばれるロボットとともに模範的、従順なる「良き市民」として生活していた。しかし近年、犯罪とは無縁と思われていたロムドでオートレイヴに自我の発症をもたらすコギトウィルスの感染が増加し、問題となっていた。ロムドの市民情報局に勤める若きキャリア、リル・メイヤーは、ウィルスに感染し制御不能に陥ったオートレイヴの暴走事件、そして多発する謎の市民斬殺事件の捜査にあたっていた。

ある日、リルは感染オートレイヴの追跡調査で出会した新たなる市民斬殺現場にて、謎の怪物の姿を目撃してしまう。そしてその夜、自宅に残された謎のメッセージ「awakening」に驚愕する彼女の眼前に、その怪物が姿を現した。

怪物は警備局の隠蔽工作により、ストーカーによる一次的な心神喪失状態での虚言症反応で作られたリルの妄想であると片付けられ、リルの目撃証言を信じる者は誰一人として居なかった。警備局の暴走、情報局の沈黙、そして闇へと葬られる謎の怪物「プラクシー」の存在。完璧と思われていたロムドの秩序が少しずつ揺らぎ始めていた。

殺人事件の捜査からも外されたリルはひそかにプラクシーについて調べ始めるが、見え隠れする上層部の思惑に翻弄されてしまう。唯一の手がかりと思われた謎の移民の男も、国家反逆罪に問われ、ロムドから逃亡していた。

真実を求め、リルは欺瞞に満ちたロムドを捨て「死の世界」と言われる外の世界に移民ビンセント・ロウを追う決意をする。プラクシーとは、そしてその果てにリルが見つけた世界を包括する真実とは……。(参照)




観る人によっては少し重たく、窮屈に感じたりするかもしれない・・。
でも見方によってはとても奥深く灌漑深いw

この世界観に触れてほしい作品だw



【声優・人柄】

Re-l Mayer/斉藤梨絵
本作のヒロイン。市民情報局職員の19歳。
性格は男勝りで高貴な身分出身のためプライドが高く、傲慢。
探究心が強く、結構頑固者。


Vincent Law/遊佐浩二
裏主人公。この物語のキーパーソン。
モスコからやって来た孤独な移民の青年。
性格はヘタレでかなり天然w


Pino/矢島晶子
少女の外見を持つ、愛玩型オートレイヴ。
コギトウィルスに感染している為、自我を持つ。
性格は天真爛漫で好奇心旺盛。






結構独特の用語が使われるからそこも魅力よーw





【主題歌】

メインテーマ
PARANOID ANDROID

OP
kiri

ED
Fellow Citizens




この世界観に酔いしれてくださいwwww

でわでわ(●´ω`●)ゞ

投稿 : 2025/01/04
♥ : 6

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

オープニング詐欺

タイトルと絵から「多分、よくあるB級作品だ」と予測し、
オープニングを見て「あれ・・もしかするともしかするかも」
となり、初回からしばらくは話の出来を判断できず、後半に
なればなるほど「やっぱB級だった」となり、その頃にはもう
「仕方ない最後まで付き合うか」になる作品。

という訳で基本的には、ヒロインのリルメイヤーを眺める話
ただ、無難な美人ではなくクセのあるアイシャドウがあるんで、
それがアリかナシかで見れるかどうかが決まる気がする。
ワイルドで傲慢な令嬢、冷静で頭が良いよーなフリをしながら
大胆でおバカな行動ばかり取ってる。不機嫌な時とワガママな
時がとても素敵

あとは一応ロリが出て来るが、このロリが極小の上に人間じゃ
無いんで、これまた一部のマニア向け。完全に小動物

話以外が色々と高水準なだけに、非常に勿体無いと感じた。
話さえ良ければアニメの歴史に名を残すような素材が揃ってた。
あとはその素材を、身の程を弁えてる三流が適当につなぎ合せ
れば、それなりの人気アニメになるものが、身の程を弁えて
いない二流が作ったせいで、どーしようもなくなった的な。

脚本の技術不足って事なんだけど、何が悪いって話の作り方と
まとめ方がヘタクソ。会話を一つ一つ区切れば台詞部分はかなり
良く、一話一話区切れば駄作だとは誰も判断できないが、全話
見れば駄作。

一般ウケしなさそうなテーマも作り手の技量さえ伴えば化けた
んだろうけど、残念な事に伴わなかったという。
一般視聴者は話について行きにくく、学があればあったで話の
稚拙さが気になるという中途半端な出来。

王道のストーリーにしたりアクション多めにすれば台詞センス
は生きただろうし、努力家の凡人が天才作家の真似事したら全く
できなかったみてーな。言わせたい事を全部言わせた、やりたい
事を全部やった、それらの上手いつなぎ方、まとめ方が分からな
かったって感じか。

結果、華も魅せ場も魅せ回無く、通常の作品で繋ぎやアクセント
として用いる話を大量に垂れ流し、何がしたいのか分からない、
どよ~んとしたB級作品になったとさ。

流行りものかつ、どちらかと言えばマニア向けのアニメから色々
とウケそうな要素はパクってるんだけど、その台詞この場面で言
わせてどーすんだよ?この程度の事でこの台詞・・?、とか、
あとはこの手のキャラ周囲とギャップがあるから際立つのに・・
とか、違和感あり過ぎな事が多過ぎた。

最後の方は特にB級臭が強過ぎて何がどーなっても驚けない状態
だったし、本当に、なんで、こんな事に、なったんだろう。
そしてなんで、俺は、こんなものを、全部見てしまったんだろう。

マトリクスの空気もあったし、リルにアクションしまくらせれば
良かったんだよ。そうすりゃ話がゴミでも視聴者は付いて来た。
作中でロリが料理とは呼べない料理らしきものを作るんだけど、
あれがこの作品そのものだな。素材がどうとかあまり関係ない。
むしろ、素材が良いだけ料理のひどさが際立った。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 15

76.6 5 サイバーパンクアニメランキング5位
アクダマドライブ(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (368)
1269人が棚に入れました
遙か昔、カントウとカンサイの間で戦争が起き、世界は分裂した。カンサイはカントウの属国となり、独自の発展を遂げていった。しかし、政治と警察力は衰退し、犯罪が横行。その犯罪者を“アクダマ"と呼ぶ――。 本作品の舞台となるのは、高度に発達しながらも歪んだ社会。その中で、アクダマたちはいかにして自分らしくあろうとするのか。一堂に会したアクダマたちの美学がぶつかり合う。

声優・キャラクター
黒沢ともよ、梅原裕一郎、武内駿輔、堀江瞬、緒方恵美、木村昴、櫻井孝宏、大塚明夫、花守ゆみり、榊原良子、内田真礼
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

わ~るいことす~る度に刑期延びちゃう

1話感想{netabare}
タイトルからカゲプロやクビキリサイタルみたいなのを想像したけど全然違ってブレードランナーでした。
というか…別に対立煽りをしたいワケじゃないのであんまり声高に言いたくないのだけど、前期“ノーガンズライフ”で「足りてないなー」と思ってた部分がガッツリ詰め込まれてた。
丁度飢えてたところにスコーンとこんな作品が出てきたモンだから引き込まれないワケがない。
ノーガンズライフだけ槍玉に上げても悪いので…“ニンジャスレイヤー”もトリガー逃げずにこのクオリティで作ったらなぁ、とか。
他に似てるなぁと感じたのは“ハンドシェイカー”のジグラート(大阪が舞台だからか?)、“P5”の誰だったかのメメントス、“ダグ&キリル”…ここら辺の「目指してた先」はコレなんじゃない?とさえ思えたり。
いやぁ“ドロヘドロ”で「テレビアニメでもここまで頑張れるのか」と驚いたモンだけど、まさかまた出てくるとはねぇ。

但し目を引いたのは背景や小物、それを見せるギミック、演出で、肝心のストーリーはまだなんとも言えない。
まさか黒沢ともよがレプリカントってオチは無いだろうけど、巻きこまれ型で派手にドッカンバッキンやるだけだと飽きちゃうかも。
いや、そんなことは無いと信じたい、頼みますよマジで…。{/netabare}

5話までの感想{netabare}
2話以降、じわじわと作画が…うーん。
悪くはないのだけど1話に比べるとってことね。
それとダンロンスタッフということである程度覚悟してたけど、話の腰を折る展開が目立つ様な?
2話「新幹線を襲撃してもらう」からの『詳しくは場所を変えてってことで、バス奪ってホテルに突撃して』、そこでちょろっと新幹線の詳細について語るけどすぐに『処刑課の襲撃があって戦闘して廃墟に逃げ込んで』3話になってようやく「ミッションの概要を説明」。
どうにも『』で括った部分が邪魔というか、「新幹線を襲撃してもらう」からすぐに「ミッションの概要説明」に行ってくれないと勿体ぶってる感を抱いてしまう。
同様に5話、依頼人の正体を問い詰める医者に一般人が横槍入れるのも勿体ぶってる感が…。
ドラマなんかでたまにある、敵の手下を捕まえて「誰の差し金だ」「く、黒幕は…(物陰から何者かが狙撃)うっ」「しまった!」ってやつと同じ、引っ張るにしてももうちょいやり方ありそうな、尺稼ぎくせぇってやつ。
これも文句ってことじゃなくて、これ以上こういうのが増えると困るギリギリのラインってことね。
ってか何億イエンも報酬払えるヤツを見た目子供だというだけで庇おうとする精神がよくワカラン。
まぁ一般人自身が超アヤシイのでウラがあってそういう行動したのかも知れんので、その件については様子見だけど…。
というか依頼者(兄)が“トイレの花子くん”に見えて仕方ないのだけどどうしよう、医者役でオガメグも居るしw

声優ネタといえばNHK風の解説パート、サメくんの声が「たんけんぼくのまち」でお馴染みのチョーさん。
NHK風を演出する上でこれ以上の適役は存在しない…かも?青野武が存命だったらなぁ。
一方のウサギちゃんは聞いただけでは誰か分からなかったけど…エフェクトかかってるせいもあるのかな?ところどころで藤田淑子っぽく聞こえるような?
「関東って知ってるーぅ↑?」のイントネーションなんてすっごく藤田淑子(「私も北に住みたいわーぁ」は久野三咲っぽいけど)。
“デジモンアドベンチャー”や“ダイの大冒険”のリメイクが放送され、藤田淑子ボイスに飢えてたところにコレでちょっとウルっと来てしまった。
で、確認してみたところ間宮くるみでした…えっ、こんな声だっけ!?へけっ。
ダンロンスタッフだったら声優ネタあるのかな?と思ってたが、これがそれに当たるのかな?{/netabare}

6話感想{netabare}
1話で「お、これは!?」と感じるも、それ以降ビビっとクるものはなく5話までなだらかな下降線だったのだが…6話で盛り返したかな?
やっぱ消耗戦は熱いねぇ。
それぞれの得意分野を駆使した協力プレイでミッションクリアーもいいけど、消耗するものが何も無く常に全力プレイできるのと、リソースが限られててどうやり繰りするかの要素アリだと、後者の方が盛り上がるかな、と。

実は5話最後、処刑課はどうしてアクダマの進入口が分かったの?ってのが不満だったのだけど、ああ、上の連中は結構お見通しなのね。
関東がどうなってるとか積荷はナンなのかとか、現場の処刑課師匠弟子も把握してないっぽい(弟子に至っては死にたがりを繋ぎとめるためのツーマンセル制度だったことも知らなかったみたいだし)。
今後それらの秘密に触れることでアクダマ側に肩入れしてくって展開に…なるかな?どうかな?
師匠死んじゃったしなぁ(ホントかな?)。{/netabare}

総評(これだけ見ればいいかも){netabare}
悪くはないのだけど何か物足りない。
「5話までの感想」でも触れたけど、アクションシーンはよく描けてるのだが、それがどうにも話の腰を折る余計なシーンに感じることが多かった。
9話の「殺人鬼に追われてトイレに閉じこもる」も、どうして居場所がバレるのか分かってるのにワザワザ密室に逃げ込むかなぁ?
ホラー映画演出をしたかったのは分かるんだけど、そういうシーンを描きたいがためにキャラに不自然な行動をさせてる感がバリバリ。
って感じで、各話サブタイトルにも見られる様に映画のオマージュ(主に演出面)に走って肝心のシナリオが弱くなってしまった気がする。
詐欺師が供物にそこまで肩入れする動機の描写も弱い気がするし、眼帯ちゃんの心の揺れ動きももうちょっと踏み込んで欲しかった。
「アクションシーンが邪魔に感じる」ってのはアニメとしてどうなの?とは思うけど、内容のうっすいドッカンバッキン見た目だけ派手な娯楽として見る分にはいいかも?
あ、でも医者の最期は大好きw
「ワルモノ」の末路はこれくらいやってくれなきゃねー、聞いてるか?炎炎。

ところで、市民をコロコロして一旦は暴動を鎮圧するも最後市民によって制圧される処刑課とか、これ…中国じゃ放送できんだろうなぁと思ったり。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 15
ネタバレ

シン☆ジ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ふむふむ。。見応えはあるけど好みは分かれそうな?

 
正直、ジャンル的に優先度は低かった作品ですが、利用しているサブスクでは軒並み配信されず。
Tverで期間限定配信というのを聞き、優先度を上げて視聴しましたが果たして・・・

世界観はいいですね。
絵とかOP/ED、チカラ入ってる感じがします。
この感じ、オリジナルの感触・・
 
 原作:オリジナル
 製作:studioぴえろ
  ニルス/うる星やつら/きまぐれオレンジ☆ロード
  /平成天才バカボン/おれは直角/幽☆遊☆白書
  /はじめ人間ゴン/十二国記/キングダム
  /凪のあすから/転スラ・・・
  結構、老舗なんですね。
 放送:2020年秋(全12話)
 視聴:2020年冬(Tver)


▼あらすじ(公式イントロダクションより)
{netabare}本作品の舞台となるのは、高度に発達しながらも歪んだ社会。
遙か昔、カントウとカンサイの間で戦争が起き、世界は分裂した。
カンサイはカントウの属国となり、独自の発展を遂げていった。
しかし、政治と警察力は衰退し、犯罪が横行。
その犯罪者を アクダマ と呼ぶ ―。
▲{/netabare}

ん~あらすじだけ見ると、やはりテンションは上がらないけど・・
ただ、この声は・・ほほ~
自分はcvだけで完走できる特異体質なのでいけそうw

▼キャラ/キャスト
{netabare}一般人(詐欺師):黒沢ともよ
 ハンコセンター職員の20歳。
 巻き込まれ体質?いやーおせっかい気質じゃんw
 黒沢さん、待ってましたヒロイン。
 やっぱり、演技、声ともに惹かれるものが。
 シリアスな世界に明るさを与えてくれました。
医者:緒方恵美
 豊満な肉体を持つ美女マッドサイエンティスト。
 中の人は、「エヴァ」とか「たまゆら」が印象的かな。
 メインキャラはレア感ありますね。
 担当キャラが突出して有名になると大変ですね。。
黒猫/兄:内田真礼
 アクダマに爆弾付きの首輪を装着し指示を与えた。
 cvマジ?男性役もこなすんですね。
妹:市ノ瀬加那
 兄と共に「カントウ」への供物として囚われていた少女。
 市ノ瀬さんは少し復習・・・
 色づく世界の明日から(風野あさぎ)、
 かぐや様(四条眞妃)、
 Dr.STONE(小川杠)、
 ゴールデンカムイ(エノノカ)、
 天気の子(佐々木巡査)・・
 お可愛いことw
処刑課弟子:花守ゆみり
 アクダマ排除に燃えている処刑課の若手女性。
 花守さんも復習しとこか・・
 ゆる△キャン(なでしこ)、
 オバロ(イビルアイ)、
 転スラ(シズ)、
 エガオノダイカ(ユウキ・ソレイユ)、
 かぐや様(早坂愛)、
 ハチナイ(宇喜多茜)、
 鬼滅の刃(白髪)/慎重勇者(ロザリー)、
 ランウェイで笑って(藤戸千雪)、
 ダーウィンズゲーム(スイ / ソータ/映像研(百目鬼)、
 グレイプニル(愛子)・・
 男性的な声もできるんですね。
▲{/netabare}

ヒロイン、初めは眼を見てロボットかと思った・・
サブ含めキャラの特徴は立ってるかな。
でもなぜか好きになるキャラは少ない・・

正直、視聴モチベーションは、ほぼヒロイン(のcv)w

▼エピソード
個人的にはアニメオリジナル作品って、
物語部分は色んなオマージュを感じたりして、
新鮮味が感じられない(つまり残念な思いをすることが多い)といった印象・・

この作品も、その範疇を超えることはなかったかな。

マンガや小説が原作の場合、原作が市場に出る前に編集部のチェックが入るし、市場で淘汰され人気がある作品がアニメ化されるワケだから、仕方ないっちゃ仕方ないですケドね。すでに原作ファンもいるわけだし。
だからこそオリジナルは絵や曲にチカラを入れる必要があるんだろうけど。
とはいえオリジナルアニメでも好きなものはあるので(すぐには思い出せないけどw)、ちょっと期待しました。

犯罪者視点でのミッションとバトルは、悪くない。
でも、気になるところが・・
~{netabare}
第六話、復習しに来た処刑課師匠はどうやってアクダマたちの居場所がわかったのか。。怪我してたんだしまず組織に報告じゃね。
私情で動くし過度な自信やプライドが身を亡ぼす事をわかってないのは・・美学でゴリ押ししてそうだけどプロと呼べるんかな。

前半は謎が気になって面白味もあったけど、
後半は謎部分が刺さらず、なんだかな~な感じも。。

他にもざっと挙げてみると。。
<cv>
 一部、ちょっとミスマッチというか気になった。
 本人というよりOK出してる方がどうなんだろ。。
<ヒロイン>
 序盤人物像が掴めず感情移入しづらかったかな。
 巻き込まれただけでここまでやる行動原理が不明。
 途中、運び屋に惚れたんだなーとは思ったけど、
 ここまで引っ張らずに視聴者にわかるように
 してくれれば、もうちょい感情移入できて楽しめたような。
 首に爆弾つけてアクダマ達を操ろうとした兄妹を、
 命張ってまで助けようとするのも人が良すぎ。
<その他>
 月に行く?電脳世界?う~ん。
 モブの処刑課、弱すぎ。
 処刑課女ボス、威張るだけで無能すぎ。
 何でも出てくる弁当箱、四次元ポケットすぎ。
 銃弾をはじくとか、人間じゃなさすぎw
 医者、真っ二つにされて手術とか不死身すぎ。
 殺人鬼、赤い糸イミフ。詐欺師の顔舐めんなしw。

途中は良かったけど、
終わってみれば、個人的にはなんだかなー感が強かったかな。
結局アクダマ達の命を犠牲に不老不死の兄妹が逃げおおせた。
よかったよかった・・とは思えない。

▲{/netabare}


設定や演出は光るものがあったし、作画は劇場レベルかと。
キャラとストーリーは好みが分かれそう。
黒沢さん、やっぱいい・・BEST10作り直そうかなw

ただ・・{netabare}ヒロイン殺すなしw{/netabare}
 

投稿 : 2025/01/04
♥ : 18
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

浪花節な古事記

オリジナルアニメ 

“アクダマ”とは作中でいう犯罪者のこと。そう言えばいいのにしてないのはそういう世界だから。
その昔「カントウ」VS「カンサイ」で戦争勃発。カントウが新型爆弾を落として決着。焼け野原になったカンサイの復興を助けたりもしてカンサイ人はカントウに感謝するようになった、とのこと。

メタで馴染み深いものが仕込まれてそうですが、当該世界はオリジナリティあるんじゃないかしら。
2020秋スタート新作の中では第1話の引き込みがぶっちぎりで良かったのがこれ。構成がしっかりしてるとか心情描写が丁寧だとかいうのをいったん置いときまして

 {netabare}作った人の頭ン中を覗いてみたいぜ!{/netabare}

人間の想像力は際限ないなと実感できる“架空の世界”を堪能しちゃえばええじゃないかと思うのです。
“アクダマ”が疾走(ドライブ)する全12話。IF世界の近未来モノ。今年2020年でいえば『ドロヘドロ』と同じくどうも言葉に落とす作業が難儀な作品です。「1話観て合いそうかわかるよ」死体がゴロゴロ転がります。そこ本筋ではないもののそれ自体が嫌という方には撤退を推奨するくらいでしょうか。

【アクダマ's】
 詐欺師(CV黒沢ともよ)
 運び屋(CV梅原裕一郎)
 喧嘩屋(CV武内駿輔)
 ハッカー(CV堀江瞬)
 医者(CV緒方恵美)
 チンピラ(CV木村昴)
 殺人鬼(CV櫻井孝宏)

愚連隊は黒澤明の時代より七人と決まってるのかどうなのか。
その七人の通り名には当たり前だが意味がある。
そして通して観ると「進むべき道は自分の意志で決める」真っ当なメッセージも伝わってくる。
突拍子ない世界に私達が置き去りにされないのは基本的なお作法を心得ているのもあるやもです。

アニメに求めるものの一つは表現手段として実写ではしょぼくなると思しきものをいい意味で見せつけてもらうことだったりします。それを満たしてくれた良作ですね。

■むしろ…
『ダンガンロンパ』と比較される本作ですが、肝心のネタ元を知らない私です。
むしろ『PSYCHO-PASS』との既視感が強いかしら。アクダマ認定のオートマティックぶり。某執行官ばりに現場で処刑実行できる公務員の存在。そんな世の中に感じる居心地の悪さなんてのもそうです。
{netabare}さらにサイコな殺人鬼役に櫻井孝宏さん。ダメ押しで公機関の女ボス格に榊原良子さん。榊原さんがどーんと鎮座してると悪の組織風味が何倍か増しますよね。{/netabare}



※妄想劇場

■大大阪(だいおおさか)の衰退

大正末期~昭和初期。大阪が東京を凌駕していた時代を指してこう言う。何年か前に通天閣で大大阪展やっててそれで知ってました。約100年前の大阪イケイケどんどんぶりは白眉ものでしたよ。
そして現在…ってことになるわけでして結果は東京への一極集中。いろいろ理由はあるんでしょうが

{netabare}東海道新幹線開通{/netabare}

{netabare}東名高速道路その他インフラ投資が高度成長を後押ししました。導かれるはリアルでの大阪の没落そしてアニメでシンカンセンの神格化。なんとも皮肉が利いてます。
またこれ“財政健全化”“国民の借金いくら”“角栄の頃と違い公共工事に効果はない”と捉えてる層にとっては、公共工事アクダマ論に乗っかり「そんなのを神聖化するなんて…プークスクス」とさらにマウント取れることでしょう。なお私の意見は真逆です。{/netabare}

蛇足で劇団☆新感線も出自が大阪芸術大学だったりするのもなにかの意図を感じます(しません)。


■暗喩なのか妄想なのか

大阪を好きなのか嫌いなのかよくわかりませんが、無関心ではいられないというのは伝わってきます。
く○るのたこ焼きが500円と現在より安価。デフレーションでも起きているのでしょうか。

{netabare}ハンコも消えてない(笑) このハンコで一元化って仕掛けは面白かったですね。きっと文化と認められての発展形をアニメで描いたのでしょう。そんな発展形ハンコのもたらす災厄を描いてたこともあって、マイナンバーみたいに“国民総背番号制”一元管理どうかと思う層には「ほら見たことか」とウケが良かったかもしれない。なお私の意見は真逆です。{/netabare}

作品チュートリアルなウサギくんとサメくんの寸劇は有難かったですね。ウサギとサメの組み合わせで
{netabare}真っ先に思いつくのは“因幡の白うさぎ”だったりします。文章上のワニ=サメと解釈するのが一般的。その寓話の教訓とは?

1.思いやりの心をもっていると、幸せな結末が待っている
2.余計な振る舞いは災いを招く

といったところでしょうか。本作の展開結果に通ずるものがあります。{/netabare}


とここまでの垂れ流しをご容赦をば。
カンサイという近未来大阪風味な街で繰り広げられる大騒動。やや陰惨でディストピアな世界だからこそ他人様の優しさが沁みる。地でいく娘主人公の立ち居振る舞いに心打たれます。

 思いやりの心をもって迎える結末は幸せなのか不幸なのか?
 余計な振る舞いが招いたのは災いなのか未来への光なのか?

各々で捉えようのある結末も好感度高し。

 馬鹿な出会いが利口に化けて よせばいいのになんとやら

人生どう転ぶかわかんないもんですよね。


{netabare}結局のところ“医者”の年齢は不明のまま。おいくつだったのだろう?{/netabare}



視聴時期:2020年10月~12月 リアタイ   

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2020.12.30 初稿
2021.09.25 タイトル修正

投稿 : 2025/01/04
♥ : 50

69.1 6 サイバーパンクアニメランキング6位
TEXHNOLYZE テクノライズ(TVアニメ動画)

2003年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (228)
1402人が棚に入れました
舞台は、絶望と暴力に支配され荒廃した都市・流9洲(ルクス)。老朽化したこの街は現在、外界からのネットワークから外されて孤立しており、街から他の都市へ行くことは困難だが、逆に行き場を失くした者達が流れ着く、吹き溜まりの場所と化していた。

ある日、この地に一人の男が外界から降りてきた。男の名は吉井。ある野望を遂行すべく降り立ったこの男を迎えるのは、生きる為に賭けボクシングで生計を立てる少年・櫟士、近い未来を見ることの出来る少女・蘭、街の声を聞くことの出来るオルガノの長・大西京呉、そして未来の義肢である「テクノライズ」の技術に魅せられクラースから降りてきた科学者・ドク。この男の来訪により、やがて流9洲は街全体を巻き込んだ事件へと発展していく。
ネタバレ

セレナーデ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

「生」に執着する人間の醜さと美しさ、それによる滅びの謳歌を描いた怪作

ここのレビューを見てちょっと前から気になってた作品。
「地味な攻殻」という漠然とした先入観を持って、ここ最近時間を見つけてチビチビ消化してた。
{netabare}


「少なくとも、ルクスの人間は生きている」
このセリフに涙が出た。

それまでの本編を観てた時は、局所的なことばかり考えてた。
マフィアと機械義肢などの世界観のシナジーの意義、科学と宗教の対立を体現させたような
オルガノと連合の相関など、それらに一貫したテーマやメッセージを見出せずにいた。

でもそれらは全て、包括された「生」というテーマの基に描かれていたと分かった途端、
この作品の奥深さに驚嘆した。マフィアとして街を統括するヤクザの連中も、
反テクノライズ主義を唱える連合の連中も、ルクスの人間を戦わせようとする吉井も、
テクノライズすることに人類の進化や希望を見出す連中も、
ルクスに描かれていた人間は皆、各々の形で「生」に対し足掻きや執着をしていた。
それらに一貫して「生」のテーマが描かれていたからこそ、
ラストの街の滅びのフィナーレが美しく、
「少なくとも、ルクスの人間は生きている」、この言葉が強烈に響く。
様々な理不尽なルクスの世界を体験してきたイチセが言うからこそ、重さが違う。

仏教の世界では、殺人者より自殺者の方が罪深いという話を聞いたことがある。
実際に人前で「殺人より自殺の方が罪が重い」なんていうと糾弾されるから絶対言えないんだけど、
殺人をする人は、まだ生きることへの主張があり、生への放棄がない。しかし自殺者と言うのは
一見潔く見えるけど、生への放棄は仏教的には一番重い罪なんだという。らしい

本作のメッセージ性を汲めた途端なぜかこんな話を思い出した。
このアニメは残虐さと生の謳歌で蔓延している。
そして生きることをある意味諦めているような地上の連中より、
体を機械にしてまで争い、騙し騙され生きているルクスの連中の方が、よっぽど人間なのだと啓発する。

これが本作の本来のメッセージ性、テーマ性じゃないかもしれないんだけど、
例え図らずとも描かれていたその生に対する哲学や美しさに涙しちゃいましたね。

{/netabare}

哲学的で、考察的。
生に執着する人間の醜さと美しさをサイバーパンクと絡めた貴重な作品。



しかしやっぱ序盤はたるい。
地味で暗いが話のテンポ自体はあるし、ちゃんと話が進んでいるのは分かる。
が、いささかプロローグが長いというか、何を描きたいのかが分かりにくく、
序盤でテーマを把握するのは不可能。リアリティに徹してるわけじゃないからツッコミどころもあるし、
なにより世界観の説明不足が致命的。終盤まで明瞭にされない。

でも、その世界観が明瞭にされたとき、その作りこみと発想の凄まじさに感動すら覚える。
序盤の伏線とすら言えない「?」な部分も終盤で次々と理解できていく(見終わった後に
ネット上の資料で補完もしたんだけど)。

もし本作を観ようとしてる御仁がいれば、序盤は群像劇として観ることをおすすめします。
主人公だけ追ってると悶絶します。
あと「大局観的なモチベーション」が必要。1話1話に面白さを求めると絶対挫折する。
「いかに視聴者を切らせないか」という作り方をしている昨今のアニメに慣れすぎてると
このアニメの視聴は厳しいかもしれない。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 16

Jacks さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

青年が行き着く真の場所は...

今まで観てきた中で異色のアニメですね。ストーリーと設定が精巧に作り込まれていて、硬派な作風に仕上がっています。
マッドハウスが制作したことに良い意味で驚きを禁じ得ません。かなりインパクトがありますよ。
と言っても伝わりづらいと思うので、早速本作について解説しましょう。

時は近未来。「テクノライズ」と呼ばれる義肢の技術によって、人類は進化の一途を辿ります。
しかし、それを用いて新たな革命を掲げるオルガノを始めとした暴力的な団体によって、都市は壊滅寸前です。
そこに現れたのが本作の主役である「櫟士(いちせ)」。彼はある一件により右腕と左足を失ってしまいます。
テクノライズによって辛うじて生を取り戻した櫟士は、街の崩壊を止めるべく動き出すのが基本的なあらすじ。
ストーリーが難解かつ複雑なので、少しでも間違いがあったらご容赦を。

まず第1話で敬遠する人が多いでしょう。台詞がほとんどありませんからね。主人公でさえも喋りません。
第2話から少しずつ各個人の設定が明らかになり、台詞も格段に増えます。なので1話は実質チュートリアルと言って差し控えないです。
僕はシリアスな作品が大好物なので1話から余裕で入り込めました。ですが、出だしから雰囲気が非常に暗いので、よほどの理由がない限り続きを観ようとは思わないでしょう。
ですが諦めないでください。2クールアニメは徐々に話を展開することが多く、本作もその一部です。
巷では第7話から本番と言われているので、それまで我慢できるか。そこが肝心ですね。

本作を語る上で欠かせないのがキャラの心理描写。櫟士は勿論、ヒロインである「蘭(らん)」や他のメインキャラも謎だらけで、彼らの内情を理解するのに手間がかかります。
説明も一切ないので、キャラ同士の会話にちゃんとついてこれないと置いてけぼりです。考察の余地を与えるべく、あえて不親切な構成にしているのでしょう。
わけがわからないよとか、意味不明だとかと捉われても仕方ありませんね。従来のアニメとは明らかに一線を画した内容です。
その代わりに理解が深まれば、一気に面白くなります。それだけ本作には不思議な魅力があるのです。
事実、蘭の正体が解れば解るほど、テクノライズをめぐる争いがいかに醜悪で無駄なことか証明してくれます。

映像の美しさも目を見張る範囲内ですね。ダークな雰囲気と非常にマッチしています。
キャラデザが個性的です。特に目の形と服装。髪型は好みの問題かな。
作品の性質上、流血シーンやバイオレンスが結構多めで、それらの類が苦手な方は注意が必要です。
基本的には会話中心で話が進むので、ある程度の覚悟はしておいた方が良いでしょう。
OPとEDの作画は曲も相まって非常に印象的で奥深いです。僕はOPで櫟士と蘭が目と目を合わせるシーンが好きですね。「I'll be your guardian angel...」。
声優陣は一流揃いで、作品に引き込ませてくれます。櫟士の中の人は有名ではないですが、演技は上手いですよ。

前述の通り話が難解なため、面白く感じるのは後半ぐらいからですね。

僕はテクノライズと似たテーマのアニメを幾つか観てきました。例に漏れず当たりです。
本作も出来は良いのですが、いわゆる隠れた名作に部類されますね。非常に面白い作品です。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 0

hottikiss3 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

なんていうアニメだ...

こんなアニメあり?って感じでした。

はじめに、今から見ようとする人へ

・とてもグロい。今まで見た中で一番グロかったかもってくらいグロいです。だからそこは要注意
・第一話、ほとんどセリフないです。何が起こってるかよくわからないと思います。主人公が誰か、くらいしかわからないのかも。そんで、最後まで見ても、話の内容がよく分からないと思います。
・最後は鬱っぽく終わるし、しかも何がどうなったのかよくわからないままの終わり方なので、余計鬱。
・いっき見しづらいアニメだと思う。最短でも4日はかかる。気持ち的に。
・かわいい女の子、イケメンキャラ、美しい画、なんかは全くない。目的が全然そこじゃないので、それ期待してる人は一話見るまでもなくまわれ右です。
・深くかんがえさせられる系です。話よくわからないけど考えさせられます。いろいろ。

物語は人間の終焉を描いたような作品
作画は、なんかリアリティー系で、私は好きです。主人公の瞳が私も大好きです。
声優...こんなにセリフ少ないアニメ前代未聞じゃないですか?
音楽、OPかっこいいです。歌じゃないけどかっこいい
キャラは、なんか悪役はとことん悪っぽく描かれてて話分かる系とかぶっ飛んでる系はいかにもそれらしく描かれてる気がします。それぞれ良いと思います。
大西さんが終始カッコよかった。このカッコいいの意味は話ちゃんと見た人しかわからないと思う。
そんでイチセは私はとても好きです。ああいうのが本来の人間なんだと思う。


そして。。。
セリフすっっっくなーー!!
びっくりする!!
あとイチセめっちゃ叫びますね。
オレンジの髪の女の子ランは神楽ちゃん(銀魂)に見えて仕方なかった。
ついでに言うと吉井は神楽のお父さんに見えた。ww

この物語は、世界の終焉を描いてると思った。
このまま科学技術進んでいって、平和ボケして
こんな感じで終わっていくのかな。と思った。
感じたことは、生きてるってどういうことだろう、という事
ただ椅子に座って仕事して
平和を害するもの、その危険性あるものすべてに蓋をして
自分は絶対安全なところにいる。ただ毎日生きてるだけ
っていうのは、生きてるって言うのかな?って。
それと、地下のルクスみたいな、人間争いまくって
権力争いとかして殺し合いしてる方が、生きてるって言えるのかも
争いはよくないっていうのが今の世の中で絶対的な思想だけど
それが続いて、永遠に続いて、それで本当に正常な思想だと言えるのか?
みたいな。
それと、私は義体についてはあんまり考えさせられなかった。
内容あんまし理解してないからなのかな。
ただ、自分の手足が今こんなに自由に動くのってすごいことなんだな、と思った。
今はあるからこれが普通だけどなくなったらそれはそれは苦しいんだろうなと思った。

見終わった後のこの現実との温度差がまた鬱感を大きくしてるのかも。
放心状態にさしてくれるアニメ。
評価もしづらい。縁がある人は見たらいいんじゃないかな。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 2

75.4 7 サイバーパンクアニメランキング7位
PSYCHO-PASS サイコパス 3(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (450)
2243人が棚に入れました
「正義」は、新たな世界を切り開く。 魂を数値化する巨大監視ネットワーク・シビュラシステムが人々の治安を維持している近未来。シビュラシステムの導入後、日本は海外との交流を断ち、長らく事実上の鎖国状態にあった。2120年、開国政策により変革の刻が迫ろうとしている。変わりゆく世界で、犯罪に関する数値〈犯罪係数〉を測定する銃〈ドミネーター〉を持つ刑事たちは、犯罪を犯す前の〈潜在犯〉を追う。

声優・キャラクター
梶裕貴、中村悠一、櫻井孝宏、大塚明夫、諏訪部順一、名塚佳織、沢城みゆき、佐倉綾音、日髙のり子、宮野真守、中博史、田中敦子、日笠陽子、森川智之、堀内賢雄、矢作紗友里、関智一、野島健児、東地宏樹、伊藤静、本田貴子、花澤香菜

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「正義」は新たな世界を切り開く。

ノイタミナで放送されたこの作品もいよいよ3期…
ですが、この作品を視聴する前に2015年に上映された「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス」と、2019年に上映された劇場版三部作『PSYCHO-PASS サイコパス | SS (Sinners of the System)』の視聴をお勧めします。
本作との直接的な繋がりは薄いのですが、登場人物や状況設定に繋がりがあるので…

そしてこのPSYCHO-PASSといえば、香菜ちゃん演じる主人公常守朱の活躍が楽しみな作品でもあるのですが、今回の主人公は梶さん演じる慎導灼(しんどう あらた)と、中村悠一さん演じる炯・ミハイル・イグナトフの二人という設定になっています。

常守朱が全く登場しない訳ではありません。
ですが、これまでとはだいぶ立場の違う形で登場することになるのですが、その真相は3期を完走しても未だ闇の中…
シビュラシステムの抱える闇の深さを物語っている気がしてなりません。


魂を数値化する巨大監視ネットワーク・シビュラシステムが人々の治安を維持している近未来。
変わりゆく世界で、犯罪に関する数値〈犯罪係数〉を測定する銃〈ドミネーター〉を持つ刑事たちは、
犯罪を犯す前の〈潜在犯〉を追う。
2012年にスタートしたオリジナルTVアニメーション作品『PSYCHO-PASS サイコパス』の
第三期シリーズとなる本作は、ふたりの新人監視官の物語。
慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフは、厚生省公安局の刑事となり、変わりゆく世界で真実を求めていく。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

本作品を視聴して思ったこと…
1期から比べると、犯罪の狡猾さと裏で糸を引く巨大な組織の存在を感じずにはいられません。
元々、人間の魂を数値化して数値が悪化しないよう管理しているのがシビュラシステム…
大概の人はその大枠の中に納まっているのですが、様々な事情により著しく数値の悪化した犯罪者を執行するのがドミネーターであり、公安局の仕事だった筈です。

1期は、それぞれの事件に関連性が無く各個撃破すれば良かっただけなのに…
3期にもなると、繋がりしか見えなくなるのですから不思議なモノです。

そういえば、今期から耳慣れない単語がちょくちょく出てきました。
コングレスマン、インスペクター、そしてビフロスト…
目にすることもゼロではありません…寧ろ毎回必ず登場していましたっけ…
それにも関わらず、彼らが何をしようとしているかがさっぱり分からないんです。
分かるのは、良からぬことをしていることだけ…

一方、今回の主人公の2人は同じチームで動くことが多いのですが慎導灼の監視官への推薦者は常守朱で、炯・ミハイル・イグナトフの推薦者は、あやねる演じる霜月美佳なんだそうです。
常守朱と霜月美佳の関係も今となっては懐かしい限りです。
3期では霜月美佳は公安局刑事課課長、統括監視官にまで出世しているんです。

まだ分からない事だらけです…
常守朱の立場は変わってしまったようにも見えるけれど、そうじゃない一面が垣間見えたり、霜月課長も常守のことを「先輩」と慕っているようですし…
もう、一体これまでに何があったの…?
すっごいモヤモヤするんですけど。

モヤモヤすると言えば…
今回登場する組織は公安局刑事課だけじゃないんです。
花城フレデリカ率いる外務省海外調整局行動課も暗躍するんです。
これだけなら別になんてこと無いのですが、構成メンバーを見るとモヤモヤします。
・狡噛慎也
・宜野座伸元
・須郷徹平

狡噛は、劇場版三部作の内容を踏まえれば妥当だとは思いますが、後の二人はいつの間にか行動課に行っちゃったの!?
前にお断りするところを見た記憶まであるんですけど…
しかも、3人とも元・厚生省公安局刑事課一係の執行官ってどういうこと!?
花城フレデリカさん、ヘッドハンティングし過ぎなんじゃ…
って思いたくもなりますよね。

狡噛といえば、物語の終盤で炯・ミハイル・イグナトフに言い放った一言は意味深でしたね。
物語の今後の布石になる前に、自身の本分に従って留まって欲しいと思ってやみません。

彼らが刑事課にいてくれたら一体どれだけの戦力になるのか…ってことは、きっと考えちゃダメなんでしょうね。

オープニングテーマは、Who-ya Extendedさんの「Q-vism」
エンディングテーマは、Cö shu Nieさんの「bullet」
どちらの曲も好きですが、個人的にはエンディングの方が好みでした。

1話1時間構成で全8話の物語でした。
全8話とだけ聞くと短いと思いますが、普通のアニメの尺換算だと全16話分ですからね。
それに、アニメーション制作はProduction I.Gさんなので、終始安定したクオリティでしたし…
今回は中途半端なところで物語が終わってしまいましたが、公式HPでは2020年春に「PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」が上映される予定ですし…
春と言ったら、もうあっという間じゃありませんか。
上映を楽しみに待っています。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 20

レタスの人 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

他アニメと比較するべきか、シリーズで比較するべきか

個人的な意見でシリーズで比較するならば
1>2>3≒case2>case1と3>映画1

と言った感じで、今回の作品に関しても言えるのは2と同じようにやれることが少なくなってきた結果なのかな、と感じた。
サイコパスという土台を踏襲した上での物語を形作る為のコングレスマン等新設定を持ち出し、様々な試みをしているのに関わらず、人々が魅了された1での演出はもう二度と復活させる事は出来ない。

あのムーブを形作るには全員復活させるか、キャラクターを一新させて同じような話を作るしかないのだが、それも不可能に近い。
限りなく人々が好むであろう展開をこのサイコパスという土台で一度取り行ってしまった以上、土台を変えるか別の形でそれを探すしかないのだが、やはり1程の衝撃を受けるには流石に至ることは無い。
事実外務省としてキャラクターの保護をしている時点で下手すると破綻する事も重々承知の上だろうし、ファンも暴走しかねない。

ただ、内容をシリーズから切り離して考えれば全然面白いとしか言いようがない。
俺は基本的にはアニメ見るの嫌いだし、好きな今回のサイコパスシリーズですら程よく流し見状態だった為、客観的に意見を述べやすいと思うのだが、他シリーズでこのレベルまで面白いアニメってあんまりないと思われる。
いくら暇つぶしになれど、アニメ自体を余り好まない人が率先して続きを見ようと思うかどうかに至ってをクリアしている時点で俺としてはなんら問題は無い。
総合評価は圧倒的Aと考えている。

少なくとも俺は映画一作目より面白かったし(あれは好きな人には申し訳ないが、点数あまあまな俺でも途中で見るの辞めようか迷ったレベル)、今後もまだ期待ができるような展開が望めるので、話題作になるようなものでなくとも鉄板で及第点である。

正直量産されている変なアニメより先も見る気になれば、時間を損した気分にならないと思うのだが、そこは人の好みなので強くは論じない。
としても、冒頭で述べた様にやる事がもう本当にない。
こーしたらいい、あーしたらいい。シビュラを倒したり、誰誰が生きていてどーのとか広がる妄想はいくらでもあるのだが、凡そそれを映像化して万人が首を縦に振るかと言うと、昨今の刃牙のようにかなり爆弾な物語になりかねない為、絶対に適うことは無い。今回の3が妥当としか言いようがない。
つまりサイコパスシリーズは3期伏線回収後で切り上げてもいいのかもしれない。

その点に於いては2で霜月をしっかりとぶち殺して、1のラストの様にシビュラに抗い続けて見せる!で切り上げるのが一番手っ取り早かった。
続編を出すに至り、霜月の存在がどうしても必要になる為、caseシリーズから霜月のイメージをガン上げして、ツンデレ可愛いキャラになってしまったが、2でやっちまった事についてが足かせな気がする。
そのせいでなお綺麗な終わりを目指すことが非常に難しい、これは狡噛を復活させた事についても大きな問題なのだが、ファンサービスとしてここはあきらめざるを得ない…。英断だと思う。
ここで言う足かせとは、

アニメや映画を好む人の9割以上が公正世界仮説をベースに自身の感情のカタルシスとしてその娯楽を楽しむ傾向にあると俺は考えているが、その上で敵と味方にどちらも同じ業と同じ条件を架すことにより、なお面白い劇が完成する訳だ。

槙島にはこういう業とこういう正当性がある。だから結末としてこうなった。
狡噛にはこういう業とこういう正当性がある。だから結末としてこうなった。

不慮の事故やキャスト同士のやり取り中での退出者以外は業と正当性により、凡そのその後の人生が作中で決まっていく訳だが、小悪党としてのキャストを全うした霜月をそのままにしたお陰で、かなりアンバランスな存在として成り立ってしまっている。
1,2,3期、全てで好き勝手性格や境遇弄られている霜月美佳の扱いは流石に酷過ぎないだろうか。
(※1、ちょっと達観した女学生。 2、自己承認欲求の為に周りを下げようとしたり、自己保身の為に知人を売りさばいたりするクソレズ。味方殺し。 3、規律とかに厳しいけどいざという時に助けてくれる頼りになるツンデレ。宜野座の嫁)

考察者よろしく、適当なあるある解釈をすればある意味それは彼女は「駒」としての意味を持つのかもしれない。

何れにしても霜月美佳の存在を何とかしない限り、凡そ本物の最終回という最後のステップにすら移行出来ない気もするので、俺としては早く彼女を救ってほしい。

最後に、
俺の大好きな禾生さんを引っ込める意味が余りわからないのですが…。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 4

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

前半は面白いが、犯罪係数=常森が扱えなくなったシリーズの残滓。

 本作の記憶があまりにも薄いので、見始めたら前半は相当面白かったです。ただ、後半の出来が今一つなのと尻切れトンボだったので記憶から抹消していたのでしょう。

 映画があるみたいなので今後はどうか知りませんが現時点で、常森、狡噛そしてシビュラシステムが完全に機能していません。世界観としてシビュラシステムはありますが、多分犯罪係数では話が作れなくなったのでしょう。これは1期から思っていましたが、シビュラシステム、犯罪係数、免罪体質が描けているようで表面を擦って言葉遊びをしているだけで、奥深さがないと思っていました。

 ですので、本作では選挙、移民、分断を扱うこと、サイコメトラーとビフロストという新たな対立軸をいれないと話が作れなかったのでしょう。別に「攻殻機動隊」でやってもいいし、まったく新しい話でもいい気がしますが、ガンダムと一緒でシリーズでやることが優先なんでしょう。

 脚本家の冲方氏はシビュラシステム、常森、犯罪係数、免罪体質では物語が描けなかったのでは?と思います。今回の話に関して言えば、シビュラがAIでバックドアとしてビフロストという話でも成立します。
 おそらく常森、狡噛を出すことでサイコパスであるという風に見せたかったのでしょう。特に狡噛はなんの機能も現時点では果たしていません。それは霜月も一緒で、霜月である必要はありません。
 ただ、霜月が可愛すぎて面白過ぎて清涼剤になっていたのは上手かったと思います。

 で、本作は前半はかなり面白いです。選挙のところです。ここは2人の新主役の能力や世界観を説明しつつ、カリナという魅力的なアイドル政治家を出すことで、エンタメとしては面白かったと思います。

 ただ、やっぱりいつも通り面白いだけ、な気はしますが。芸能人政治家やプロレスラー政治家を入れたり、AIを絡めたりしていますが、テーマ的に言えばだからどうした?です。
 移民の売春婦、貧困、祖国の戦争、隔離政策等々アップトウデートな話題ではありますが、じゃあ、そこに主義主張や問題提起が描けていたかと言えば、そうでもありません。テーマと深さがあるように錯覚させているだけです。

 正直言えば似たような話では「リコリスリコイル」の方が、まだ命と使命とは?公権力による正義の執行とは?のようなテーマがあったと思います。

 要するに灼と炯のパーソナルな謎と、ビフロストという秘密の凄いシステムが裏にあるんだぞ、という話です。ですけど、ビフロストの組織の説明はありましたが、何を基準に何をしているのかの説明がありません。また、常森がもったいぶって時々登場するだけです。

 ですので、テーマの持ちようがありません。感じられるのは、正義とは何かを言いたいだろ?です。ですが、正義に答えはない、それぞれに正義があるというのは機動戦士ガンダムや宇宙戦艦ヤマトで既に結論が出ている話です。あるいは正義は数字じゃ測れないにしても出涸らしです。

 で、後半に入っては、もうキャラがゴチャゴチャして名前と顔がわけわからなくなる、男のキャラは見分けがつかないし、最終回なんかセリフで説明しちゃってるしで、なんじゃこりゃあ?です。
 主役2人の対立も、なんか、今までの信頼は何だったの?演技?と思っていましたが、本気だったみたいだし。灼と炯の2人の監視官の適正ありって、結局何が適正だったんでしょう?

 あと、ふと思ったのが、犯罪係数云々って暴力犯ならわかるのですが、知能犯だとどうなのよ?と思わなくはないです。それでもやっぱり殺しちゃうんでしょうか?

 作画はすごいと思います。音楽はまあサスペンスものだよね、という音楽です。OPは可もなく不可もなくよりもちょっといいかなくらいです。

 サイコパスシリーズである必要性がなく、常森を出せなかったこと、尻切れトンボ、後半急速につまらなくなるのは大きな減点要素です。
 前半はエンタメとしては面白かったし、霜月とカリナが可愛いのでちょっと加点しますが、世界観・テーマ性ははっきり駄目です。

 ストーリー、キャラは3.5と言いたいですが、霜月加点でキャラは4です。作画で点数はあがりますが、主観的には前半80点、後半50点、平均65点しかも尻切れトンボなので55点かなあ。

 映画も無料になってるみたいなので、見てみます。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11

83.9 8 サイバーパンクアニメランキング8位
電脳コイル(TVアニメ動画)

2007年春アニメ
★★★★☆ 3.9 (1970)
11183人が棚に入れました
今よりもちょっと未来…子供たちの間では街のどこからでもバーチャル世界=コイルに接続できる電脳メガネが大流行していた。小此木優子(おこのぎ ゆうこ)は、小学校最後の夏休みを前に、父親の仕事の都合で最新の電脳インフラを擁する地方都市・大黒市に引っ越すことになる。
優子は、その街で出会った友達と電脳空間で次々と巻き起こるフシギな出来事を体験する…。

声優・キャラクター
折笠富美子、桑島法子、矢島晶子、小島幸子、斉藤梨絵、鈴木れい子、野田順子、小林由美子、梅田貴公美、山口眞弓、沼田祐介

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

最高のNHKアニメ

完全に思い出補正は入っているわけだが、拡張現実というものを取り入れた作品で小学生らしさも全開なこの作品好きだった。

優子と勇子の関係性もだが、ハラケンも良かったぞ。

思い出補正なんでどこがどう良かったかなんて具体的には語れないのが悔しいが、言葉にするとそうでもなかったなあという気がしてくるので、あえて言葉にはしない。
Don't think, feelの精神貫きます。

子供心ながら最後のほうはハラハラドキドキしていた。ヌル怖い。


OP
プリズム 池田綾子
ED
空の欠片 池田綾子
池田綾子さんはこの作品でしか見かけてないような気がするが、昔聴いてた裏組曲なるものにも使われていたし、プリズムはずっと聴いていたいと思えるほどの良曲。
勿論、空の欠片もEDにぴったりでノスタルジックな気持ちになる。


アマゾンプライムから引用のあらすじ。
1. メガネの子供たち
金沢から大黒市へと引っ越してきたヤサコこと小此木優子と妹の京子。ヤサコは謎の電脳生物を追いかける京子と電脳ペットのデンスケとはぐれてしまった。電脳メガネでデンスケを見つけたのはいいが、なんとデンスケはヤサコの目の前で、謎の電脳生物と共に壁の中へと消えてしまった! ヤサコはたまたま出会った自称コイル探偵局員の女の子・フミエと共にデンスケ捜索を開始する!

2. コイル電脳探偵局
サッチーの攻撃をなんとかかいくぐり、デンスケの救出に成功したヤサコとフミエ。しかしなんとデンスケは謎の電脳ウイルス「イリーガル」に感染していた!戸惑うヤサコを助けたのは、フミエの親玉にしてヤサコの祖母「メガばあ」だった。メガばあは様々な電脳グッズを駆使してデンスケの治療を試みるのだった。一方、謎の少女イサコがデンスケを狙って、手下の電脳生物モジョを差し向けてようとしていた・・・。

3. 優子と勇子
大騒動の翌日、ヤサコは転校初日を迎えた。留守の間に、メガばあの応戦も空しく、モジョによってデンスケが誘拐されてしまう!再びデンスケ救出に向かうヤサコとフミエ。モジョの反撃を受けながらも必死の追跡を続ける二人の前にサッチーが立ちはだかる!! 混乱のさなか、一旦は助けたデンスケをイサコに奪われてしまう。果たしてデンスケを無事取り戻せるのか?そして謎の少女イサコの狙いとは一体!?

4. 大黒市黒客クラブ
ヤサコに続いて6年3組にやって来た第二の転校生、それはなんと昨日デンスケを誘拐したイサコこと天沢勇子だった。イサコは、ダイチがリーダーの「大黒黒客」へと勧誘されたが、これを冷ややかに断ったことで、ダイチたちに目をつけられてしまう。ヤサコはイサコと友達になろうと話しかけるのだが、イサコはヤサコにひどく冷たい言葉を投げ返す。放課後、ダイチたちはイサコに電脳アイテムで攻撃を仕掛けるのだが…!!

5. メタバグ争奪バスツアー
この街のどこかにメタバグが大量に埋まっているという噂を聞きつけたダイチたち。そんなダイチたちに「在りかを知っている」と近づいて来たのは、なんとイサコだった。メタバグ探索に向かうイサコたちの後をつけるヤサコとフミエ、そしてイリーガルの研究をしているという「生物部」の部長ハラケン。ダイチたちが辿りついた先は、電脳霧がたちこめる「バスの墓場」だった!イサコはダイチたちにバスの床を掘るように命じる。果たしてイサコの目的とは何か!?

6. 赤いオートマトン
ヤサコたちのピンチに、襲いかかるサッチーに命令をして停止させたのは、なんとハラケンだった。サッチーはハラケンのペットだったのだ!ハラケンの正体を探ろうとするフミエとヤサコは、まずは生物部らしくサッチーの生態を探ることから始めるのだった。しかしハラケンの行動を知るうち、二人はハラケンの意外な過去を知ることになるのだった…。

7. 出動!コイル探偵局
ヤサコとフミエはコイル探偵局メンバーとしてメガばあに緊急招集される。依頼は電脳ペット「マンタ」の捜索だった。一旦は断ろうとするヤサコたちだったが、報酬を聞いて目の色が変わる。その報酬とはメタバグの30倍もの値がつくといわれているキラキラ輝くキラバグだったのだ…!目撃情報を元にヤサコたちは廃工場へと向かうが、そこには偶然、イリーガルを捕まえようと、イサコが様々な罠を張り巡らしていた。イサコの暗号式に足を踏み入れたヤサコは、なんとイサコと一緒に密室に閉じ込められてしまった!

8. 夏祭り、そして果たし合い
一学期最後の終業式の日。すっかり黒客を支配下におさめたイサコがダイチたちにある命令を下す。イリーガル探索になにかと邪魔となるフミエたちに果たし合いを申し込み、これに勝利してフミエたちから電脳メガネを取り上げろというものだった。ケンカばかりしているが、実はフミエに片想いだったダイチ。夏祭りの雰囲気に飲まれたせいか、なかなかフミエに果し合いを言い出せない。黒客と恋心に揺れるダイチの男心は、果たしてどんな結論を導き出すのか?

9. あっちのミチコさん
ついに黒客とフミエたちの果たしあいの日がやって来た! 生物部の合宿、深夜の学校で肝試しを行い、負けた方はメガネを捨てなければならないのだ!ダイチやヤサコたちは競い合って校舎内のあちこちに電脳トラップを仕掛けていく。そこへ現れたのは学校を調査すべく、サッチーと一緒に潜入してきたオバちゃんだった。すべては学校内に逃げ込んだイリーガルを捕まえようとするイサコの陽動作戦だった!

10. カンナの日記
なんとヤサコの目の前でキラバグを体に吸収し、イサコはサッチーを倒してしまった!「残りも私が手に入れる」と、オバちゃんに宣戦布告をするのだった…。イサコによって黒客から追放されてしまったダイチはデンパと共に「元祖黒客」を旗揚げする。一方、ヤサコとフミエはハラケンに協力して、ハラケンが手に入れた道順を辿る事に!!そこで、ヤサコは遠い昔の記憶を思い出す。それは「4423」と名乗る謎の少年との想い出だった…。

11. 沈没!大黒市
イリーガルを捕まえて、メタバグを稼いでやる! ダイチが苦難の末に見つけたのは、小さな金魚のイリーガルだった。がっぽりメタバグを稼ぐため、ダイチは金魚を育てることにした。ところが、金魚はひたすら巨大化を続け、ついにダイチの家から飛び出してしまった!! 巨大化した金魚は街をどんどん水浸しにしていく。事態を収拾するため、結集するヤサコたちコイル探偵局メンバー!果たして、ヤサコたちは街を救うことができるのか!?

12. ダイチ、発毛ス
懲りないダイチはイリーガル捕獲を企むが、いっこうに見つかる気配がない。そんなある日、ダイチが電話で「ボッサボサ」という謎の言葉を残して姿を消してしまう。心配するヤサコたちの前に現れたダイチの顔には電脳ヒゲがびっしりと生えていた。しかもヒゲは、強い感染力を持っていて、男女の区別もお構いなしに、ヤサコたちにも次々と伝染、一同は大パニックに陥ってしまう !! このピンチにメガばあが作ったのは、なぜか翻訳機。ダメもとでヒゲたちの声を翻訳してみると。

13. 最後の首長竜
カンナの日記を手がかりに、古い空間を見つけたヤサコとハラケン。そこは電脳霧が立ち込めるグラウンドだった。そこでヤサコたちはイリーガルのクビナガ竜を飼うデンパに出会う。皆には内緒にしておいて欲しいというデンパだったが、グラウンドで新しいビルの建設工事が始まることが判明!! このままではクビナガ竜の命が危ないと、別の古い空間を探して移動させることに。果たして、デンパたちは無事にクビナガ竜を助けることが出来るのだろうか!?

14. いきものの記録
電脳猫ミゼットを使って、姉のフミエの行動を記録するアキラ。なんとミゼットは見た映像や聴いた音声を記録できるのだった。自分への虐待(?)の映像を、いざというときの証拠のために残していたアキラに思わぬ落とし穴が待っていた!! 一方、大黒市で起きた出来事を調べているという青年・猫目と出会うハラケン。イリーガルの研究について相談をもちかけたハラケンだったが、猫目から返ってきたのは意外な言葉だった…。

15. 駅向こうの少年
デパートからの帰り道に、ヤサコは道に迷ってしまう。しかも、なぜかイサコと間違えられて、「キラバグを出せ!」と、見知らぬ少年たちに追われるハメに! そんなヤサコを助けてくれたのは、タケルと名乗る少年だった。タケルと仲良くなり、駅まで送ってもらうヤサコ。だが、そこは幼い頃に来た覚えのある道だった。昔の記憶を辿りながら、ヤサコは夢で見た階段鳥居を探しはじめる。ヤサコの過去には一体何があったのだろうか!?

16. イサコの病室
夏休みも終わりに近づいたある日、ヤサコは病院までギックリ腰のメガばあを迎えに行く羽目に。そこでヤサコが見かけたのは、病院内で盗み撮りを行うアキラの姿だった!アキラを問い詰めるヤサコだったが、映像の中にイサコの秘密を見つけ驚く。そこでヤサコが見たものとは一体?! 一方、図書館でメガネの事件を調べていたハラケンとフミエは、ある新聞記事を発見するのだが…。

17. 最後の夏休み
イサコの秘密を知って動揺するヤサコ。ハラケンにもそれを伝えるヤサコだったが、どこか思い詰めた様子のハラケンの姿に不安を覚える。だが何事もないように振る舞うハラケン。一方、ガチャギリ・ナメッチを従えイリーガルを追うイサコに、奥の手を繰り出し決戦を挑むオバちゃん!ついに追い詰められるイサコ、しかしそのイサコの前に意外な人物が現れるのだった…!

18. 異界への扉
壮絶なバトルの末に、ついにキラバグを集め終わったイサコ!!イサコが暗号式で出現させたのは、謎の電脳空間「通路」だった。虚ろな目で「通路」の中に足を踏み入れようとするハラケンだったが…。ハラケンに歩み寄ろうとするヤサコは、カンナをめぐる心の傷の前にただ立ち尽くす事しか出来ない。落ち込むヤサコを心配し一緒に家に泊まるフミエ。しかし、その二人に不気味な電脳霧が迫りつつあった。

19. 黒い訪問者
突如停電したヤサコの家。湧き上がる電脳霧から現れたのは「通路」と謎のイリーガル「ヌル」であった!京子を襲い、その電脳体を連れ去ってしまうヌル!!闇の中を追い詰められるヤサコとフミエであったが、間一髪メガばあの結界に救われる。メガばあの助言を得て、なんとか京子救出を試みる二人だが…?!果たして、ヤサコたちは京子を無事に助け出すことができるのか!?

20. カンナとヤサコ
次々と出現するヌルに囲まれたヤサコたち! 間一髪で救出したのは、バイクで駆け付けたオバちゃんとメガばあだった。一方、再び通路へと向かったハラケンの身にも危険が迫まる! ハラケンの後を追うヤサコとオバちゃんだったが、そこでオバちゃんは自らの過去を語るのだった…。そしてハラケン救出のため、ヤサコが取った思いがけない行動とは!?

21. 黒いオートマトン
今日から新学期。学校は新しい駅ビルに移転し、第一小と合併することに。タケルとの再会に喜ぶも、目覚めないハラケンの事が気がかりなヤサコだった。一方、何故か第一小の生徒たちから執拗な嫌がらせを受けはじめるイサコ。更に、学校で流れる悪い噂に、次第に追い詰められていく…。

22. 最後のコイル
新型サッチーに追い詰められたイサコ。助けに来たヤサコに案内され小此木家に避難するが、そこで京子にデンスケの治療を頼まれるのだった。デンスケを調べていくうちに、イサコはデンスケに“ある秘密”が隠されていることに気づく!しかし、その直後に小此木家に新型サッチーが侵入してくるのだった!!

23. かなえられた願い
大規模なフォーマットが繰り広げられる中、京子とデンスケを守るために逃げ回るダイチたち!そして危険な状態に陥りながら、逃げ惑うヤサコとイサコ!そんな中、幼い頃の記憶が蘇ってきたイサコの元に、猫目からの電話が掛かる。それは、デンスケを助けるためには、ある場所にデンスケを連れて来いというものだった…。 そこでヤサコとイサコを待ち受けるものとは一体!?

24. メガネを捨てる子供たち
昨夜の事件で気を失い、病院で目覚めたヤサコ。イサコの噂はすぐに広まり、子供たちは親にメガネを取り上げられてしまうのだった…。現実を受け入れられず、自問自答を繰り返すヤサコ。“いま、本当にここにあるものって何?”一方、イサコを助けるため都市伝説を調べ直していたオバちゃんが気づいた事実とは一体!?

25. 金沢市はざま交差点
イサコを助けるために、金沢に向かったヤサコ。都市伝説に出てくるはざま交差点の手がかりを求めて、元クラスメイトのマユミに会うのだった。アッチの空間に侵入するヤサコだったが、その行動を阻むかのように新型サッチー2.0が来襲、さらに猫目の魔手が迫る!胸の痛みを強く信じて、イサコを捜すヤサコの目の前に現れた光景とは一体!?

26. ヤサコとイサコ
遂に明らかになった4423の謎。ヤサコもまた隠された過去の記憶を呼び戻す。4423と出逢ったあの時、いったい何が起きたのか!?その記憶を辿りながら、次々と明らかになる謎の数々…。アッチとは何か?都市伝説の少女ミチコさんの正体とは?猫目の目的とは?そして、ヤサコはイサコを救出することができるのか!?すべてが終わったとき、二人が迎える結末とは…!?

投稿 : 2025/01/04
♥ : 6
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nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

眼鏡型ARデバイスってあり得ます?それとヤサコに感情移入できるのかがわかりません。

 今さらなんでこんな事書いているかと言えば、つまらないが少数意見なんですよね…更にいうと評価全般が眼鏡デバイスを肯定してるんですよね…本当かなあ…と。自動車のスピードメーターをガラスに表示するのが危険だといかいう実例もあるんですけどね…。

 つまり、この追記は私が本作をちゃんと見れてないのかなあ…という不安からなんですけどね。ただ、上の疑問はいろんな設定とか他のレビューとか見てもいわれてないんですよね。むしろ、未来のデバイスは眼鏡でARだ、みたいな感じのほめ方が多くて。時代を先取りしてる、みたいな。それ本当なんですかね?

 本作の評価って、①眼鏡型のデバイス②魂と電脳空間の関わり、がSF的に評価されて、あとはストーリーとして③デンスケ④イサコ、ヤサコ、兄の謎と伏線回収⑤ハラケンの過去とヤサコのラブストーリーが評価されているいる感じなんでしょうかね。設定として、電脳空間が歴史を積み上げているような雰囲気は良かったですけどね。

 私的には③と⑤が分からなくは無いですけど、肝心の①②が駄目な上に④がキャラも設定も伏線も全く納得できませんでした。つまり電脳をギミックにした学校の怪談かなあ…と

 以前ゴチャゴチャと面白くなかった理由を書いていますが、要するにイマーゴと電脳コイル…魂あるいは人格が、なぜARデバイスを通じて電脳空間に行ってしまい、人間の肉体や精神にまで影響するのか、というのが概念の説明をセリフでしているだけでした。

 いくら伏線とか説明があっても、そのメカニズム…SF的な裏付けが全く読み取れませんでした。そこがSFのFの部分でフィクションというなら、その前提条件って何か説明ありましたっけ?そういう現象があるとは言っていましたが…それがイマーゴなり電脳コイルというなら説明がトートロジーな気がします。

 それとやっぱり最後の方の話の展開が設定と裏事実をセリフで説明している気がしてなりません。キャラ設定というか性格造形が極端で不自然でした。特にヒューマンドラマの人物の造形や行動の中心となるヤサコの動きや来歴が不自然で、家族関係もかなり後付けでした。

 まあ、そもそもはじめの3話まで面白いんですけど、その後の話に飽きちゃうんですけどね。



以下 電脳メガネとAR設定に対する私の疑問です。まあ、物語のギミックとしての発想は面白いですけど、これが近未来の姿だと言われると…


 社会インフラとして眼鏡型デバイスというのが私は絶対にありえないと思っています。そもそもARが現実との境界があいまいで危険ですし、メンタル面でも相当危ういと思います。この面を強調して、電脳眼鏡を最後に否定してくれればよかったんですけどね。

 それと、まだ男たちが主人公ならわかるのですが、特に女の子たちが眼鏡デバイスを受け入れると思えまえせん。アメリカではマスクが嫌われているように、特に日本の女性においては眼鏡の拒否反応は想像以上に大きいと思います。そこに企業がマーケティングをしないで生活のプラットフォームレベルの投資をするとは思えません。

 この場合ソフトウエアだけでなく、カメラとマイクを日常生活に細かく設定していかないといけないし、壁や道路どころか生活用品のマッピングをして座標を設定するセンサーとサーバーが必要です。まあ、ドローンが当時は無かったので今なら多少補完できますけど、眼鏡否定派の大人もいて全員がそれがないと暮らせない状態には見えないんですよね。この辺りが「アクセルワールド」とかと比べるとお粗末なんですよね…

 つまり実現するだろうリアリティがまったくなく、結果としてSFとしてセンスオブワンダーを感じませんでした。それはARと社会インフラの関係も眼鏡デバイスを想像した後のもう1歩先の発想力がなかったと思います。2007年ならこういうのがリアリティがあったんですかね…スマホ前史だと…2022年なら、スマホでいいよね…が正直なところです。







以下、前回のレビューです。


評価高いようですが、ごめんなさい、あまり面白くなかったです。

 SFとして発想には関心しました。ですが、評価ポイントははっきり言えばそこしかありません。
 思っていたよりも不満が大きかったです。SFの大作ということで、見ないわけにはいかないと、何度か挑戦して、初見では4話切り、2回目は流し見で中盤で切り、3回でやっと話を追えました。

 不満点を書きます。初出が2007年で14年前ですがそれは考慮していません。もちろん私の誤解や理解不足があるかもしれまん。
 そもそもSFではなく、学校の怪談やトイレの花子さんのアップデート版というなら、それでもいいですが(実はこの可能性が高い気がしています。クリエータの作成意図は、ヒロインの年齢、作画、話の展開からいってジュブナイルではないでしょうか)、ならばSFの評価の話ではなく、私のテリトリーではない、という意味でつまらなかったです。

SF設定について
・これだけ大規模なAR(拡張現実)を実現させるには相当社会インフラとの連携が必要になると思います。にも拘わらず、メガネが必需品のように描かれていません。
・電脳ペットが覗き見して録画録音している場面がありました。これは、個室や廃墟、庭や空き地にまでオンラインのカメラやマイクがあるのでしょうか。電脳ペットはプログラムであってセンサーは持っていません。メガネ社会の設定の肝になる部分です。この話のAR設定全般にいえますが、ここで手を抜いてはいけません。(アクセルワールドの設定はここが緻密でした)
・電話のゼスチャー、恥ずかしくてできません。
・電脳コイルとかイマーゴって、この話の中核ですよね。うーん、ここが観念的で理屈が説明できてないですよね。イマーゴ持ち特有の症状でもなさそうですし。意識が分離することと、電脳体と現実体が分離する、ということを同一視していて、説明が正直わからなくてずっとモヤモヤしてます。
・メタタグやメタバグを組み合わせてプログラムを構成しているようですが、普通メタバグやメタタグを解析して、プログラミングする方法を考えますよね。
・今、日本の大学生の近眼者のコンタクト率は6割だそうです。特に女性を考えた場合、生活インフラのデバイスとして眼鏡を使うでしょうか。企業が眼鏡型デバイスを発明するでしょうか。結構疲れますよね。まあ、完全フレームレスな眼鏡をこめかみで支えているようなモノもありましたが…。
・交通信号をメタタグで変えられる交通インフラのセキュリティって何なんでしょうか。よくそれで、事故はあり得ないとか言えますよね。
・サッチーです。物価の水準はわかりませんが、行政のプログラムが違法性の程度を問わず4万円の損失をあれだけ頻繁に小学生に与えて、問題にならないでしょうか。
・郵政省は国の行政機関ですよね。地方公共団体の管轄で郵政省管轄?うーん、未来の話だから?まあ、セイフティーゾーンを作るためのアイデアなのでしょうが。

ストーリーについて
・大人も子供もなんといいますか、知能指数低すぎでしょう。判断基準が近視眼過ぎます。人信じすぎです。何回同じ人に騙されるんですか。
・コミュニケーション不足で事件が複雑になりすぎ。もっと人の話を聞きましょう。イライラします。
{netabare}・ヤサコの性格は、まあ、最後のほうでクズなことが金沢で明かされましたが、人の話に首突っ込みすぎ、行動力も知力もないのに。いじめられたと思って、引っ越してきたんでしょ?その割には直情的で発言も考え無しでした。
 それと性格とか行動原理がイマイチ理解できず、感情移入できずらかったです。甘酸っぱい初恋はいいんですけど…。
・魚とかヒゲとかクビナガとか、うーん。あそこ、連続していたので、乗り切るのが辛かったです。
・父さん母さんの復讐って…あれ?ちょっと因縁話が錯綜しすぎて、何が言いたいかわかりません。
・このレベルで事件事故が起きているのに、動いている人間が低年齢すぎます。行政や企業の介入が少なすぎます。ミチコさんが問題だとわかっているなら、企業が何とかするでしょう。数年も都市伝説でほっときますかね。JKじゃなくて。まあ、最終回にいろいろ言ってますけど…。
・最後になって実は父さんは…は、うーん。
・メガネを捨てよ=スマホ・テレビ等のデバイスを捨てよ、とならなかったのはなぜ?{/netabare}

 有名な作品で、かなり評価が高いのはわかっていますが、どうしても私には駄目でした。リアルタイムでみていたら、4話切りしてそのままだと思います。
 やっぱりNHKですもんね、作成意図は小~中学生向けにチューニングしている気がします。だとするとSFとして見るからつまらなく感じるだけで、見方を変えると面白いのかもしれません。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 6
ネタバレ

カミタマン さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

12話は語り継がれるべき名作

2021/09/12 投稿 10話まで視聴
2021/09/13 加筆 15話 〃
2021/09/14 加筆 17話 〃
2021/09/18 加筆 20話 〃
2021/09/20 加筆 最終話(26話)まで視聴済み
2021/10/03 加筆 ふと気がついて調べたこと
2021/10/11 タイトル変更
2021/10/18 加筆

評価が高いようなので見始めました。
安定のNHKだし。NHKアニメに外れってありましたっけ?

でも・・・
設定がさっぱり理解できない・・・

とりあえず10話まで見ました。
ストーリーも小学生の学級内の対立を延々と見せられてもなぁ~・・・
10話だけはちょっと甘酸っぱい感じで悪くは無かったかも。

後半いいらしいけど・・・

くじけそうです・・・

評価の表示は★3つになってると思いますが,保留です。
正直いって10話までのところ,★二つがいいところかな?




2021/09/13 加筆部分 (15話まで視聴)
15話まで来ました。
11話から良くなってきたではありませんか!w
11話12話13話の{netabare}イリーガル{/netabare}三部作(勝手に命名)はかなり面白かったです。
特に12話の「ダイチ、発毛ス」は神回です!ここまで頑張ってきたご褒美ですねw






2021/09/14 加筆部分 (17話まで視聴)
うわっ!ハラケンの{netabare}乳首{/netabare}まで描いてある!
いいのか?Eテレ?

実際有る物が見えなくなったりするメガネを四六時中かけて生活する設定は,やはりナゾ・・・

「あっちの世界」の存在がにおわせられる(前にもあったけど・・・)
そういえば,見始め当初全体的に色が薄く感じたっけ
夕焼けのセピアカラーのシーンも結構多い
色の薄さって世界の設定に関係あるかも
実際の世界と仮想世界的な感じとか(あくまでも途中での感じなので・・・自爆しても優しく見守ってw)

17話の図書館の外でのヤサコとハラケンの会話は,なんか日本語って難しいってつくづく感じました。いろいろ,意図した意味じゃ内容に聞こえたりしました。





2021/09/18 加筆部分 (20話まで視聴)
11・12・13話は面白かったのですが,依然として視聴ペースは上がりません。気がつくとウトウトしていたり,先が気になる!ってならないなどの理由で・・・

18~20話に直接関係ないことも含めて,見ていて気がついたことや疑問に思ったこと,考えたことなどを

訂正 ハラケイではなくハラケンでした^^;(ここまでの表記は訂正しました)
平民宰相といわれた原敬(はらたかし)の愛称(?)に引っ張られ,脳内変換されていた模様wいや,分かった上でも,ハラケイに聞こえる時も多いような気がする・・・


年齢設定について

おばちゃん
確か登場回で女子高生と言っていました。
本当に女子高生なのか?公務員なのでは?と思い見ているうちに一人で合点がいきました!「登場回のはあくまで自称で,さば読んだんだと!」しかしJKシーンが登場w本当にJKのようです。ナゾは振り出しに戻りました。

イサコ
小学校6年生設定
どう考えても変でしょうw中の人は中二病の成人男性にしか思えません(笑)

と,ここまで考えて,ある考えが頭をよぎります。
作中の登場人物は,アバター的な物では?中の人は別に存在するのでは?
そう考えると,「うんち~」しかじゃべらないキョウコもあくまで設定として納得出来るかも。

{netabare}
20話より

電脳コイル=幽体離脱?
電脳体=魂的な物?
電脳体と体は見た目はすっかり同じに描かれているので,「中の人説」(上記)は有り得ないか・・・

ヤサコの人物像
「全員家の中から動かないで」とおばちゃんに言われても,家の外に出る。
おなじくおばちゃんから「私のそばを離れないで」と言われた直後にどこかに行ってしまう。
ああ!キョウコのお姉ちゃんなんだな!!って実感w{/netabare}

物語は終盤にさしかかっていると思うけど
メガネや世界の正体はさっぱり分からないw
分からなすぎてあんまり気にならない。
もうちょっと,気になるような展開にできなかったんだろうか。
最後に,ガラッと印象が変わることを期待しているけど,大丈夫か?ちょっと心配^^;



2021/09/20 加筆部分
最後まで見終わりました。

{netabare}
なんやかんやでよく分からないいろんな出来事の黒幕はメガマス社っぽいです・・・
まさかの敵の幹部はお父さん??
これは,意外な展開でなかなか見物かも?

なんて期待も途中頭をよぎったのですが・・・

見当外れでした(笑)

全体的に淡い色設定の作品世界やキャラクターの設定年齢と言動の乖離などから
作中の世界が実は仮想世界で,向こう側が現実世界という予想も大外れ(笑)

電脳体と魂も別物みたいです。「あっちに電脳体と魂を持って行かれた」的な表現がありました。

いろんな推測は全て外れて,盛大に自爆しましたf(^^;
結局作品世界について自分はさっぱり理解できていないということがはっきりしましたw途中何度も寝てしまったし・・・f^^;

最終話で出てきたコイン探偵局会員番号1番はなかなか頼りになる感じでした。また,彼によって事態は,メガマス社内部の一勢力による暴走であったことなどが語られます。その点については納得です。{/netabare}

最終的に物語は,じんわりくる感じで幕を閉じます。ヤサコとイサコの物語としての終わり方としては悪くは無いと思います。

その割には前半どうでもいいことに時間を割きすぎと感じました。

くどいので折りたたみます
{netabare}
そして,物語の世界設定の核心となるメガネについて,メガネとはどんな物なのか,全く説明がされずに終わってしまいました。
国や市に担当部署がある設定が語られているので,作品世界の中では重要な社会資本になっていると思われます。ハラケンが通院していた病院の医師は良くないと分かっていても自分も四六時中メガネを手放さないと言っていました。医師が仕事中に装着することを許されて,(診察時には目には装着せず,頭部にかけていました。)しかも,自分ではそれを良くないと思っている。一方で,子供達は親から,「いつまでもメガネ遊びになんか夢中になってないで。」といった,まるで昔のファミコン的な扱いをされていたりしますw
他に作中では「強制物理フォーマット(でしたっけ?)を実行するので,メガネの電源を切るか,家に居るかして下さい」といった呼びかけが,行政(大黒市の場合半民半官という設定ですが)から大黒市の市民に呼びかけられる場面もありました。{/netabare}

なんか,核心のメガネを中心とした世界設定がさっぱり分からず,むしろちゃんと設定されていない可能性が大きい印象・・・ずっとそこが気になったまま放置されていたような全26話でした。

せめて,前半の学級内でごちゃごちゃやってた尺を使い,メガネが何かを明確に提示できていたら後半もっと引き込まれたかも知れません。

率直な自分の感想としては11・12・13話が面白く,特に12話がピークと感じました。

あと各話冒頭のヤサコの一言は結構好きです!

もう一つ
ゴーグル型のメガネですが,鼻がちび太や花沢さんのように見えて,シリアスなシーンでは違和感がありましたw




2021/10/03 加筆部分

割と「電脳コイル」に厳しい評価の自分なのですが,12話「ダイチ、発毛ス」は日本アニメ史上語り継がれるべき神回と思っています。

ところで,この話既視感があるような気がして,気になっていたのですが,その理由にやっと思い当たりました。「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」でした。最終話でアンダーワールドに行くと中世ヨーロッパ風だったアンダーワールドは宇宙に進出するまで科学技術が進歩していました。ヒゲと一緒ですwもちろん「電脳コイル」の方がかなり早いです。

でも,この話他もどかこでみたことがあるような?記憶は定かではありませんが「ドラえもん」にも似たような話が有ったような記憶がおぼろげにあります。おそらく,有名な大元があるような気がして調べてみました。

エドモンド・ハミルトンの「フェッセンデンの宇宙」という小説が大元のようです。そういえばエドモンド・ハミルトンって往年のNHKアニメ「キャプテン・フューチャー」の原作者だった気がします。

「キャプテン・フューチャー」について調べると第24話「未知のミクロ宇宙~驚くべき小宇宙のなぞ~」とウィキペディア日本語版に記述が!

ちょっとスッキリ(^0^)/
そして、キャプテン・フューチャー見たくなって、またモヤモヤ(笑)



2021/10/18 加筆部分
12話の元ネタの一つとして挙げたドラえもんって「ドラえもん のび太の創世日記(アニメ映画)」でした。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 16

64.4 9 サイバーパンクアニメランキング9位
ノー・ガンズ・ライフ(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (144)
550人が棚に入れました
ベリューレン社により戦時中開発された新技術「身体機能拡張技術」。その技術により身体の一部、もしくは全部を機械化された者は、拡張者(エクステンド)と呼ばれていた。拡張者と生身の人間の非拡張者が混在する社会では常にいざこざが絶えず、それらの問題を解決する「処理屋」を、乾十三(いぬいじゅうぞう)は生業としていた。そして、十三自身も、頭部が巨大な銃の「拡張者」だった。ある日、十三は、全身拡張者の大男から一人の少年の保護を依頼される。その少年の名は荒吐鉄朗(あらはばきてつろう)。ベリューレン社から誘拐された少年だった。だが、十三は依頼を受けたもののベリューレン社からの追手に、鉄朗を奪われてしまう。十三はなりゆきで街を牛耳るベリューレン社と事を構えることになるのだが…鉄朗を誘拐した全身拡張者の男は何者なのか? ベリューレン社と鉄朗の関係は?

声優・キャラクター
諏訪部順一、山下大輝、沼倉愛美、日笠陽子、内田夕夜、興津和幸、櫻井孝宏、堀内賢雄、水瀬いのり、三瓶由布子、上田燿司、江原正士、高野麻里佳

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

再び「弾丸(願い)」は込められた

この作品の原作は未読です。
最初は何となく見始めましたが、途中から日笠さんやいのりんの登場も相まって完走した作品です。


ベリューレン社により戦時中開発された新技術「身体機能拡張技術」。
その技術により身体の一部、もしくは全部を機械化された者は、拡張者(エクステンド)と呼ばれていた。

拡張者と生身の人間の非拡張者が混在する社会では常にいざこざが絶えず、それらの問題を解決する「処理屋」を、
乾十三(いぬいじゅうぞう)は生業としていた。

そして、十三自身も、頭部が巨大な銃の「拡張者」だった。

ある日、十三は、全身拡張者の大男から一人の少年の保護を依頼される。
その少年の名は荒吐鉄朗(あらはばきてつろう)。ベリューレン社から誘拐された少年だった。
だが、十三は依頼を受けたもののベリューレン社からの追手に、鉄朗を奪われてしまう。
十三はなりゆきで街を牛耳るベリューレン社と事を構えることになるのだが…

鉄朗を誘拐した全身拡張者の男は何者なのか? 
ベリューレン社と鉄朗の関係は?

「ウルトラジャンプ」にて大好評連載中のSFハードボイルド
ここに開幕!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

この作品の視聴が何と書くから始まったので、公式HPを見たのは完走後でした。
そこで、相当安心させて貰いました。

何故なら、この作品の終わり方が中途半端だったからです。
例えば、いのりんはキーパーソン役で登場しました。
ですが、出番はほんの少しで最終回では触れられもしないんです。
ここで終わってしまったら投げっ放しにも程があるんじゃ…と思っていたんです。

ですが、公式HPのTOPページには2期が2020年4月から放送されると記載されていました。
確かに入りは何となくでしたが、回を追うごとに面白くなってきましたから…
これでいのりんの物語もしっかり回収されると思うと嬉しい限りです。
それにメアリーの願いも叶えてあげたいですしね。

気になったのは喫煙シーンが多かったことでしょうか。
十三さん、暇さえあれば煙草吸っていましたから…
本業で殉職するより、肺がんで亡くなるリスクの方が高いんじゃないかと思ってしまいましたよ。

それと十三さんってどうやって栄養を摂取しているんでしょう。
あの口みたいなのって開くんでしたっけ?

キャラデザには少し癖がありますが、見ているうちに慣れるので気になるほどではありません。
作画もしっかり動いていたのではないでしょうか。
物語は正直まだ良く分からないですが、個人的には物語の中における「拡張者」の認識がもう少し改善されることを望みたいです。
「拡張者」って、全てが悪人じゃありません。
中には生きるために選択した人もいるんだそうです。
それを十把一絡げに括ってしまうのは、流石にどうかと思いますので。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、浅井健一さんの「MOTOR CITY」
エンディングテーマは、DATSさんの「Game Over」

1クール全12話の物語でした。
ここまではしっかり堪能させて頂きましたが、更に面白くなるのはきっとこれからでしょう。
4月からの放送を首を長くして待っていたいと思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

男の価値は、顔じゃない(笑)

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
SF、ハードボイルド、バトル。

身体の一部を機械化し、機能拡張した人間「拡張者(エクステンド)」と生身の人間が共存する社会を描きます。

まあ、とにかく終始、「シブ格好良い」です。男が好きなアニメって感じ。オススメできます。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
世界観としては、わりとありがちというか、「攻殻機動隊」の一歩手前というか(笑)

なんだろう? 魅せ方が上手いのかな?

エンタメ作品として、純粋に面白かったです。

まず、十三が格好良いし、たまにディフォルメされると可愛いしw 魅力的なキャラクターだな~と。あの顔でモテるのも、納得(笑)

脇を固めるキャラクターも魅力的。トラブルメーカーながら、成長を見せる鉄朗。微妙で絶妙な色気というか、大人と子供の中間的な魅力があるメアリー。あの「針」を使う人も、渋くて格好良いのに、愛車を傷つけられるとキレるところが可愛い(笑)

色々と深みがある設定とシリアス展開なわりに、良い意味で「記憶に残らない」。

私の好きな作家の言葉に、「良い読書には2種類ある。自分を忘れる読書と自分を発見する読書だ」というものがあるが、このアニメは完全に前者。ただただ、楽しんだ。

2期、確実に観ます。なんとなく、2期でちゃんと完結できる作品な気がします(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
わりとハードボイルド。ほどよいコメディもあって、好きな雰囲気。

2話目 ☆4


3話目 ☆4


4話目 ☆4
感想消えてるけど、楽しめてます(笑) そんなに大それたことしたん?

5話目 ☆4
床屋でとか、渋いな。全方位にモテモテだな(笑)

6話目 ☆4
やり取りがいちいち良いな。車をめっちゃ大事にしてるのが可愛い(笑)

7話目 ☆4
利用、裏切り、信頼。ハードボイルドとエンターテイメントを上手く融合しているね。

8話目 ☆4
暴走状態、格好良いな。キスで照れるの可愛い(笑) いよいよ、OPの奴が出てきたね。

9話目 ☆4
十三、可愛いな(笑) No.13ってことなんだね。ラストの1体だったのかな? やりたいことは、必ず明日が来ると信じてる奴しかもてない。確かに。

10話目 ☆4


11話目 ☆4
敵が強いのは良いが、収集つくか?

12話目 ☆4
ギャグベースの単発エピソード。そして十三はまたモテる(笑)
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 19

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

今時はやらなそうな、サイバーパンクなテイスト。(← 私は好きですけど)

== [下記は第2話まで視聴時のレビュー: 以下、追記あり。] ==
第2話まで視聴済みの時点で、このレビューを書いています。原作はウルトラジャンプに掲載の漫画らしいですが、未読です。

作中では「拡張者(エクステンド)」と呼ばれる人体改造技術が出てきますが、まあわかりやすくいえばいわゆるサイボーグ的な物です。

大きな戦争があり、兵士として高性能な「拡張者」である「過剰拡張者(オーバー・エクステンド)」が求められたけど終戦後には単なる厄介者的に扱われている感じですね。

「過剰拡張者」レベルになると、もう外見的に普通の人間ではありません。そういった者も含む拡張者によるトラブルを解決する「処理屋」という職業があって、頭がリボルバー拳銃みたいになっている乾十三(いぬい じゅうぞう)はその「処理屋」をやっています。

「拡張者」技術開発大手企業であるベリューレン社に関係する十三への依頼とそれに関連したトラブルが発生して、とりあえず一段落するまでが第1~2話までの流れです。

ここまでの流れで、十三サイドの主要人物と目される荒吐鉄朗(あらと てつろう)とメアリー・シュタインベルグが出てきました。

哲朗は2話までで判明する能力、メアリーは「拡張者」のメンテナンス技師として以降のストーリーにも大きく関わってきそうです。

おまけ: ハードボイルドといえばタバコが付き物ということなのか、十三が「種ヶ島」という銘柄のタバコを好むという設定があるようです。「拡張者」にとっては「単なるタバコ」というわけでもなさそうなことがある人物との会話で匂わされていますが、はてさて…?
== [第2話まで視聴時のレビュー、ここまで。] ==

2020.1.6追記:
最終話まで視聴終了していますが、どうやら続編が予定されたいわゆる「分割2クール」らしいです。

現在の我々の歴史と作中世界の繋がりのわからなさ具合が、ある意味とても「サイバーパンク」っぽかったですね。身体拡張(エクステンド)技術に関してベリューレン社がとても深い闇を抱えているっぽいですが、いろいろと部分的に明かされる部分はあっても核心はまだ見えてこない感じです。

ですが、ここまで面白かったので続編があればきっと視聴することでしょう。ただ、今時あまりウケない作風だなあとは思います…。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 24

53.0 10 サイバーパンクアニメランキング10位
EX-ARM エクスアーム(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★☆☆ 2.3 (126)
331人が棚に入れました
2014年、機械嫌いの高校生・夏目アキラは自分を変えたいと思い一歩を踏み出す。が、突如とトラックにひかれてしまう──。そして2030年。東京港湾部、未知の兵器「EX-ARM」取引現場に潜入した警察・上園美波とアンドロイド・アルマのコンビを、「EX-ARM」No.08を装備した敵が襲う。彼女たちは起死回生を賭け、敵から奪った「EX-ARM」No.00を起動させるが……!?

声優・キャラクター
斉藤壮馬、小松未可子、鬼頭明里、浪川大輔、上坂すみれ、石川由依、八代拓、左座翔丸、小林ゆう、富田美憂、新井里美、遊佐浩二
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

みんな目が死んでる~

3話までの感想{netabare}
原作未読、前情報一切ナシ。
視聴した瞬間の第一印象は「お?忍者コレクションCG導入したんだ」。
うん、まぁ作画っていうか映像クオリティは酷い。
思い切ってフルCGなら“RWBY”みたいに「この世界はこういうもの」と、抵抗あるかどうかは別として没入できそうなところを中途半端に挟まれる手描きアニメがそれを阻止する、素に返る。
ってか手描き部分が標準レベルのアニメで、そこはCGに合わせて死んだ表情にすれば多少は違ったんじゃないかなー?
まぁRWBYに比べたらアクションもガッタガタでとても見てられない部分もあるんだけど…2話のヘリなんてもうなんだよと、劇場版ゴルゴ13かよと。

けど、あくまで個人的にはだけど、“ジビエート”よりは随分マシ。
ちゃんとした原作のあるなしの違いなのかな?ストーリーや台詞の掛け合いは普通に出来ている。
ジビエートなんて内容スカスカで30分もたないから会話の途中に妙な間が空いたり、カーナビやカレー等のお寒い尺稼ぎしたり、アップ多用で位置関係が謎だったりしたもんだけど、こっちではそういうことは…無い、多分。
先述の2話のヘリも、作画スタッフのアレ加減を見て急遽差し替えたような感じで、コンテ段階まではマトモだったんじゃないかな?と予感させる。
どのシーンを切り取るか、どのシーンに何秒取るか、そういった辺りは普通に出来てて、それに作画が追いついてないだけな気がする。
その…酷いこと言っちゃえば、画面見なければ楽しめるかも?
ジビエは画面見なくても不愉快だったからね、この差はデカいんじゃないかなー?(物凄い底辺の争いではあるけど)

一番残念なのは、アルマって“ビートレス”のレイシアや“プラメモ”のアイラみたいな役所ちゃうん?
もっと突っ込んで言えば“楽園追放”のアンジェラ的な、「なんでそういうキャラってレオタードなの?」「いいんだよ!好きなんだから!!」と押し通す熱意が画面からは微塵も感じない。
…って、これ中国スタッフが大きく係わってんの?意図的に扇情的な描写を避けてる?キスシーンが全然嬉しくないのもそれ??ま、まさかね…。


んでストーリー。
死んで目が覚めたら異世界に転生ではなく、脳だけになって未来に飛ばされてました。
エクスアームっていう異能を巡って犯罪が横行してるらしい。
んで主人公はハルモニエ使いで“ビッグオーダー”みたいな夢をちょいちょい見てるんだってさ。

ワザと投げやりな書き方したけど、実は結構好きな設定だったりw
3話なんてメイドロボがギュケスに乗って襲ってきたのでブリアレオスを駆って対抗だー!ってところでのヒキで、抑えるところはチキンと抑えてる…と思うんだよなぁ。
予想としては事故死した弟を蘇生させようと研究してたらエクスアームってのが開発できちゃって、封印してる間にアンドロイドの実用化まで技術が進んだ、とか?
果たして主人公は肉体を取り戻すことができるのでしょうかー、ってところが見所になると思うのだけど、果たしてアニメがそこまでやるかどうかは知らない。
ブリアレオスがメインボディで固定化しちゃったら面白さ半減するかも。{/netabare}

4話感想{netabare}
一度交わした約束を頑なに守るのが美徳とするなら、一度受けた指令を実行し続けるロボットはある意味人間なんかより尊い?
というテーマはありがちっちゃありがちだけど、やっぱり良いもんです。
今回のメイドロボがそれだったって話で、しかも元人間の主人公が暴走して人ならざるものになりかけたのを電脳世界?から連れ帰って来れたのが皮肉にもアンドロイドのアルマだったといのもエスプリが効いてる。
どこかで見た話とはいえ映像が他に類を見ないので独自性を感じる…ってのは好意的過ぎ?9割嫌味ッス。
いやホント映像は酷い。
そんなでも戦闘シーンにしっかり尺を取ってて、比較に上げるのは悪い気がするが戦闘シーンをカットするのをカッコいいと思ってそうだった“ノーガンズライフ”よりも好感が持てる。
ってか無理にでも戦闘シーンを入れるこのノリは…香港映画の流れ?なんかそれっぽさは感じる。
また、ただドッカンバッキンを続けるのではなく逆転送や衛星ズラしてGPSの座標を変える等、攻略の道を切り開く辺りも…これまた比較に上げるのはアレだけど、ほぼ1話戦闘に使っといて結局力押ししかしてない“蜘蛛ですが~”の4話よりも全然面白い。
やっぱコンテまではマシな作りなんじゃない?というか原作がよく出来てるのか??

で、上でも書いた様に原作未読なワケだけど、表紙を見てみた限りとっても士郎正宗wそれは構わない。
アップルシードのブリアレオスみたいなのはオーガって名前らしいが、いっそ開き直ってヘカトンケイレスで良かったんじゃ?とさえ思えるw
原作がマトモでお約束をしっかり守るのであれば…今度こそ多脚砲台を期待していいのかな?
やっぱクライマックスにデカブツは欲しいところで、映像はどうであれ話の方だけでもやって欲しいなぁ、と。

まぁその…原作者はスタジオ訴えていいんじゃね?{/netabare}

5話感想{netabare}
伝えたいことを文章だけで表すってのはホント難しい。
ってことで「文章だけ」は諦めて、「これ見てくれたら簡単に通じるかな」というのがあったのを思い出したので貼ってみる。
他にもっと参考になるモノが転がってそうな気もするけど、ここに貼っていいものかどうかワカランし、公式が上げてるヤツってことで──

モンストアニメができるまで-アーサー編-【モンストアニメTV】
https://www.youtube.com/watch?v=sIvCC8GtJow

全部手描き・CGと手描きの合成・フルCG作品とで工程違うし、現場や規模によってもまた違う(特にこういったのが公表されるのは劇場作品が多いと思うのだけど、劇場版はTVアニメへの参考としては…)のであくまで話のネタ程度に留めておいて欲しのだけど…。
エクスアームはここでいうレイアウトアニメーションを見させられてる気分。
ゲームの開発段階で「そこに村人が立ってる」って場所に、村人グラが完成してないので仮のオブジェクトを配置してる感じ(と言った方が通じるのかな?)。
当然「未完成品を見せるな」という主張は尤もだし否定はしないけど、「レイアウトアニメーションとしてはよくできてる」というのが個人的な感想。
何度も比較に上げてアレだけど“ジビエート”はコンテ撮の段階からおかしい、作画をどんなに頑張ってもどうにもならないクラス。
作画崩壊で有名な“いもいも”はコンテ撮まではマトモだったような気がする、指示がいい加減だったか上がった原画が指示通りじゃなかっただけのような?
同じく作画崩壊で有名な“はてなイリュージョン”はコンテ撮からおかしかった上に急遽差し替えが発生したかの様。
一方、作画は頑張ってるけどレイアウトがダメダメと感じる作品は枚挙に暇が無く…分かり易い例ではキャラがワープするとかカメラに映ってない間はフリーズしてそうとか。
──と、完成品の出来の良し悪しだけじゃなく、工程のどの段階からどうだったのかを想像するのもアニメの楽しみ方としてはアリでは?と思ったり思わなかったり。
まぁ事実は関係者しか分からないんだけどねー。

とはいうものの5話はちょっとフォローし切れんかも。
内容は悪くないのだけど、お色気シーンはやっぱ当局からストップがかかってるのかな?
アルマを轢きかけたトラックが画面外で処理というカメラアングルで、これはモデリングが間に合わなくて急遽変更した?(ロイヤルリムジン使えばいいのにw)
そしてなんといってもアクションシーン、もう、うん、もう…「画像は開発段階のものです」「お使いのテレビは正常に作動してます」と画面にテロップ出しておいて欲しい。
画面に映ってる絵がおかしいだけで間の取り方はマトモなのでMMDで作り直した方が完成度高いのが出来そう、誰かやってくれんか?モデリングからやり直しで。


それと…これは考えすぎだとは思ってるけど、それでもやっぱり言わずには居られない。
日本アニメの評判を落とすために中華が仕掛けてきたんじゃないか?
そこまでではないにしろ、原作潰しを狙ったんじゃないかと邪推したくなる、だってこれでちゃんとした“エクスアーム”のアニメ化は無くなったでしょ。
失礼なこと書くけど台無しにしても構わない程度の原作なんて他にもっとあるし、かといってスタジオ変えて作り直しするほどこの原作が超人気って訳でもなさそうだし。
指差して「クソだクソだ」と笑い飛ばして終わらせてしまうだけでいいのか?とちょ~~っと心のどこかに引っかかりを覚える。
更には“鬼滅”の大ヒットで、それまでアニメに係わったことのない企業が首突っ込んでくる可能性もあるワケで、なんともかんとも…。
考えすぎであって欲しいけどね。{/netabare}

総評{netabare}
アニメを作る工程の、どの段階でアレだとこうなってしまうのか。
それを探るには良い教材だったと思う。
要はコンテ撮?Vコン?そこまではしっかりと作られてた…ような気がする。
最終工程の「仕上げ」がキレイなだけでシナリオやコンテがヘンテコな作品よりは見れるんじゃないかなー?と。
言い方変えれば「画面は開発中のものです」として、完成品を想像しながら見る分にはそこまで変ではなかった。
…。
とはいえそれも中盤まで。
台本ではどう書かれてるか知らないけど「ハッ」だか「ウッ」だか、息を呑む・ハっとする時に出す声、これが中盤以降妙に増える。
場繋ぎのテクというか急場しのぎというか…作画が間に合わない影響がとうとうコンテ・台本にまで及んでしまった、そんな雰囲気が漂ってきてガックリ。

話ちょっとズレるけど、糞作画だった放送版を円盤で修正した例(最初から放送と円盤では違うってのとは別)っていくつか見たけど、基本直すのは作画だけでコンテ・レイアウトの段階から~ってのは私は知らない。
ましてや台本(セリフ)を修正ってのは無いんじゃないかな?私が知らないだけ?
で、大抵作画が糞な作品ってのはそれに合わせた「手間のかからないコンテ・レイアウト」になってるモンで、例えば──。
巨大な戦艦が登場してキャラクターが「なんて巨大な船なんだ」と呆気に取られるシーンがあったとして。
戦艦がどれだけ巨大か見せるシーン──町のビルと戦艦を同じ画面に入れて対比を見せるとか──を描く手間が無くて、ひたすら呆気に取られてるキャラの顔だけを映すことで誤魔化しました、と。
そこのキャラの顔が作画崩れてたってことで後で円盤で修正したところで「どれだけ戦艦が巨大か見せるシーン」が省かれたことには変わりが無かったり。

で、話を本作に戻すと、中盤以降は「想像上の完成品」も限度が知れた感じになってしまいました。
「ハッ」や「ウッ」の間の取り方だけでなく、ストーリーの方も…いやでもこれはどうなんだ?原作からこうなのか?
ユグとか登場しても一体何が出来るのかまだよく分かってない(キャラの掘り下げが浅い)状態で「もうよく知ってるでしょ?」って体で話が進んだり、アルマがプログラムを書き換えられて敵に寝返ってもそこまで思い入れが無いので「な、なんてこった」とは思えず「ふーん」としか感じなかったり。
一癖もふた癖もありそうだったオークション参加者(※)があっさり退場したり、イリヤ博士が目覚めた必要性や議事堂に突撃した課長の安否など、投げっ放しに感じるシーンもチラホラ。
話を複雑にしようとして複雑に出来なかった感。
なんか…週間連載漫画で「次回で打ち切り」ではなく「あと4回で打ち切り」ってなった時の畳み方を彷彿とさせる、この原作がどうかは知らないけど。
アニメは無理やり話を詰め込んだ?掘り下げが浅いというか必要なシーンがスッポ抜けてる気がする。

とはいえ、多脚砲台が出たりハッキング能力で〆たりとお約束はしっかり守ってて、エンタメとして軽く流して見る分には楽しめると思う。
少なくともノーガ…ノーガン…いや言うまい、あれよりは面白い、作画班入れ替えて欲しい、もしくはキャラがみんなニヤけてるから炎炎と…ゲフンゲフン。
但し軽く流して見るには作画がねぇ…「完成品を想像して」って集中力が要るワケで、ここで思い切り矛盾が発生w
いやぁ誰向けになるんだろう?



初登場時は手描きだったのにその後CGになるキャラが居て、「手描きのキャラはモデリングが間に合わなかった脇役だろう」という先入観を良い意味で裏切られました。
現場がゴタゴタしてたせいの偶然だろうけど、これは面白い副産物だったと思う。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

つまらない理由はCG(だけ)ではありません。元々の話が駄目です。

 アニメの研究としてあまりに酷評されるので本作を視聴しました。原作もチェックしました。

 脚本そのものは原作を端折って省略した感じですね。原作はエロシーン満載なので、まずその関係はバッサリいっています。また、肝心の犯人等を捕まえるためのプロセスに省略が多いので、原作が好きな人には不評になるかもしれません。
 ですが、私は原作そのものの出来がSFあるいは脳だけになった主人公の冒険譚としてはいかがなものかという出来でしたので、あんまり脚本に不満を抱きようがありませんでした。
 要はエピソードの一つ一つの作り込みがSFとして、あるいはストーリーとして原作の時点から甘いので、省略してくれたアニメ版もそう悪くはないかなあと。

 原作は要はエロイねーちゃんたちと、ドンパチやりながら最後はボスキャラと戦って…みたいな話でした。設定そのものもEXARMという「謎」と主人公の能力とかキャラ設定みたいのが全然しっくりこない感じで、ハッキング最強理論的なご都合主義に見えました。
 ですので、正直どっちもどっちという感じです。結局EXーARMという設定そのものが、まあ、未知の技術だったので、謎解きの深みがないです。


 CGですが、ひどいというのはわかります。プレステ2くらいの時代ならみんな喜んだかもね、という感じです。が、この物語の面白さがCGで台無しになったかといえば、先ほど申し上げたとおり、マンガ版も好みのストーリーではなかったので、そういう感じはありません。

 マンガ版の良いところは圧倒的な画力といいたいところですが、マンガ版の造形がCG的であまり堪能したいような個性を感じないので、そんなもんか、という感じです。

 絵柄に個性がないだけでなく、SF的な発想も画面からは感じられません。
 例えば黒い球体が出てきて街を飲み込む画って、どれだけ今まで描かれてきたでしょうか?脳だけ取り出してトランクに入っているって…あの多脚戦車的なものとか、どっから持って来たかは明らかです。ブラックジャックのシーンとか、機械を取り込んで大きな身体になるとか、ラストの宇宙空間で地球を見ながら終幕とか…まあ、オマージュと言っておきますが、出典をほぼ全部言えるような画面ばっかりです。
 つまり、原作の段階からオリジナリティが無いと言いますか、SFで大切なセンスオブワンダーを感じないと言うか、どこかで見た画、どこかで見た設定を組み合わせているだけでした。

 また人物もヌードばっかりですが、原作のヌードにはまったく色気がありません。ヌードのためのヌードで、100点満点で5点という感じです。その意味ではまだアニメCGのほうが100点満点で12点くらいの色気はあります。


「けものフレンズ」で分かると思いますが、CGが酷くても話が面白ければ面白いのです。それはアニメもマンガも一緒です。
 このアニメはSFとして流し見するにはそんなもんか、というレベルでは見られました。マンガ版を不当につまらなくしたのか、といえば、あまり違いを感じなかったという感想です。つまり、CGが酷いのではなく、話がもともと面白くないというのが本作の評価でしょうか。


 本作に関しては「CGひどい」という風評(とはいえ事実ですが)ありきで、批評されることが多いですが、つまらない原因はそこ(だけ)ではないと思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 2

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

超常兵器犯罪バトル

この作品の原作は未読です。
みかこしや、あかりんが出演されると知り視聴を決めた作品でしたが、あかりんの演じているキャラがエンドロールを見るまで分からなかったのが唯一の心残りでした…^^;


2014年、機械嫌いの高校生・夏目アキラは自分を変えたいと思い
一歩を踏み出す。が、トラックに轢かれる──。

そして2030年東京港湾部、未知の兵器『EX-ARM』取引現場に
潜入した警察・上園美波とアンドロイド・アルマのコンビを
『EX-ARM』No.08を装備した敵が襲う。彼女たちは起死回生を賭け、
敵から奪った『EX-ARM』No.00を起動させるが…!?


公式HPのあらすじを引用させて頂きました。

完走後にwikiをチラ見して知りましたが、原作の連載は既に完結しており、全14巻全98話で構成されているそうです。
今回はその中から12話分をチョイスしてアニメが制作されたようですが…
何と贅沢な原作の使い方をするんだろうと思いました。
最初と最後と間の幾つかの物語を抽出し、後は全部バッサリと切り捨てているのですから…

まぁ、私は原作を知らないのでアニメを見ていて違和感はありませんでしたが、原作者や原作のファンの方は複雑な心境だったのではないでしょうか。

確かに視聴していて違和感はありませんでしたが、唐突感はあったように思います。
物語の脈絡…というか物語同士の繋がりが希薄というか…

それに、伏線は完全に回収されていなかったと思います。
例えば、主人公の夏目アキラですが、彼は交通事故に遭ったところまでは理解できるのですが、その後、どうしてああなってしまったのでしょう。
公式サイトのキャラ紹介欄では「自身の失った記憶と身体を取り戻す」ため色々行動すると記載されていますが最終的にこの本来の目的には遠く及ばなかったのではないでしょうか。

一方で、バトルシーンは迫力があったと思います。
3DCGを駆使した、さながらマトリックスを彷彿させてくれるような感じ…
個人的な好みの分かれるところだと思いますが、私的には全然OKでした。

オープニングテーマは、AIRFLIPさんの「Rise Again」
エンディングテーマは、Dizzy Sunfistさんの「Diamonds Shine」

1クール全12話の物語でした。
もう少し尺を取ってそれぞれの物語を補完し合えば、もっと評価の変わる作品だったのではないでしょうか。
個人的には総じて楽しませて貰いましたが、強いて言うなら物語の構成が少々残念だったように思います。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 9

68.5 11 サイバーパンクアニメランキング11位
SAMURAI7_サムライセブン(TVアニメ動画)

2004年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (332)
1962人が棚に入れました
人類は数々の大戦を経て、機械化文明と農耕文明が入り混じった混沌とした時代にあった。大戦が終了してしばらく後の事、コメの刈り取りの時期に現れては村を襲い、コメを略奪する野伏せり(のぶせり)を撃退すべく、神無(かんな)村は密かにサムライを雇う事を計画する。村の水分り(みくまり)の巫女であるキララは自ら願い出てサムライを探しに、都の虹雅渓(こうがきょう)へ出る。

高田屋 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

誰かが死ぬ、生きるために

機械と農業が混じった不思議な世界。長く続いた戦争でサムライ達はその身を機械に窶してまで戦い続けた。時代は移ろい商人の時代。野伏せりへと身を落としたサムライ達は生きるために村々を襲い、農民は生きるため侍を雇って野伏せりを追い払うことを決意する・・・
黒澤明監督の七人の侍が原作、原作視聴済みですが世界観を変えながら、かなり原作に沿った作りになっています。

※カッコ内は原作名。
文武両道のリーダー各、島田カンベエ(勘兵衛)
伊達男の槍使いシチロージ(七郎次)
双剣の達人キュウゾウ(久蔵)
サムライの心をもつ機械の元農民、キクチヨ(菊千代)
総髪の迷える若者、岡本カツシロウ(勝四郎)
機械のエキスパート林田ヘイハチ(平八)
大道芸に身をやつした片山ゴロベエ(五郎兵衛)

戦場で死ぬこと、主君のために死ぬこと。己の道を全うすること。生きること・・・
それぞれの7人のサムライの生き様、逝き様をその目に焼き付けてください。

「誰が先に死ぬか、それだけのことだ。生きてもらうぞもう少しだけな」
総毛立つとはこのことだ!!

天主(あまぬし)と農民、侍と機械。善悪のはっきりと分かれた勧善懲悪の世界感、日本人の米への憧れ、農耕文化。武士道。色んなものが詰まっていて本気でテンションがあがります。機械とサムライの世界で消え行く心が粋すぎる。ただし26話は少し長すぎる気も、原作+αの部分や戦いが始まるまではややだらける部分もありますが、それを補って余りあるスタイリッシュな殺陣は必見です。
七人の侍公開から50周年を記念して作られた本作。原作の映画界へ与えた衝撃を考えるとどれだけの重圧でしょうか。その分本作への意気込みを感じられます。

視聴した方にはぜひ聞いてみたい、貴方はどの逝き様に惚れますか?


***以下雑談


・・
・・・はい、そろそろ我慢できないので暴走します。
かっこええええええと叫び声あげたくなりますwww
単純に男として憧れる、切った張ったの大立ち回り。テンション上がらない筈が無い。逆に女性や海外の方はこの作品を見てどのような感想を持つのでしょうか。
原作は海外で絶大な人気と知名度を誇る作品。スピルバーグやジョージ・ルーカスさえ原作の影響を受けているといわれています。少なくともクールジャパンのイメージを広げてくれる、世界に誇る日本の文化として世界に発信できる作品ではないでしょうか。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 18
ネタバレ

セレナーデ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

アレンジ作品としての分別をキチンとわきまえた

かの名作をアニメ化したドサクサにアレンジもしてみましたよ。ということで、原作で食い足りなかった部分を何気に補ったりしてくれたのは、うれしいですね。原作では数人の侍の掘り下げがいまいちで、ちと歯ごたえに寂しいところがありましたが、こちらは2クール放映という尺に物言わせてしっかり熟成、バックボーンや性格の添加によりそれぞれのキャラに格差なく輝きを与えております。特に七郎次は{netabare}最後まで生き残ってた分{/netabare}、掘り下げが甘く影が薄くなっていましたが、本作ではなかなか隅に置けないヤツになってますね。おまけにどこか課長のような哀愁を漂わせていた風貌もどこへやら、見た目も中身もすっかり色男に。

もひとつうれしかったのは、戦に身を投じる侍たちの動機をいじらなかったこと。野伏せりの背景に権謀術数を絡ませて物語のスケールアップ化を図ってるんですが、そのスケールアップに引っ張られず、侍たちは「一村を救う」という目的をブレずに貫いて行動させています。変に「世界を救う」などと動機を肥大化させないことで、別作品と化す危険性や、卑小な一村に命を懸ける侍たちの崇高さや尊さを失う失態をしっかり避けれてるんですね。

あれやこれやのエピソードの追加で大胆に肉付けしたり、それこそキャラクターや世界観に冒険的な加工を施したりはしているものの、核となるプロットやキャラクターの基本的な行動原理は原作に忠実であろうという意思はしっかり感じられて、アレンジ作品としての分別をキチンとわきまえたシナリオコントロールとして大変よろしいものではないかと思います。

作画も悪くないですね。安定はしませんが、力の入ったときなんかは、切れのあるアクションやスピード感のある剣さばきを披露してます。肉体の機械化が浸透してる世界観を活かして、できるだけ血を描かずに済ませてるのはNHKらしい配慮です。

ただまあ、ネチっこい話をすると、勘兵衛らの活躍が世間から認知・評価されるというシナリオは、さっきの崇高さや尊さを削ってたような気がしないでもないですけどね。名声名誉に縁のない戦いだからこそ、エンディングで虚しさを秘めた余韻を呼ぶわけですから。まあ、さして後味に影響はなかったけども。

『SAMURAI7』、アレンジ作品としてオリジナルの名に恥じぬ、手堅く仕上がった良作でございました。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 4
ネタバレ

こめった さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

米が喰いたぁ〜い!!!

物語の内訳(平均計算:.2や.7までは切りさげ、.3~や.8~は切り上げ)
ストーリー:3.5/構成:3.0/世界観:4.0/キャラ:3.0/テーマ性:3.5
平均3.4、よって物語3.5

本作は黒澤明監督作品『7人の侍』の放映50周年を記念して作られた当該作品のオマージュである。『7人の侍』は冷戦期の構図である白黒方式で、勧善懲悪を是とする非常にシンプルなストーリーラインで究極なエンターテイメント作品とも言える作品である。そして、本作『SAMURAI 7』は基本的には勧善懲悪を踏襲しつつも、ソ連崩壊後の構図である相対化方式(アニメではガンダム以降、このような作品が増えた)も盛り込み(商人の存在など)、より現代的なテイストに仕上がっている。

念頭に置いている時代背景は、『7人の侍』では安土桃山時代だったのに対して、本作では元禄前後以降の江戸時代、刀ではなく算盤を重宝するようになった時代である。そのような時代のなかで、「武士道とは何か」という命題はとても映える。しかし、その中心となる(はずの)カツシロウの扱いは些か雑だったと思える。ただ「侍」の美学に魅せられ、戦の本質を知っていく過程しか描かれない。武士道とは死ぬことだ、生きることだ、みたいなセリフはあるけれど、表層だけで武士道の本質を突く表現はなかったように思える。『7人の侍』もだが、そもそも本作品は「農民のため」という下へのベクトルが強く働く作品である。しかし、武士道を語るとき「主君のため」という上へのベクトルがあって然るべきだろう。時代を江戸期にしたことで、「侍とは」、「武士道とは」とより哲学チックな描き方ができたはずだが、『7人の侍』のオマージュであるが故にそれも中途半端になってしまった。

{netabare} 物語の展開は『7人の侍』を踏襲する前半部分(侍集め、戦準備、野伏せりとの戦)は楽しめた。しかし、アニメオリジナルの後半部分に入った途端、その勢いも急激に衰えてしまった。特に、天主(前天主及びウキョウ)の有能説(実際にはまったくそんなことはない)、侍の機械化(最終決戦では多勢の機械に小数に人間で挑むが、人間がそれだけ戦えたら、そもそも機械化する必要ある?)、キララの恋模様などは残念の一言。{/netabare}

本作を見る時間あったら、『7人の侍』や『荒野の7人』、『スターウォーズ』なんかを見た方がいいんじゃないだろうか。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 1

64.4 12 サイバーパンクアニメランキング12位
紅殻のパンドラ(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (362)
1844人が棚に入れました
先進国では、一部ではあるが、サイボーグや自律ロボットが一般に出回り始め──
戦争や災害をはじめ、世界はあらゆる災厄に覆われ、救いをもとめて人々がさまよっていた時代。
これはそんな時代に──全く関係なく、『彼女が、彼女に出会う物語』

声優・キャラクター
福沙奈恵、沼倉愛美、田中敦子、森田順平、松田颯水、村川梨衣
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

TEXHNOLYZEのカウンター作品 と言えなくも無い(汗)

 思うところ有ってテクノライズを再視聴してて、若干設定面では差異はあるしその視点と未来への展望は対極では有るものの肉体の置き換えという部分に関しては意外と近い作品だなと感慨深いものを感じたので点数見直します。
片や理想郷、片やディストピアの極みですが比較すると結構面白いですw
セナンクル島{netabare}(後のオリュンポス){/netabare}
と流9洲{netabare}(統括第九小地獄){/netabare}とか。
もっとも対比ならば流9洲じゃなくて地上かもですが・・・

島の通信障害による混乱と、流9洲のオベリスクの機能停止とか。

 全身義体(無機質サイボーグ)とシェイプスの表現の差に至っては、作り手のビジョンの違いが明確すよね。
士郎作品は最早人の姿に固執しなくなった時代のサイボーグに関してもブリアレオスや双角等とても愛嬌が有るデザインなのに、シェイプスなんて虫の腹みたいなのがぶら下がった骸骨すもんね。とても不快なグッドデザインだと思う。
(ジェイムスン型サイボーグの阪華精機社長とかも攻殻にゃ居ましたが、葉巻吸う姿がラブリーですしね)

んで福音と違って、ある意味スタンドアローンの極みとも言える櫟士w


 テクノライズは記憶の外部化・自我の境界云々に関しては物語には盛り込まれてないですが、紅殻は電脳化・義体化と言うテクノロジーに対して(戸惑いはありつつの)とても前向きで希望を感じさせる世界観が私は最高に心地良かったんですよね。その点では無二の作品なのは間違い無い。
そこは士郎正宗作品全般の事であって紅殻の特色ではないかもしれませんが、其処を示唆する表現は多分に盛り込まれていた作品であったにも関わらずほぼスルーされちゃってるっぽいのがこの作品の不幸と言うかw
{netabare}
 10歳で肉体を失った少女が元の肉体の動かし方を捨てて「しっぽをふるように」「はねをはばたかせるみたいに」全身義体に対応し、「はじめてものをみるみたいに」システム補助無しで情報の海にダイブしてゆくこの時代では常識を外れた驚異の適応者と言う側面。

「初めて歓迎してもらえたよ」「私は私を(両親以外から)もらったの」
最先端の技術で社会や周囲のおかげで"生かされている"現実と負い目。常にロボットと間違われる疎外感。

 そしてクラりんから問いかけられる"力の行使と持てる者の義務"
未来を作れってのは士郎正宗作品にはよく出てくる言葉ですし、攻殻新劇場版のラストでも引用されてた部分ですが、この作品にもきちんと盛り込まれている。
{/netabare}

 汲み取ろうと言う気さえあれば、哲学的とは言わないけど十分中身の有る作品だと思うんですけどねぇ。まぁこの手の意見は多勢に無勢なのは判ってるつもりですが。
パンドーラデバイスのアクセスのシーンがエロくて気に入らないという事ならば、ドラえもんの四次元ポケットにのび太が手を突っ込んでると置換えて見る事をお勧めします。

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以下、視聴時のレビューです
{netabare}
最終話視聴。
 アニメとしての総合的な質と言う点では、正直駄目な作品とは私も思ってます。お勧めもしません。
ですが個人的には今期一番楽しませてもらった作品でした。本放送中の期間に何度も繰り返し観返した作品は久しぶりですし、原作も何度も読み返しちゃいまして。正直見る気の無かったARISEの円盤買う切欠にもなりましたし。

 設定面も士郎正宗作品に馴染んでいないと"あぁ"とすら気付けない所も多々ある為、攻殻→アップルシードに連なる作品では無く単独の作品として見た場合は面白味の無い話と思われるのも止むを得ないかと。
"光学迷彩では無く熱光学迷彩"とか、クラりんのナイフ夜龍・灰虎の"MADE IN P.I.A"の刻印とか、普通はスルーしちゃうと思います。そもそもクルツの背後にポセイドンが居ると言う点ですら、士郎作品観てなければ「何ソレ?」で終わっちゃうでしょうし

 絵に関しても残念すね。低予算だったでしょうし、名和監督自身がCGを生かしたメカ物作品の経験が無くて色々と相談しながら作ってた旨を公言してますもんね。アクションのスピード感も欠けてるし、かんたんクラりんとは別にマンガ的記号に頼ったとこも多い。
そこは個人的には止むを得ないかなと割り切って観てましたが、それ以上に残念だったのはコメディとしての印象を左右する大事なシーンを再現しきれなかった点が多かった。代表的なのがフィアーの目前での変身シーンの"場違いな面白さ"をクルツの怒りと部下の赤面だけで済ませちゃった点とこですかね。
日常系等で女の子をかわいく見せる点では手練れだったであろう制作側の良改変も有りましたから、痛し痒しのトコは有ると思いますが。猫王子のトコは良かったですね。「耳に触っていいニョ」のトコは声優の沼倉さんが声変えたのもあってバカバカしくて良かったかと。

 原作とのラストの展開の差異の大きさは正直残念でしたが、制作時期的に原作無しの状態だった訳でその点を加味すれば無難に纏めたかなと思います。
距離を置いて見ればアニメとしてのクオリティも高くは無く、中盤の昔の魔法少女モノみたいな部分が無駄回に思えても仕方のない1クール内の構成の悪さから世間的に低評価も止む無しですね。やはりニッチ過ぎたと思います。
本来ここでの評価点を付けるとすれば低くすべき作品とは思いますが、個人的な思いで高い点付けちゃいます。


原作と比較しての不満点ですが

・福音の全身義体故の世間に対する引け目がさほど表現出来ていなかった。
原作もけしてその点に関しては表現は多くないですが、アニメでは誇張すべき要素だった気がします。全身義体の可能性の裏の側面として"高度なメンテが有ってこその体"という社会への感謝と恩返しが福音の社会への貢献と世界平和への願いの根の一つですので、表現が皆無では無いですがもっとアピールすべきだったかなと。

・クラりんの福音に対する認識
原作では事件の終息後に、福音との共同作業が自分の計算上は不可能な事を可能とした事に戸惑い「・・・ありが・・・とう・・・」とやっとデレるんですよね。アルゴリズムでは生まれ得ないノイズとしてゴーストの発生を匂わせている。
アニメのラストも悪くないですが、クラりんのアンドロイドとしての書き方がかなり人寄りかなと。福音も本来彼女たちには目の洗浄液でしかない"涙"を流して泣きますし。
多分、制作側の方々はあまり士郎正宗作品思い入れは無い気がします。
福音達を尾行してたゲルツェコマの光学迷彩を"熱光学迷彩"と言わせた件はweb上でも色々指摘されてましたし。私もアレは台詞のミスだと解釈しました。

・ロバートとの共闘と太鼓の達人・キノコとタケノコを描けなかった。
アニメの制作時期的には原作と併せる事が出来なかったのは止むを得ないんですけど、やはり原作では福音のチート能力の最大の見せ場でしたしロバートが事態収束の当事者の一人としてこそ前段の繋がりが生きたと思います。

福音「これだーーーーーって、私の何かが囁いたんですよーーーー!!」
クラりん・ロバート・クルツ:「お前は一体何を言ってるんだ・・・」

をアニメで見たかったんですよね。福音役の福さんもキャラにマッチしてましたし。
このアニメをコメディとして観るかSFとしてシリアス多めで見たいかは個人差有るかと思いますが、私は終始コメディで通して欲しかったです。


実は今期アニメに関しては、コレにご執心過ぎて他のアニメがかなり印象薄いです。私、かなり趣味が変かもですねw

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10話視聴
 正直、残2話だと原作通りにクルツとの決着迄を消化するのはかなり厳しいような。公式HPにもアニメのオリジナルの展開になる様な事書いて有りましたが・・・
OPから予想すれば目だけ書かれてたランドメイトとの戦闘は要れるでしょうし、当然クラりんへの電子戦闘支援も外さないでしょうから。
描かれていない福音のシステム補助無しでのシステムのハックを削るのだとしたら、一番攻殻らしいシーンだけにガッカリかも。11話のサブタイからすると外さないでしょうが(汗)
 個人的には原作終盤の展開が好きだったもんで、あのヒドいオチも含めて原作に忠実にやって欲しかった気はします。

それにしてもニッチなアニメすね、ホント。好みにカスリもしない層が多いのも止むを得ないというかw
私は今期手をつけたアニメでは、質は別の話として一番好きです。

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8話視聴
 今期の一番のお気に入りですので、何故かマメに書きたくなっちゃうと言うか。今期は他にいい作品いっぱいあるのにコレが一番好きな自分は変わり者だなとは思うんですけどね。恐らく円盤の売り上げも撃沈でしょうから、私は買う事にしましたw

 こういう各話の内容の書くのって個人的には好きじゃないんですが、ちと判り辛い回だった気もするので敢えて。流し見でなければ判る程度の事ですが、この作品の場合真剣に観て貰えてない可能性高そうですし(汗)

・火災の原因はクルツのハックで"くしゃみした"ブエル(大)の荷電粒子砲。
もしかすると敢えて火災とラストのシーンの関連の表現は次回に回したのかもしれませんが、人によっては紐付けできなくて訳ワカメにしか見えないような。
ブリ(ドカーン)のノース君の着ぐるみがなんで突然燃えだしたのも、原作ではこの時点でちゃんと火線が絵に描かれてるんですけど・・・・

・デパートの売り物だった耐火布をクートゥリエのスキルで袋にしてその袋に入って身を守り、周りが見えない袋の中から電動カートと携帯ゲーム機と自らの機能を利用して視覚情報では無く音響情報(エコー)を視覚化する事で移動。

・取り残された子供に、全身義体(サイボーグ)の福音は自らの体内残留分の酸素で人工呼吸。
福音は脳だけ生身ですので、本来必要な酸素は脳の維持分のみで済むため僅かの酸素しか必要でなく1話も含めこのような過酷な状況で1時間程活動が可能。
しかし、そのわずかな量を通常の人間に供給したため急激に残量が減った。
クラりんはアンドロイド(ロボット)なので酸素が無くても活動が可能の筈(1話は海底でタンク背負わず調査活動)
ただアニメでは酸素ボンベで吸引してましたね。原作ではクラりんは吸ってるシーンは無いんですが。多分ミステイクかなと。

・耐火布の袋に風船用のヘリウムガスを貯め、地上にダイブ。
そのまま地上に落下するにはロバートが言ったように速度が出過ぎだったが、議長のリムジンの屋根に着地した事で変形のエネルギーを利用して緩衝した。でも原作ではその前に建物の壁を蹴る事で減速もしてるんですよね。

 通常の人間では無理だがサイボーグである福音とアンドロイドのクラりんだから出来る事(可能性)とは何かがこの作品の総体のキモの一つであり、その意味でわざわざ他の"料理の鉄人""ジャグリング"等の「便利だね~」程度のスキルを前半でやって"人形遣い"とこのエピソードを話の山場のクルツとの対決の直前にこのエピソード持ってきたんだと思いますが。
 けど、流石に1話の短い尺で原作の絵の情報量を全て詰め込むのはこのエピソードに関しては苦しいかも(汗)
ブリ(ドカーン)の突撃インタビューや議長の抱えた"大きな問題"のシーン自体は話の本筋には無駄ですが、彼の政治家としての暗部の表現のシーンでもあるので削れなかったんでしょね。

 クラりんのロジカルで合理性を優先する思考と福音の人間的行動原理の話でもあった回でしたので、ラストのクラりんが自らの判断を誤りだったと認めるシーンを原作より長めにしたのは好印象でしたです。

 初期の原案でも阪神淡路の被災者である体験からか、基本的な緊急救命を盛り込んだ作品にしたいと言う思いは有った作品らしいので、ある意味本作らしい回ではあったのかもですね。
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7話まで視聴
 相変わらずアニメとしてのクオリティはアレだと思いますが、私的には今期のアニメで何度も繰り返し視聴してるのはコレだけでして(汗)
原作も読んじゃったので今後の展開も判っちゃってるんですけどね。
恐らく大半の方が何の面白味も感じないと切ってるんでしょうし、その気持ちも判りますホント。
この作品を脳内変換してでも楽しむ気持ちでいないと、アホらしくなると思います。今期だと小麦ちゃんRに近いかもしれませんねw
この後8話の火災の話以降は結構派手な展開なんですが・・・
もちっと金掛かった作りならばとも思わないでもないんですが。

 この作品のせいで久しぶりに士郎正宗熱が上がっちゃったもんで、14年発売のPIECESGem01買っちゃいまして。
本作に関しても言及されてまして、別にアニメのネタバレには当たらないと思いますが
やっぱりオリュンポスに関連してましたw
初期設定ではオリュンポス形成の初期実験の物語として設計されてたそうでして。もっともマンガの六道氏がそれを使うかは別な話なんでしょうけど。
7話の福音のお勉強のシーンでの講師のお話もよ~く聞くと、士郎正宗ファンなら「やっぱりそういう時期ね」と納得なんですよね。

webで見ましたが日常系が多い名和監督自身は自らこの手のSFは畑違いと思われてたとの事で、実際魔法少女モノ風にアレンジする事も視野に入れてたみたいですが・・・
にしては意外と士郎正宗の原案と言うものを大事にされてるんだなと感心したのと共に、であればこそ士郎正宗のマンガのテイストが感じられるんだなと納得しましたです。もちろんマンガの六道氏が有っての作品だと思いますが、"アニメの攻殻"という商売に染まってないカドカワと制作会社で作られた事の福音なのかもですね。

士郎正宗の読み物なんて攻殻2.0巻読んで以来なんですが、PIECESGem01読んでアニメの攻殻って色んな意味で色々有った作品なの知って「あぁなるほどね」って感じでして。正直、押井版も含めアニメとしての出来は別として"コレ、士郎正宗じゃねぇよね"と言う違和感感じてたのは私だけでは無い筈。
 紅殻のパンドラと言う作品が変化球なのは間違い無いですが、こういう形でもテイストを継承した作品が出てきてくれた事が嬉しく思います。

もっとも、今でも士郎正宗って名だけでときめくなんてのは古い世代だけなのかもですが(汗)
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意外と原作に書かれて無い部分足してたりするんですね。

原作は現時点7巻でフィアーとの戦闘のクライマックスで、これでほぼ一区切りかと思ってたんですが。
OP見てて気付いたんですが、クルツの背後にフィアー以外の目が光ってますよね。ラストに更にもうひと山作るって事なんでしょうか?(汗)

 個人的には今期のアニメで一番好きで観返すのも多いんですよね。
別に賛同求めはしませんがw
アニメの1作品としての出来云々で言えば低評価なのは納得なんですけど、個人的にはこういうのツボなんすよね。

世界でこの時点で10人と居ない適合者の福音が"肉体の代替品"に留まらない全身義体のその可能性をパンドーラデバイスと言う"最高のスキルの取り込み"で更に広げるってプロットが正に士郎正宗というか。電脳化が世界を変える新技術と言う認識は有っても未だ倫理的に抵抗の残る時代と崑崙八仙も劇中で言ってましたし、私は今となっては大昔の本のアップルシード・データブックの年表読み返したりして楽しんでます。
本作の段階では連合・米帝の大戦中の様ですが、ムンマ教国の台頭の時期且つMMによる"日本の奇跡"の前なのかなと思って観てるんですが。劇中の宿題の職場訪問のエピソードで浮遊MM云々なんてセリフも有りましたしね。
セナンクル島って意外とオリュンポスの原型だったりするのかな~とか思ったりして。ガチの士郎正宗ファンの方の見解聞きたいすね。
 んで、そんな士郎正宗の世界の中で繰り広げられるサイボーグの福音とアンドロイドのクラりんのユルい百合とブエル(小)の暴走というギャップが堪らないw
フィアーとの戦闘ですらアレですしね。
 士郎正宗のお膳立てだけで楽しめる人にはナカナカな御馳走だと思うんですが、そうでない人にとっては雑な三流以下でしかないというニッチな作品というかw
 
 別にクラりんのデフォルメで作画リソース節約は私は気にしてないんですが、義体の関節部分を線足しだけで済ましちゃってるのが残念なんすよね。
もうちょっと手間かけて欲しかったとは思います。2ndGIGの素子の少女時代と見比べるとガッカリ。
作画金掛かってたら個人的には円盤迷わず買ったんですが・・・

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 面白そうなんで原作読みはじめましたけど、士郎正宗自身が自分の作品の色では今時はウケないからと六道氏にお任せって感じなんすね。マンガ本編と士郎正宗のあとがきのテイストの違いが変な感じw

部分義体に出来る事の限界と全身義体の可能性の違いとかってアップルシードの頃から書いてたし、スキルの外部記憶化というパンドーラデバイスとの相性の良さなんて要素もとても士郎正宗っぽいすよね。
(そいえば無彩限のファントムワールドでも3話で外部化された記憶・体験の共有ネタやってましたね)
崑崙八仙の傘下の企業の名前もメガテク・セブロとかお馴染の社名出てきたり、マンガの方では福音がヘカトンケイルシステムの実験させられてたりするし。
そういう懐かしさもあって、なんか個人的には好きなんすよね~。

 自称"魔界の哲学者"ブエルも五本目の脚がイイ味出てるし、かわいい全身サイボーグとロボットのコンビでユルい感じってのも個人的には好きなんでその気に入った気持ちを評価に反映します。

まぁ明確に"彼女と彼女の出会いの物語"と深~い話じゃ無い事は明言してますし、客観的にアニメの出来として観れば切る人多発なのは納得ですんで私もお勧めはしないですけどねw
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 個人的にはなんかカオスな出来が楽しい気がするんですよね。お勧めはしないし多分切る人多発だろうけどw

絵も動きも雑だし変なアニメなのは間違い無いんですが、意外とドミニオンのマンガにテイストに近い気はします。コンフリクト編じゃなくて初めの方ね。SFベースのドタバタ劇と言う点で。
まぁ本作品自体の原作は士郎正宗では無い訳ですが、マンガのドミニオン・オリオンが有りの人は別に抵抗無く見れると思いますけどね。

何度もくどいですが、お勧めはしません(汗)

士郎正宗というとアニメの攻殻・アップルシードというイメージの人は耐え難いかも。
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 攻殻以前との話ですので、古い世代の士郎正宗ファンなもんで個人的には期待しちゃうんですけど最近はエロばっかですしねw
全身義体(無機質サイボーグ)の黎明期のお話みたいなので、希望としては攻殻→アップルシードの流れに繋がるミッシングリンクがちょっと埋まる作品だと最高にうれしいんですが・・・多分ふつうに萌えですね(汗)

まぁ別にかわいくて面白ければOKかなと。
1話目の印象は絵は崩れないけど、電車や船等のオブジェクト動きがイマイチすかね。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 26
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

stodio五組最新作!今回もゆりゆりしてます!でも実は・・・

攻殻機動隊のスピンオフ作品です

・・・と聞いて興味が湧いた人は残念ながら向いていない可能性が高いです
おそらくレビューで呪いの言葉を吐露することになるでしょう

逆に攻殻と聞いて硬派なSFはちょっと・・・
と敬遠しようとする層のほうが
どちらかというとこのアニメに順応しやすいと思うのですが
そういう人たちは0話で切ってたりするんじゃないでしょうかね?

原作士郎正宗とか攻殻機動隊スピンオフとか
そういった情報よりももっと端的にこの作品を表すステータスは
レビュー題の通りです

咲の製作中に母体のGONZOが吸収合併された際に独立
以来Aちゃんねる、きんもざ。ゆゆゆと
ヒットさせたアニメはどれもソフトな百合描写を含むものばかり
今回もその流れを汲む作品で
そこにSFバトル的な味付けが添加されていると思えば
まぁ大体この作品の大雑把な方向性がわかると思います

しかし、主人公の七転福音(ねね、以下福音)は事故の影響で全身義体で
脳核以外は全て機械になっています
ヒロイン(?)のクラリオンはもともとアンドロイドなので
そこに萌を見出すのは
俗にいうピグマリオン・コンプレックスにあたるのでしょうか?
さらにくらりんには猫耳メイドとかいう属性までつけたられており
さすがにいろいろやり過ぎ狙い過ぎに感じる面は否めず
そういう意味でレベルの高いというか適合者を選ぶ作品なのは確かです

しかし二人の機械設定のおかげで
湯煙規制0のシャワーシーンや下着描写
さらには、くらりんの股間に福音が指を挿入するシーンが毎週のように流れたりと
生身の人間だったら絶対NGなレベルのシーンが
堂々と放送されているのにはびっくり
パンツじゃないから(以下略
的な発想ですね
こやつら天才か!

もし仮に誰かがこれに性的過ぎると苦情を入れようものなら
その人は自分がお人形に欲情する変態さんだと宣言しているようなものです
昨今。アニメの肌色が厳しく規制されるなかで
これだけ全裸の女の子を堂々と描くアニメはなかなかありません
よく理解していない人から見れば福音もくらりんも人形かもしれませんが
クラリオンはともかく福音は歴とした人間の女の子ですからね!

いやしかし、よくよく考えてみると福音は本当に全裸と言っていいのでしょうか?
全身義体というのはいわば究極のウェアラブルPC
つまり本来の彼女の全裸は脳核だけの状態であり
全身義体を着ているのだと考えることもできます
だとすると全裸どころか
フルメタルアーマーもびっくりの鉄壁の防御で
彼女の裸はガードされていることになります

はたして義体は彼女そのものなのか?
それとも義体を身に着けているだけなのか?
これは非常に難解で哲学的な命題でもあります
すなわち自分と世界の境界線は何処に線引きされるべきなのか?
はたして自己とは一体何なのか
人類はいまだにこの究極の問いに普遍的な解答を見つけることができていません

古来人類は、精神と物質をはっきりと分離せずに考えていました
万物に魂が宿るとする日本のアニミズムでは特に顕著ですが
それは日本に限ったものではありませんでした
近代科学はその二つを無理やり引きはがすことで
現在の物質文明を築きあげてきましたが
ここにきて精神もまた物質世界の一部としてメスを入れられる時代が到来しつつあります

その一つが脳波入力インターフェイス
つまり心の中で念じるだけでいろいろなデバイスを操作できる装置です
実際に脳波でキーボードを入力したり、ドローンを飛ばしたり
といった実験にはすでに成功しており
一部は実用化されています
しかし、この装置の扱いはなかなか難しく
何も練習せずともすんなり動かせる人もいれば
幾ら練習しても全く動かせない人もいるようです

作品世界に話を戻しましょう
こちらでも似たような話が出てきたのを覚えていますか?
発展途上の技術全身義体
福音は世界でも希少な成功例
適合者(アデプタ)の1人だそうな
幼いころに難病を患い電脳化し
10歳の時事故に巻き込まれ両親を失い全身義体となった彼女
機械の身体を自分の身体と認識し駆動する能力は
生きるため全てを奪われた少女が
生きていくために身に着けた、たった一つの希望です

11話で彼女は {netabare}自己の定義をさらに拡張し
基地のシステムをも自身の一部として取り込んでしまいました

あるけどわからない・・・昔と同じだ

わからない

わたしがあるけどわからない

1からやり直したらいいんじゃないかな?
1番初めの最初の最初から

生まれて初めて体を動かすみたいに
生まれて初めて物を見るみたいに

近くて遠いたくさんのきらきらした何か

なんだろう?一度にたくさん見えてるのに全部わかる
{/netabare}
彼女の世界認識は自他の境界が極めて曖昧
あるいはそもそも存在しない主客未分の状態にあるようで
拓美もそれをどこまで見抜いているのかわかりませんが
「福音ちゃんの世界観は興味深い」
と評しています

このアニメを低俗で悪趣味な萌アニメだと思っている人達がいるようです
悪趣味な萌アニメという部分に関しては何も返す言葉はありませんが
これだけ科学的・哲学的に最先端の話題まで踏み込んだ作品を
低俗の一言で片づけるのは
受け手の見識が低すぎるだけのように思います

実際には作り手サイドにそんな深遠な主張などなく
私の個人的見解というか無理やりなこじつけただけの妄言ではなないか?
と疑っている方もいるかもしれませんので
11話のアレが作品の主題であるという証拠を上げておきましょう

もともとこの作品はGHOST URNの題名で士郎正宗が企画し
攻殻ARISEのキャラを登場させ
ARISEの数年後を舞台にした作品となる予定でしたが
企画そのものがいったん没になり
再始動する際に色々な変更点が加えられ今の形となりました
GHOST URNという単語はこの作品のルーツであり
物語の核心に最も近い部分です
そして11話のサブタイトルが
「心の在処 -ゴーストURN-」であることを考えれば
このアニメが精神と身体の関係をメインテーマにしていることは
だれの目にも一目瞭然ですね

しかし、硬派なアニメファンの大半は
11話までたどり着かづに脱落するか
低俗なクソアニメと決めつけてちゃんと見ていないでしょうし
逆にこの作品をメカっ娘たちの繰り広げるレズレズアニメ
として観ている変態紳士の皆様方は
そんなメッセージ性をそもそも求めていなかったりで
どれだけの人にこのテーマが届いているのか
正直疑問に思うところではありますねw

投稿 : 2025/01/04
♥ : 19

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

「世界平和は小さな親切の積み重ね」

この作品の原作は未読ですが、原作が士郎正宗さんである事、「紅殻」と「攻殻」の読みが同じことから何か関連はあるんだろうとは思っていましたが、それ以上突っ込む事はしませんでした。
後から「攻殻機動隊」好きな友人から教えて貰いましたが、この作品は「攻殻機動隊」より時代設定は前なんだそうです。
それでも「全身義体」のキャラは登場しますけれど^^

この物語の主人公は、脳以外の全身を義体化した七転 福音(ナナコロビ ネネ)。
彼女は遠い親戚である崑崙八仙 拓美(コロバセ タクミ)に引き取られてセナンクル島にやってきたところ、ウザルという女性科学者に遭遇し・・・いきなりブエルと呼ばれる巨大兵器の暴走トラブルに巻き込まれてしまいます。

でもそこで福音はウザルが製造した戦闘用アンドロイドであるクラリオンと運命的な出会いを果たし・・・物語が動いていきます。

物語は大きく2つの流れで動いていきます。一つは福音とクラリオンの日常パート・・・もう一つは巨大兵器であるブエルを我が物にしようとする輩が秘密裏に動いていくパートです。

ブエル絡みの展開は、身体の各部を義体化した敵との白熱したバトルやいかにも電脳系・・・という感じで物語が進んでいくので、こちらも息を呑む感じなんですが、個人的に圧倒的な面白さを感じたのは日常パートです。

「夢が世界平和」という福音は自己犠牲も厭わないスタンスで人を助け、それをクラリオンがサポートする・・・一つ一つの出来事は大きいことばかりではありません。中には命の危険を賭して人助けを行ったりする事もありましたが、公園での炊き出しの手伝いなど些細な事でも心が温かくなるような一幕を見る事ができるんです。

でもセナンクル島の住民は決して善人ばかりではありません。
例えばこの時代、アンドロイドは高価なモノとして盗難事件が起こったり・・・
福音とクラリオンは全身義体・・・きっととんでもなく高価なんだと思います。
それでもそんな悪党に屈する二人ではありません。
詳しくは本編で確認頂きたいと思いますが、キーワードはパンドーラデバイスです^^

セナンクル島に住むのは善人ばかりでは無い・・・と先述しましたが、ちゃんと善人も住んでいます。根が素直で正直な福音の周りに集まるのは、心優しい人達ばかり・・・

義体って・・・部分的でも動かすのが難しいんだそうです。
全身が義体化された身体を普通に動かしている福音はきっと過酷な訓練と調整に耐えてきたんだと思います。
皆んなが福音の様に義体を動かせる訳ではありません。
でも、病気やケガで身体の機能の一部を失って・・・これまでと同じ様な生活が送れなくなる・・・
それが義体を使うことで日常が取り戻せるなら・・・頑張りたいと思いますよね^^
福音の分け隔てない優しさも相まって、そういう「これからの人」に対し福音は希望だったと思います。

一方、物語の中で良く分からなかったキャラもいます^^;
一番分からなかったのが、福音の遠い親戚である拓美ちゃんです。
まず彼女の口調・・・これまで様々な口調を聞いてきましたが、語尾に「〜だや」を聞いたのは今回が初めてだと思います^^;
「何故、だやなの・・・?」
正直言いにくいと思います^^;
それに普段の生活において出不精なのかそうじゃないのかが不明ですし・・・^^;
でもクラリオンへの足枷は・・・クラリオンにとっては厳しい条件でしたが福音の事を思う親心なんだろうな・・・と思いました。

色々書きましたが、基本的に福音とクラリオンが普通に可愛いので、愛でながら視聴していると30分なんてあっという間に過ぎてしまう・・・そんな作品だったと思います^^

オープニングテーマは、ZAQさんの「hopeness」
エンディングテーマは、七転福音、クラリオンの「LoSe±CoNtRoL」
EDの制作もZAQさんでした・・・OP、EDともZAQさんらしい曲だったのではないでしょうか^^
リフの曲調がちょっと難しいけれどサビが抜群に格好良い・・・そんな印象です^^
個人的にはEDのサビのメロディが好みでした^^

1クール12話の作品でした。「こうかく」の文字が変わるだけで作品の雰囲気が全く別物になっていましたが、この作品も毎週の視聴が楽しみでした。
「ガール・ミーツ・ガール」の物語・・・良かったと思います^^

投稿 : 2025/01/04
♥ : 20

63.5 13 サイバーパンクアニメランキング13位
RD潜脳調査室 アールディー(TVアニメ動画)

2008年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (274)
1691人が棚に入れました
2012年、フリーダイバーの波留真理は、建設中の人工島沖合で観測実験の最中、「海が燃える」現象に遭遇し、49年間も昏睡状態に陥った。2061年、長い眠りから覚醒した波留は81歳の老人となり、車椅子生活を送らざるを得なくなった。そんな中、波留は旧友・久島永一郎によって、メタリアル・ネットワーク(通称:メタル)の情報を調査する、電理研外部委託調査員に任命される。メタルは、安全で人々の欲望を満たす一方、現実世界(リアル)の世界に歪みが生じたからだ。こうして、波留は蒼井ミナモとバディ(英語で『相棒』の意)を組み、メタルとリアルの間で起きる事件や謎を追う事になる。
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

堅い雰囲気だけど、中身は温かないい話。

見終わった。落ち着いた感じで、好感。面白かったな。
この作品、日常のパートは「イヴの時間」が好きな人にお勧めかも。
堅い雰囲気ながら人情味あるエピソードが語られる。見せ方が控えめで品がある。
女の子のスカートの短さとムッチムチ感は徹底してるけど。男は痩せマッチョ。

ずっとIT関連なお話が続くのかと思ったら、自然環境の要素が入ってきた。海から始まった物語、そこに意味があったようで。

地球律。
災害をもたらすような気象変化は、地球が自らバランスを保とうとして自然の流れを巻き起こす、陰と陽のような影響で起こるのではないかという考え方。人間のもたらした人工的な自然への施術が、より大きなぶり返しを呼んでしまう、という。
怖いですね。実際ある気がする。

主な登場人物
{netabare}電脳空間の捜査を行うハルさんと、ハルさんによって「パートナー」と位置づけられる福々しい女子高生ミナモちゃん、補佐するグラマラスなアンドロイド、クールな顔して世話焼きなミナモ兄・ソウタ、ハルさんと同じくらいの歳のはずなのに、見た目も若いままの怪しい科学者…などが主に動く。 {/netabare}
次第にそれぞれの意外な面や、やはりな…とシミジミさせられる面など性格に説得力のあるエピソードが登場し、どんどん好きになってます。

ソウタとホロンさん、ホロンもどきの健闘シーンの作画がかっこいい。
ソウタ、面白かっこいい。
「精神統一の鍛錬には自信があります!」と明朗に言って、直後に女性のお色気?に仰け反ってしまう。(詳しくは見せないのが、この作品独特の紳士的なところ)
{netabare} 年上愛人とのねんごろ具合 {/netabare} はシティハンター過ぎるところもあるけどねっ!しかも {netabare} 書記長をモデルに作られたホロンさんに思いいれちゃった流れには {/netabare} びっくらこいた…これも純愛…なのか。


{netabare} 久島博士が、何故音楽をやめたのか?音楽に必要なものは…という流れで
「愛だ。」と言い切って、ハルさんが「エッ」ポカーンとする、ちょっと離れたアングルから見せるシーンの距離感、好きだな。

アンドロイドホロンさんの一瞬の涙とか、着なれないメタルスーツで必死になるミナモちゃんとか、冷静な描写の中にグッとくる温かさが潜んでる。

「愛だ」がまさかラストまで関連してくるとは。
最終回の海とメタルとの定義はサッパリ解りませんでしたが…{/netabare}

ナイスガイ過ぎる久島博士からの最期の贈り物で、みなもちゃん、ハルさんとの歳の差が縮まったね。やったね。夢のようなラスト、二人には幸せになってほしかったので、おめでとう…。



ビーフストロガノフの隠し味に梅干し!へ〜、すごい。そんなん作ったことないけど…
{netabare} そういや料理研究家・辰巳芳子のレシピで、{梅干しの種+焦がし玉ねぎ+昆布+醤油} を煮るとコンソメスープが出来るというのがある。これは不思議に、本当に簡単に出来る。お勧め。 {/netabare}





以下初めの頃〜中盤までのレビュー


**********
おすすめレビューを読んで気になったので観ました。今12、3話辺りまで。堅い感じで面白いです。

爺さんが主人公。
頭脳は青年、潜ればマッチョ、陸に上がれば要介護白髪爺さん。
海洋調査の事故で少し寝て起きたら、浦島太郎状態になってしまった…ハル爺さん。
遥かに技術の進んだ「電脳の海」に潜脳捜査に入ることで、事故時の若々しい姿へと戻ることができる。
年の功を漂わせる(実際は歳をとってないわけだけど)ハルさん。案外モテモテ。元々、紳士な性分なんだろうね。変態の付かない正真・紳士です。
失った時間についてあまり深刻な様子は見せないけれど、この先、深い話が出てくるのかな?眠ったことですれ違ってしまった女性との話が切なかった。


男性も女性も、肉体描写の立体的なデッサンが巧い。
アニメのよくあるスレンダー体系が好きな人からみるとちょっとムチムチし過ぎかもしれないけど…。
何かこう、知性を感じさせる豊満かつ的確なデッサンの線質だけでなく、動きに重みがあるんだ。女性のお尻の重みとか、コダワリを感じる。もちろん男性の拳闘シーンも、軸と重みの遠心力?のあるような、観ていて気持ちいい動きだよ。


ミナモちゃんの役割
電脳化していない姿で自然体で物語と関わってくれるので、周囲との差異が視聴者に伝わり易い。慣れない電脳スーツでハルさんを迎えにヨタヨタ来た姿は、グッときちゃったよ…。
ミナモを見る時のハルさんの瞳が何とも言えない。慈愛というか…聖人的な。
対してミナモがハルさんを想う時のポッ…と赤らむ感じは、何というか清楚なのに煩悩を漂わせてますな。スカート、ギリギリだ!頭の上の大きなリボンが外れてる時の方が、かわいい。あのリボンはダサい。

ソウタとお父さんの、食をまじえた話も、よかったなぁ。
研究気質一本に走っていたお父さんが、家族の食卓に戻ってくれる様子が、じんわりといい話だった。無機質な情報が多いだけに、気持ちの動きを大事にしてくれる話が生きてくる。
ソウタ兄は {netabare}お偉い女性と愛人なの?ベッドの事後的なシーンが。 {/netabare}このへんが何か士郎正宗だなぁ。オットナーっていうか、発想オッサンー。うん、士郎正宗って基本おっさんワールドかも。シティハンターと同列かも。


デンノーデンノー書いてみるが、攻殻でも出てくる「体の電脳化」というのが未だよくわからない。アンドロイドとかロボットとかとは別なんでしょ?肉体…神経の受送信面により利便性能を積んだ身体ってことかい。わからないけど。


しかしなんでオープニングはアングラテイストなんだろう。
♪国境は歴史の傷口で〜みえない薬をさがしてるー だっけな?
頭でグルグルまわるよ!

投稿 : 2025/01/04
♥ : 14

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

人の心に深く深く潜ってゆく

記憶は青年、見た目はおじいさんという非常に珍しい境遇にあるハルという人物が主人公の作品です。

概要としては主にメタル(メタリアル・ネットワークという仮想現実)内で起きた様々な事件をダイバーと呼ばれる調査員が解決していくというものですが、同時にハルの再起、人間と人間、人間とテクノロジー、延いては人間とテクノロジーと地球の関係を壮大な視点から描く試みがなされています。

全体的に見ると派手な演出は極めて少なく、アクションシーンについても少なめで、あっても淡々と描かれる事が殆どなので、外へ向かうよりも、内へ内へと向かう印象を強く受けます。現実及びメタルにおける人物(知的存在)同士の対話が本作品の主役であり、最も重きが置かれている点であります。ほぼ全ての会話シーンは言葉のみならず、人物の表情、間の取り方からも感情を推し量る事が出来る程に極めて緻密に作られており、さらにメタル内のダイバーは人の思考や嗜好、思想や哲学など様々な場所に文字通り潜って行きます。

人によっては気になるであろう「精神的には青年の筈のハルが見た目の通りに老成しているのは何故なのか?」という疑問については、ハルの元来の知性に加え、老いた体に心が付いて行ったものと私は解釈しています。電脳の助けを借りている為とも考えられます。そんなハルおじいさんの青年の部分が垣間見える「無垢な言葉に傷つく人間もまた無垢なんです。」という台詞は非常に印象的でした。

正当に評価されていないと言われる事が多々ある本作ですが、それなりに原因はあります。第2話のにゃもの下着が見えるシーンと最終話のご褒美的な展開の二点がそれで、両者とも作品全体の価値を貶めるものではないのですが、前者は女性の視聴者に対する配慮が足りず、後者についてはSFとしての説明が皆無であり、またご褒美が無くても良いエンディングだったので、やや蛇足気味に見えてしまったという事でしょうか?(前者は結構あからさまな描写なので、あれで切る人がいたら勿体無い。)また私個人としては「RD潜脳調査室」というタイトルから刑事物の様な硬めの印象を受けてしまった為、最後まで違和感を拭い切れませんでした。

以上良い所も、残念な所もいくつか述べてしまいましたが、この作品の全体の価値と比べれば、欠点については些末なものと言い切ってしまっても良いと思います。テクノロジーと自然環境についての問題は、その恩恵にあずかっている全ての人間が責任を負うべき問題ですので、この様なアニメが貴重であるという事は言わずもがな、もっと増えて欲しいなぁと思う次第です。

余談になりますが、作中で描かれている情報の可視化という技術は限定的な用途ではあるものの、既に実用化されており、大学や企業のセキュリティに導入されているそうです。もしこの様な技術がさらに発展し、ネットワーク内の様々な情報を感覚として享受出来る様になり、本作品の15話「食」で描かれた様な弊害が生まれてくるとしたら、人のリアルに対する執着がますます薄らいでいってしまう気がします。「紅殻のパンドラ」でも拓美ちゃんが暇つぶしにぱりぱりやってた電脳ポテトチップがありましたが、この作品を視聴した後ではちょっとだけ危険な感じのモノである様に見えてしまいました。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 11
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

81歳の老人ダイバーと、15歳の女子中学生がバディを組むって、それだけでもうドラマが生まれそうじゃない?

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
制作に士郎正宗さんが関わっているということで、設定やら雰囲気は「攻殻機動隊」に近い部分があります。もっとも、続編ではなく、設定などを受け継いだ、「攻殻機動隊の先にあるかもしれない未来のひとつ」を描いている作品と言えるかもしれません。

私的に、「THE もっと評価されてほしい」作品。地味ながらも丁寧に作られた世界観にドラマ。心情を深く描く手腕。色々と考えさせられる作品です。(あにこれ基準で)75点は超えてほしいな~と思ってます。

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
「欲」というのは、人間の行動原理として、かなり純粋なものだと思います。

「食欲」「性欲」「睡眠欲」といった三大欲求は勿論、「支配欲」「自己顕示欲」「物欲」など、「欲」にも様々。

そんな「欲」が、「安易に」「無制限に」叶えられてしまう世界があったら、果たして現実にどこまで興味をもてるのかな? 仮想現実世界を支えるの(運営)は、現実の人間なんだろうけど、そんな運営の人々まで、帰ってこなくなったらどうなるんだろうな、と、思ってみたり。

あとはまあ、「自然」と「科学」の優劣の問題。高度に発達した「科学の力」は、果たして「自然の摂理」に勝るのか。この点は、これまでのアニメではほとんどなかったテーマ性で、色んなことを考えさせられました。

本作の問題提起としては、そんなところかと思います。

他方面の魅力としては、やはり、ハル(老人)とミナモ(女子中学生)の関わり&ソウタ(人間)とホロン(女性型アンドロイド)との人間ドラマでしょうか。

現実世界では、若さ溢れるミナモと、介護されないと厳しいハルとの対比が観られますが、1度、メタルへダイブすれば、30代の頼りがいのあるハルと、やっぱり突っ走っちゃうミナモとのバランスが良く、「相棒」的な感じで面白かったですw ソウタとホロンの絶妙な恋愛模様は見処のひとつであり、こちらの結末には満足です。安易に、ホロンが人間になったりしなくて良かったです。

それだけに、ラストの「ハル」の若返りと、ミナモとの恋愛展開は本当にいらない。ちょっとガッカリです。逆浦島太郎ですか(苦笑)? 二人の関係を「男女」にしなくても、「親子」や「祖父と孫」、あるいは、「相棒」「友達」で、十分にドラマは成り立っていました。ソコは本当にマイナス。ファンタジー→SFの流れはまだ良いですが、SF→ファンタジーの流れは、やはりご都合主義感が強くなりますしね。

あと、よく「ふとももが~」とか言われますが、この漫画家さんのキャラデザの特徴のようですね。個人的には、「どうでも良い」です(笑) プラス査定にもマイナス査定にもなっていません。別にキャラ萌えアニメではないんで。でもまあ、それ(むちむち感)が、一部の層を除きw、概ねマイナスになっているようなので、それは残念だな~と。
{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 16

70.6 14 サイバーパンクアニメランキング14位
攻殻機動隊 SAC_2045 シーズン2(TVアニメ動画)

2022年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (61)
266人が棚に入れました
近未来SFの金字塔「攻殻機動隊」、神山健治 × 荒牧伸志による2045年の未来像 全身義体のサイボーグ・草薙素子率いる公安9課が、今再び電脳犯罪に立ち向かう 情報ネットワークとサイボーグ(義体)技術の発達により人々の意思が“電脳”に繋がれた近未来において電脳犯罪に立ち向かう全身義体のサイボーグ・草薙素子率いる攻性の組織、攻殻機動隊。 1989年に士郎正宗により発表された原作コミック『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』を起源とし、アニメーション、ハリウッド実写映画など様々な作品群が展開され、その先鋭的且つ圧倒的な世界観とビジュアル表現により、全世界のクリエイターに影響を与えてきた近未来SFの金字塔が新たな未来像を提示する。 『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズの神山健治と、『APPLESEED』シリーズの荒牧伸志が共同監督としてタッグを組み、田中敦子、大塚明夫、山寺宏一ほか『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズのオリジナルキャストが集結。迫力のサイバーパンクアクションと、草薙素子たちの全く新しい物語が描かれる。制作はProduction I.G × SOLA DIGITAL ARTS。

takato さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

攻殻にあるまじき緩さと日本のCG懐疑説。「プリン」と「面白」ってなんやねん!。

 まだ全部は見てないので一時的な評価ですが、相変わらず攻殻にあるまじき緩い言動と行動による間抜けが見え隠れする格好悪さが尾を引いている。攻殻といえば、特に神山監督自身がやっていたTVアニメ1期ではそういう緩さとは対極であるキッチリとした緊張感が満ち満ちていて、故に無駄のない緊密さな構成と渋い格好良さが他に類を見ないくらい達成されていたのに…。テーマやストーリー云々以前の話で、コレジャナイ感が強すぎて全然話に乗って盛り上がっていくことができないのである。


 正直、神山監督は攻殻以降は迷走が続いてしまってかつての輝きは失われてしまったような気がして仕方がない。例えるなら、かつて大ヒットしたを飛ばした漫画家が、その後あんまりヒットに恵まれなくて結局むかしのヒット作の時間の空いた続編を描いてみた感というか。もうこの人の中には彼等はいなくなっちゃったんだなぁ…という寂しさ。作った当人であっても、残念ながらその作品のツボや要点をがっちり掴んでいるとは限らない問題。

 

 そして、本筋とは異なるが、そもそもCGってどうよ?という個人的にずっと感じている問題を改めて感じてしまった。CGでリアルめなキャラや世界を作る作品ってどうしてもゲームのような絵面にならざるをえない。特に戦闘シーンは本当にfpsに近似し過ぎてしまう。その戦闘シーンがやたら多いのも…。そもそも攻殻はアクションメインじゃない。


 現代においてCGが全面展開されているジャンルはなんといっても現代であろう。ゲームが悪いとは言わないが、ゲームのムービーがずっと流れてもストーリーやキャラの魅力でグッとくることはあるかもだけど、それ自体が持っている独自の表現の力で痺れることは、少なくても現時点ではそうないように思える。


 実写やアニメーションがずっと築いてきた表現としての力はやはりずば抜けたところがあって、どちらにも属しているようで属してない、便利に使われてるけど、それ自体の表現としての力は未だにCGはその2つには遠く及ばないように私には思えてならない。


 そもそも「リアルさ」の追求は、果たして現実に似ているけど微妙に違う何かを創造することなのか?という根本的な疑問を感じる。正直未だに普通には撮れないものを表現する方法としては、昔ながらのブツを作ってた特撮やアニメーションの持っている迫真の力には遠く及ばないのではないだろうか?。


 アメリカのですら少々そう感じるのに、況してや日本のやつにおいてはおやである。どう考えたって技術も人材も資金もない日本でCGをやるには、CGならではで他とは違う魅力を表現するための戦略なくしては無理であろう。それを達成してるのは、私としては「宝石の国」と「プリキュアオールスターズメモリーズ」くらいしかない。


 全編見たとしてもたぶんこの評価は変わらないと思いますが、いちを見終わってから中心的な部分にも突っ込んで書いてみようと思います。それにしても、シマムラタカシのデザインがペルソナ3のキタローみたな中2感だな。


 (最後まで見終わって)


 やはり感想は変わらず…。2期の時点で難民だの革命だのと手を広げ過ぎた感があったのに、今回は更に手を広げちゃってスカスカになっちゃったような。テーマ的には上手く描きうる余地はあったかもしれないが、2クールかけた割には…。


 1期が傑作だったのは、未来を舞台にしながら実は「グリコ森永事件」や「薬害エイズ事件」なんかを下敷きにした現実と地続きな作品だったのが素晴らしかった。しかも、それでいて単に疑獄事件ってだけじゃなく、スタンドアローンコンプレックスという掘り甲斐のあるテーマも、エモーショナルなドラマも両立させられていた。刑事ドラマがモデルだった1期に比べちゃうと、今回はなんちゃってSFなハリウッドアクション映画という感じなような。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 9
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

思考の祝祭

神山健治&荒牧伸志監督、
士郎正宗原作の傑作サイバーパンク。

戦争が最も効率的な経済行為であると、
世界は持続可能な戦争へと突入した。
理想とする社会と拡大する貧富の差に、
{netabare}全世界同時デフォルトの発生、
その裏で生み出され、暗躍するもの、
新たな可能性、ポストヒューマンが誕生する。{/netabare}

圧倒的な面白さでしょう。
背景・美術に関しては現実に近い。

とある事件を探索中に失踪した、
トグサを追い公安9課は東京へと向かう。

廃墟東京でNと名乗る思想的群衆、
{netabare}彼らはビッグブラザーを信奉し、
望むものは、摩擦のない世界である。
私たちより少しだけ早く絶望した人たち。
秘密裏に介入する米帝特殊部隊、公安9課、
過去に例のない内戦を抱え込み、
三つ巴の戦いは、こうして激化していく。{/netabare}

人とそれ以外を隔てるもの、
意識、記憶ですら曖昧な境界線の上で、
見据える未来へと自らを信じ正義を為す。

最終話は議題に上がるでしょう。
{netabare}少佐はプラグを引き抜いたのだろうか!?
私は引き抜いていないと考えている。{/netabare}

ぜひ視聴をお薦めします。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 22

CPPok24298 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

3Dを受けつけるかどうか

脚本は本格的で秀逸ではないか。大人が見ても十分楽しめると思う。
ただ3D作画を受けつけない方にとっては、物語もいまいちに見えるのか。あるいは解釈が少し難しいのか。
私としては本作の3D作画はアクセプタブルだった。たしかに味気ないように感じるところもあったが、戦闘シーンなどは2D以上の迫力だと感じた。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 1

66.0 15 サイバーパンクアニメランキング15位
ノー・ガンズ・ライフ 第2期(TVアニメ動画)

2020年夏アニメ
★★★★☆ 3.4 (64)
269人が棚に入れました
ベリューレン社により戦時中開発された新技術「身体機能拡張技術」。
その技術により身体の一部、もしくは全部を機械化された者は、拡張者(エクステンド)と呼ばれていた。

拡張者と生身の人間の非拡張者が混在する社会では常にいざこざが絶えず、それらの問題を解決する「処理屋」を、
乾十三(いぬいじゅうぞう)は生業としていた。

そして、十三自身も、頭部が巨大な銃の「拡張者」だった。

ある日、十三は、全身拡張者の大男から一人の少年の保護を依頼される。
その少年の名は荒吐鉄朗(あらはばきてつろう)。ベリューレン社から誘拐された少年だった。
だが、十三は依頼を受けたもののベリューレン社からの追手に、鉄朗を奪われてしまう。
十三はなりゆきで街を牛耳るベリューレン社と事を構えることになるのだが…

鉄朗を誘拐した全身拡張者の男は何者なのか? 
ベリューレン社と鉄朗の関係は?

「ウルトラジャンプ」にて大好評連載中のSFハードボイルド
ここに開幕!
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.5

それウチのシマじゃノーガンだから

1期おさらい、これを読めば1期見てなくても大丈夫かも?{netabare}
まずこの世界は拡張という名の肉体のサイボーグ化が普通に行われている、拡張技術を受けた人間はエクステンドと呼ばれる。
但しこの拡張技術の発展の裏には黒い影がある模様。
拡張技術を開発したベリューレン社は世間に拡張技術は安全だと謳ってるが実はそうでもないみたいで、普及するか否かの分水嶺の時期に大きな事故があったらしいのだがベリューレンはそれを隠蔽している模様。
というのが大まかなバックグラウンド。

以下は原作未読・wikiも意地でも見ないでアニメの情報のみで私が解釈した内容、間違ってたらゴメン。
15年前に、拡張手術第一弾の被験体によって結成された部隊ティンダルスというのがありまして。
10年前「ノースコッドの悪夢」という事件が起き、調査に向かった復興庁所管の拡張者対策機関(のちのEMS、当時は前身の軍警察)の局長だったオリビアの父が殺される、他にも犠牲者多数っぽい。
どうやらノースコッドで行われてた実験(もしくは実験の失敗、拡張技術の致命的な欠陥もある?)を隠蔽するためにティンダルスの一人だったメガアームド斎がやった模様、他のティンダルスメンバーも加わってたのかはちと不明。
アームド斎自身もノースコッドでの非道な人体実験に愕然とはしたものの、ここで拡張技術が取り止めになったらそれまでの被害者が浮かばれないということで隠蔽をしたっぽい、多分(ノースコッドで何が行われてたのかまだ伏せられてるので推測)。
また本人が結構な英雄願望持ちで、ベリューレン社もこれ幸いにとバックアップをしてた。

そして現代、英雄として祭り上げられてたアームド斎の元に、元ティンダルスメンバーの一人がノースコッドの件でゆすりをかけて来て、アームド斎は返り討ちで殺してしまう。
そしてその隠蔽をベリューレンに頼み込み、ベリューレンの幹部チーム「ブルツェル」は配下のカニンガム(デブ)に、カニンガムは後述のガンスレイブユニットとハンズのセブン&ペッパーにハルモニエのレプリカを渡し、やっぱりティンダルスメンバーだったゴンドリーを操って連続殺人犯に仕立て上げてアームド斎の犯行を隠蔽する。
更に最後はアームド斎も口封じするつもりだったが、ここで主人公の十三の働きで阻止、ゴンドリーを戦闘不能に。
が、アームド斎は十三に助けられたものの十三も危険人物だと判断し殺そうとして、その時過去の犯行を喋り、それをオリビアに録音されてしまう。
そしてアームド斎はゴンドリーと共に逮捕され連行されるがその途中、輸送車がセブン&ペッパーにより狙撃され「ノースコッドの悪夢」の真相は闇の中に──。
と思いきや、オリビアは録音データを「信頼できる検事」に送ってて、だけどその検事も殺され、だけどデータは娘に預けてて、それを十三が手に入れたところで1期は終了。

でもって十三は何者かというと、エクステンドの中でも現在はEMCの認可が無くては町を歩けないオーバーエクステンドで、更にその中のガンスレイブユニットという機種らしい。
過去の記憶は無いらしいがティンダルスのことは覚えてたり、かつての戦争では機密事項に深く係わってたみたい(まぁボディ自体が機密の塊だし)。
もう片方の主人公の鉄郎は、ベリューレンの元CEOの息子らしいのだが過去の記憶は殆ど無く、ベリューレンの実験にされてハルモニエという新技術を搭載されてる。
ハルモニエとは拡張体の操縦を乗っ取る技術だそうで、シンクロ度が高いとフィードバックも起きるらしく、遠隔操作とは微妙に違うみたいでこれまた世間に公にしてはマズい技術らしい。
で、ガンスレイブユニットが本来の力を発揮する&制御するためにはハンドという相棒が必要で、鉄郎は一度ハルモニエで強引に制御しようとしたがプロテクトを突破することはできなかった。
今後哲郎が成長してハルモニエもパワーアップしてプロテクトを解除できるようになるのかな?と予想したりもしたけど、それもこれもぜ~んぶ2期以降へ持ち越し。


と、大雑把にこんな内容、キミは理解してたかな?
私は2週目メモ取りながら見てようやくでしたw
複雑・難解なのではなく、造語とノイズが多くて説明が不親切って感じ。
例えばキュウセイクツをシマとするキュウセイカイというヤクザの幹部にホワンというのが居るのだが、登場シーンにやたら尺を使った割にそれ以降出てこないせいでノイズにしか感じない。
なにより全ての謎は10年前のノースコッドの悪夢にあると思うのだけど、それを「隠蔽するために行われた工作」に触れる展開ばかりでなっかなかノースコッドで何が行われてたのかには踏み込まない。
更には隠蔽として反拡張団体「スピッツベルゲン」のやったことだと偽装するのが多々あるのだが、肝心の本物のスピッツベルゲンそのものが登場しない、規模も分からなければ本当に実在してるのかもよく分からない。{/netabare}

1話感想{netabare}
あ、続きやるの今期からなのか。

で内容は…前期見てないと全っ然分からない展開になってました。
かくいう私も前期の記憶が曖昧になってたり。

とりあえず反拡張団体が出てくれたのはありがたいかな?
確か前期では「そういう団体も居る」って台詞で説明しただけで、ついでにその団体がやったことに偽装しようとしたりと、物語に関わっていながらその姿は一切画面に出なくて不親切だなぁとは思ってまして。
って、今回登場したのもまたニセモノだったりして…さすがに無いよね?{/netabare}

16話(4話)までの感想{netabare}
おおう、作風的に質量を無視したのは止めて欲しいんだけどなぁ。
それやられるとSFというより魔法って感じがしちゃって…せめて亜空間から引き出すだったら納得できなくもないけど、そういうことではないっぽいし。
確か前期でも同じようなことがあって指摘したはずで、「何を今更、この作品はそうである」とこっちが覚悟しとかなきゃいけないんだろうけど…。{/netabare}

18話(6話)までの感想{netabare}
あれ?透視野郎は1話限りのゲストキャラ?
その力を使って十三達がピンチを切り抜けるための前フリか?と思ったのだが、次の回で完全に居なくなっちゃって…。
ホントこういうの多いなぁ、ノイズというか本筋に関わらないゲストキャラ…前期の針使いもどこ行ったんだ?
まだ途中なのでそのうち出てくると思いたいんだが…。

ローサは前期でオリビアから「信頼のおける検事」としてメガアームド斎との会話データを送られて殺されたジョージの娘。
オリビアは間接的に父親を殺してしまった立場なのでどんな気持ちだったんだろう?と思いを馳せるところだったのかな?
いや分かり辛いよw

スピッツベルゲンの幹部はまさかの拡張技術の生みの親と呼ばれるオシャウスキー博士、前期でも名前は一回だけ出てたハズ。
自分が開発したはいいけどその危険性に気付いて根絶する側に回った…ってことか?
ビクター(亡霊側)もそんなだったし、記憶無くす前の鉄郎も同じ感じか?
で博士はハルモニエを使って十三の内部を暴け、と伝えて鉄郎を解放した模様。
内部を見ればエクステンドは根絶するべきと考えるハズだ、って感じか。
ああやっぱりハルモニエでプロテクト解除目指すのね、前期見ればそういう方向に向かうのかな?と予感はさせてるのだけど、やっぱり分かり辛いよw
ってかエドムントはガンスレイブユニットのファイブの相棒と言ってるし、ひょっとしてハンズか?

ところで透視、物理的だけじゃなくて心を読めるなどのキャラクターが、謎の多い主人公の中を覗き見てビビるってのはものすごい鉄板。
と思ったら具体的に作品が出てこなくて我ながら記憶力の無さに困惑、あったよねぇ最近でも見た記憶があるのだが、なんだっけー?
とりあえず、中身覗いたらエクステンドになる前の生身の十三の顔があって「お前ではない」と言い放つとか、それくらいやって欲しかった(“ドロヘドロ”ネタ)。{/netabare}

19話感想{netabare}
オシャウスキーとしてはセブン&ペッパーがベリューレン打倒に於いて最大の障害だと思ってるってことかな?
セブン&ペッパーがどれだけ強いのか絵的に見せてないのでなかなかピンと来ない気が…。
ベリューレン側は幹部から直々にセブンに命令しないでカニンガムを挟んで指令を出してるため、そこまで重要視してる様に感じないんだよね。
で、オシャウスキーはセブン&ペッパーを倒すために十三をぶつけようとして、ハンズ代わりにハルモニエを利用しよう、と。
まぁ今回鉄郎は十三を乗っ取ってない気がする、けどハルモニエ発動中であることは確認取られてるので何を操ってるんだろ?
ファイブの元ハンズを操ったら十三のハンズは務まる?務まらない?

過去に大きな出来事があって、それらが全部バラバラで繋がりは無いのかな?いつか一つに繋がると思ってたんだけど…。
1、ノースコッドの悪夢(10年前)→これを隠蔽しようとしてメガアームド斎が云々、話題によく出る「あのデータ」はこれ絡み
2、ベクターが並列型補助脳で生み出した偽人格が研究所を破壊
3、戦後用済みになったガンスレイブユニットの反乱&それの鎮圧(6年前)

1と2はイコールなんじゃ?と睨んでたのだけど、それが明かされる前に3が出てきてそれぞれ別のこと?という可能性の方が高くなった予感。
ベクターは2が起きる前まで十三の専属医師として親しかったワケで、1とイコールの線は元から薄かったけどね。
気になるところはガンスレイブユニットを作ったのは誰?とその時期なワケだけど、少なくともメガアームド斎より後継機なハズで、1と関係あるんじゃないかなー?
十三のかつての相棒、ハンズは何者?というのはあんまり興味が沸かない。{/netabare}

23話感想{netabare}
エンタメ的に、もうちょっとざっくり言えばキッズアニメ的に「面白くなりそうな描写を避けるのがカッコイイ」と思ってそう。
いくらオシャウスキーがガンスレイブユニットがーと言ったところで「どれだけつおいの?」を見せてないのでピンと来ない。
町ひとつキノコに変えてしまったとか弱パンで山を吹き飛ばしたとか、そういうのが無いってどうなんだろ。
で、そんな中セブンとの対決!とやられても…全然盛り上がらない、“フェアリーゴーン”みたい。
しかもそれだけは止めてくれないかなぁと願ってた「質量無視」だし、お前ガラットかと。
散々スカしといてそこはキッズアニメなのね。
もういっそのこと最後に体内から多脚砲台とか出してくれんかなぁ、ブリュツェルにひと泡吹かせる展開は無さそうな予感…。{/netabare}

総評(これだけ読めばいいかも){netabare}
「原作がそうだから」と言われたらしょうがないのだけど、ひたすらアニメに合わない展開・演出の連続。
絵的に派手になりそうな展開になるとそれをかわす・すっ飛ばす。
そしてメモ取らなきゃ分からないような会話劇をダラダラ続けて、こんなの流し見しても眠いだけ。
ひょっとしてこのアニメフタッフはアニメが嫌いなんじゃないか?と思ってしまうほど。
まぁ私は

メモ取りながら見たんですけどね

↑で1期のあらすじ書いたし2期のあらすじも書こうと思えば書けるけど…やめときます、面倒臭い、3期がもしあったら書きます。
スタッフ的に「どう?これが一番気になるでしょ?」と言いたげなのが十三のハンズについてなのだけど、個人的にはそこには大して興味無くて興味のポイントがズレてるのもなかなかに痛い。
私が一番興味があったのは「ノースコッドの悪夢」の真相…というか2期始まって最初の頃はそれ絡み(メガアームド斎の音声データ絡み)だったハズなのに、何故か話が別方向に向かっちゃって…。
じゃあ次はベクターの居場所?と思ったらそれも中途半端にスルー。
その次はスピッツベルゲンの詳細と十三の過去(一部)になって…確かにスピッツベルゲンについては1期の頃疑問を抱いてた部分ではあるので助かるっちゃあ助かるのだけど、折角オシャウスキーが変形してひょうきんな姿になってくれたのにそれを活かした戦闘が無いってのはどうなんだ。
じゃあ絵的な部分では「本気を出したガンスレイブユニットの戦闘」に期待せざるをえなかったのだけど、そこはカット。
カットというか横槍による中断か?ブルツェルお付きのペアによって…もう消化不良もいいところ。
まぁ元々質量を無視したガッカリ兵器なので派手な戦闘を描いたところで盛り上がったかどうかは不明だけど、カットは無いよカットは。
なんていうかアレだ、話を振っておいて振った側が話をはぐらかすのをカッコいいと思ってそう、原作もそうなん?

そして最後は黒幕「ククク、計画通り」「世の均衡を司るアストライアの天秤」(うわぁ)、十三「戦う相手が分かったぜ」エンド。
わーお。
せめて、せめてカニンガムがギャフンという描写でもあれば…いやそれでも脱力感半端無かっただろうけどさ。
ブンダーベンダーはベリューレンでも手が出せないのか支配下なのか、それすら分からんので規模もワカラン。
最終回も、服を縫ったのがローサだローサだとセリフでは言うものの、ローサの絵は一枚たりとも出ない。
不親切を通り越して怠けてるような…視聴者が何週間も前の情報を細部まで覚えてると思うなよ?と思ったり思わなかったり。
ってかだったら透視野郎はどうした?1期で出たキュウセイカイの連中は?と、投げっ放しになったキャラの扱いに疑問が浮かぶ。

それとこれは細かい話になるけど、ハルモニエがエクステンドを操れるという設定、サイバーパンクでボディースナッチネタは鉄板だしそれはいい。
けどその後のビクターの遠隔操作、更には針使いによる人体操作と、原理を別とした「他人の体を操る」ネタが連発されるのはどうなんだろう。
“爆丸バトルブローラーズ”がやっぱり色んな手段で「他人の体を操る」ネタが続いて不満に思ったことがあるのだけど、こういうのって1作品1原理(手段)が限度じゃないかなー?
もしくは別の原理同士で衝突させようよ、ベクターに遠隔操作されてる拡張体にハルモニエ使うとどうなるの?とかね。


「興味を持ったところでどうせはぐらかされる」「見たいと思ったトコロを見せてはくれない」のは覚悟してたつもりだったけど、まさかここまでとは…ってのが率直な感想でしょうか。
ここまで来たら意地でも原作見ないぞ!と心に決めてるけど、果たして原作ファンはこれで満足だったのかはちょっと気になる。
折角アニメになったのに大したアクション無くて会話ばっかりって…。{/netabare}

投稿 : 2025/01/04
♥ : 12

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

再び「弾丸(願い)」は込められた パート2

この作品の原作は未読ですが、TVアニメ版第1期は視聴済です。
物語の内容に繋がりがあるので、前作未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

第2期を完走して気になったこと…
第2期までの放送で、原作のストックをどの程度使ったのか、ということです。

様々な攻防を見てきました。
ガンスレイブユニット同士、或いはベリューレン社やスピッツベルゲンなど、乾十三にとって安息の日など殆ど無かったほど、抗争に明け暮れていたと言っても過言ではありません。
ですが、十三と復興庁のオリビエは第2期のラストで「対峙すべき相手が明確になった」と言ってるんです。

これまで見てきたのは前座ってこと…!?
まさか、「本当の戦いはここから」なんて言わないよね…!?
などと思わずにはいられませんでした。

これまでの視聴も十分痛みを伴うモノでしたから…

それに、これまでもガンスレイブユニットを含む拡張者は虐げられてきました。
元々戦争の道具として生み出され、戦地で使うだけ使われて、戦争が終わったら今度は邪魔者扱い…
確かに人間を遥かに凌駕した戦闘力を秘めているので、拡張者に対して恐怖心があるのは仕方無いと思います。
ですが、そこで拡張者との共存を否定してしまったら、それこそ人間のエゴでしかありません。

そういう物語の展開の中、終始立ち位置が好ましかったのが、拡張技師であるメアリー(CV:ぬーさん)の存在でした。
人間と拡張者に分け隔てなく優しい…どちらかというと拡張者寄りだったのが好印象でした。
拡張技師になったのは兄との再会を強く願っていたから…
実際、兄との再会は実現するのですが、顛末には少し寂しさを感じずにはいられませんでした。
それでも明るく振る舞う彼女…頭のネジが2,3本ぶっ飛んだキャラばかりが登場するなか、私にとって心のオアシス的なキャラでした。

それと、第2期で強烈に印象に残っているのは、やっぱりベリューレンのペッパー(CV:いのりん)でしょう。
強烈な個性と果てしない独占欲…
正直キャラといのりんの声質が合っているか不安がありましたが、視聴を進める中で不安は解消されると共に、ペッパーの難しい役どころを踏まえると、今ではいのりんで正解だったと思っています。

ペッパー以外にも、麗奈ちゃん、石上さん、石見さんもベリューレン社の一味として登場するのですが、出番があまりにも少なかったのが個人的には残念でした。

一方、物語の方ですがベリューレン社とスピッツベルゲンの区別が個人的には難しかったかな。
視聴するとき十三の敵か味方かで区別していたので…^^;
それにどちらも荒吐鉄朗を狙っていたのが余計に混乱を招いた気がします。
加えて時折復興庁の連中も十三に襲い掛かるのですから、私の中の相関関係は完全に破綻していたと思います。
日笠さん演じるオリビエとか、分かりやすいキャラなら良いんですけどね。

オープニングテーマは、SawanoHiroyuki[nZk]さんの「Chaos Drifters」
エンディングテーマは、THIS IS JAPANさんの「new world」

1クール全12話の物語でした。
頭部が巨大なリボルバーという異質なキャラデザの物語でしたが、想像以上に堪能させて貰った気がします。
もし、続編が制作されるなら是非視聴したい思える作品でした。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 7
ネタバレ

木村天祐 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

機械化された人間が出てくる。社会を裏で操る大企業が敵。二期

体が機械化された者「拡張者(エクステンド)」が出てくる世界観のお話です。
大戦時、秘密部隊にいたエクステンドである銃頭の主人公のところに、誘拐された少年がやってきてそれを助ける。その少年に大企業の極秘技術が組み込まれてる~って話の二期です。

一期の方が面白いですね。
二期は終盤、話が動くんですが、はっきり言って内容がよろしくないです。

具体的に言います。一期から出てるテロ組織の指導者であり、エクステンド研究の第一人者で、少年の過去を知る爺さんが、少年を引き入れようと出てくるんですが、{netabare}少年とそりが合わず、暴力の末負けて、しかも第三者(ライバルのコンビ)に殺されます。{/netabare}
少年と爺が意見交換をする場面がありますが、少年も爺さんも何が言いたいのか、結局何がやりたいのか、具体性が全くなく、{netabare}結局暴力で決着しました。
少年の過去を知る時点で超重要キャラのはずなんですが、全く中身のある内容を聞くことができませんでした。爺さんは、作者が敵を作るために脳死して描いてたんだと思います。とりあえず少年をアゲるために、老害出せばいいみたいな。最後は少年が暴力で勝って、ライバルコンビの乱入で死亡退場させられてるし、始めからいらないキャラだったんでしょうね。{/netabare}

この作品には主人公たちのライバルとして、銃頭と女の掃除屋コンビがいるんですが、こいつらとも決着をつけます。こいつらがアニメの実質的ラスボスなんですが、全く魅力がないです。
性格についてですが、ただの自己中な人たちです。女は、{netabare} 特に理由はなく主人公の銃頭のことを気に入って、自分の物にしたがってるだけのキャラです。相棒の銃頭くんはそれに嫉妬するだけのキャラです。
薄っぺらくありませんか?一期から登場してるのに全くキャラ掘り下げてませんでしたよね?この作品で貴重な女キャラだってのはわかるけど、一期から話数引っ張って生かしておくキャラではないと思います。普通なら一話でポッと出て消えるくらい浅いキャラです。こいつらラスボスにします?しかもちゃっかり女助けられてるし、脚本的な話、生かしておく必要ないと思いました。一期の中盤に出して、味方に変わるキャラだったんじゃないのこいつら。掃除屋(殺し屋)だから生かしておくのもどうかと思いますけどね。{/netabare}

これだったらエクステンド技術の第一人者である爺の方がいくらでも深く掘り下げられる余地があったと思うんですけどね。
この爺とライバルコンビの話、ラスト5話くらい使っているんです。爺が少年の極秘技術を欲しがって敗れて、ライバルコンビと戦って決着をつけるだけで、5話です。中身薄くないですか?

音楽はよかったです。OPは澤野弘之でしたから。

2期やって、黒幕の大企業の内情が全く出てこないとは思っていませんでした。もう少し原作進めてからアニメ化してほしいってのが本音ですね。以上です。

投稿 : 2025/01/04
♥ : 1

65.8 16 サイバーパンクアニメランキング16位
EAT-MAN 98 [イートマン](TVアニメ動画)

1998年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (15)
121人が棚に入れました
 クールな世界観と意外な展開が人気の吉富昭仁の同名コミックをTV化したSFアクションアニメ。冒険屋のボルト・クランクは、ネジや歯車など、バラバラにした機械部品を食べて、それを体内で再生できてしまうという特異能力の持ち主だ。再生した機械は、右手が出現させることができるのだ。その能力を使って、今までにさまざまなトラブルを乗り越え、事件を解決した来た彼は、世界一の冒険屋と呼ばれている。そして、今日も彼のもとに仕事の依頼が…。

Вистерия さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

時間切れだ…一時間の、契約だった。

深夜アニメ黎明期の傑作。の、続編。
前作無印EAT-MAN(ラヴィオン篇)と違い、ボルトが原作通りの渋さを醸しだすEAT-MAN'98。
原作に則っているのは性格だけではなく、ストーリー、キャラデザも原作を踏襲。
よりハードボイルドになっています。

金属片(ネジなど)を常に食べていて、
体内で銃等任意の形で再構築して体外に排出できる特殊能力をもっている寡黙で依頼は絶対に熟す伝説の冒険屋(殺し以外の依頼を請け負うなんでも屋)、ボルト・クランクが狂言回しとなり、様々な事件に依頼を通して関わっていくというスタイルは不変。

ですが監督が真下監督からエルドランシリーズの川瀬敏文監督に代わったこともあり
前作とは全く別のアニメになっていましたね。
個人的にお気に入りのストーリーが3話の「BODY GUARD」と
9話10話の「MEGA MIX」。
この2つのストーリーがEAT-MANの醍醐味である、大どんでん返しの気持よさと
見えない設定から悲哀を導きだす構成、ボルトが契約という制約の中でどう人を救っていくのかを最も美しく描いていると思います。
2段階3段階のどんでん返しとサイバーパンクのエッセンスがある後者が特にツボでした。

声優もこの時代ならでは。使い捨てキャラたちがこれでもかってくらい豪華です。
宮村優子、鈴置洋孝、高山みなみ、玉川砂記子、子安武人、銀河万丈などなど。

無印に比べると全体の重さが減り、無印でハマった人や
原作を一度読んでいる人には少しもの足りないと思いますが、
初めて観る人にはオススメできますね。
特に攻殻機動隊やCOWBOY BEBOP系統が好きでまだ見ていない人は一期と併せて是非チェックしてみて下さい。
レビューどころか評価さえついていなかったので書いてみました。
あにこれは利用者層が若めみたいなのでおっさん寂しいです…

シャーリフ!シャーリフ!シャーリフ!シャーリフ!


投稿 : 2025/01/04
♥ : 15

ウィラード さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

opが凄くいいね

漫画はキャラクターの絵柄が被って同じキャラのように思えていて
書き分け出来てる感じが薄く思ったけど

ハードボイルドをライトにした感じのあの単話完結なエピソードが面白かった
アニメは、その中のエピソードを厳選してる?のか知りませんが
まあ面白かったです

アニメを見てから漫画見たんですけど
漫画が簡素的な進み方するんで
すらすら読みやすかったんで面白いです

ライトハードボイルドって感じですかね

投稿 : 2025/01/04
♥ : 0

マックス さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ハードボイルドな主人公がイカす

原作でもそうですがとにかくボルトがクールです
ボルトが万能すぎる面もありますがそれが嫌味無くそしてカッコ良く決まるので観てて爽快です
またアニメでは音楽も相まってかなりカッコイイ
ファンタジー要素に加えSF、サイバーパンク、ハードボイルドな要素など濃いアニメです
コミックもそうですがEAT‐MANはもっと世界的に評価されても良い傑作だと思います

投稿 : 2025/01/04
♥ : 1
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